金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

マーケットの学習能力でECBへの失望も好感も限定的か

更新日:2016年3月10日(木)

昨年10月、ECB理事会でドラギ総裁が金融政策見直し予定を発表後、市場は追加緩和を織り込み始め、ユーロは対ドルで一方的に売られる展開へ。1ユーロ=1.1480ドル付近から12月のECB理事会直前には1.0550ドル辺りまで、1カ月半で8%超ものユーロ安が進行しました。
しかし、12月3日のECB理事会では市場の期待を裏切る結果となり、追加緩和不十分と判断した市場は失望のユーロ買い戻しへ。その日のうちに1.0950ドル付近まで4%近くものユーロ高ドル安が進行しました。

それから2カ月後、長引く低インフレを打開するために、ドラギ総裁は再び金融政策見直しを示唆しました。
市場も再び追加緩和を好感し、織り込みを進めユーロ売りドル買いが進行。1.1370ドルから3月初旬の1.0820ドル台まで、4.8%のユーロ安ドル高。
しかし、その後は1.10ドル台まで1.6%のユーロ買い戻し。2月の追加緩和示唆時点からの1カ月では、3.2%のユーロ安。

前回の教訓を生かしたマーケットの学習能力によって、事前織り込みでの一方的なユーロ売りもある程度限定的にとどめ、なおかつ、失望のユーロ買い戻しも想定し、一部はこれも既に織り込み始めた状態かもしれません。

中銀預金金利の引き下げに加えて、資産買い入れ規模の拡大なども予想される今回のECB理事会で、市場が好感する結果となるのかどうか、少なくとも今回はかなりハードルは高めの状態。
市場の想定以上で納得の行く追加緩和なら買い戻した分以上にユーロ安が進行し、逆に不十分との判断でまたも失望ならユーロのさらなる買い戻しへ。
しかし、事前に買い戻しが進行している分、失望のユーロ買いドル売りとなった場合の値幅よりも、好感のユーロ売りドル買いとなった場合の値幅のほうが大きくなることが予想されます。

ユーロ買いなら円買いドル売り、金買いドル売りへ、逆もまたしかりで、ユーロドルの極端な値動きによる金やドル円への影響は少なくはありません。
しかし、マーケットの学習能力によって、今回の影響度合いは限定的なものにとどまる可能性も高そうです。

NY金・日足チャート 2016/2/8 - 3/99日のNY金相場は0.44%下げて3日続落。欧州時間に堅調推移となった原油相場が12月以来3月ぶりの高値水準となる38ドル台へと上昇し、売り優勢から反転したドル買い基調にゆるやかな株高基調も進み、金の調整局面も進行。しかし調整目安となっていた1240ドル台前半まで下げて切り返す底堅さも。やや軟調気味の保ち合い傾向もECBの追加緩和でユーロ売りドル買いが急速に進むような展開となった場合には、金の売り圧力も高まることに。さらなる調整目安は1220ドル台も。

NYプラチナ・日足チャート 2016/2/8 - 3/9NYプラチナ相場は0.67%の続落。今年最低値幅となる上下100ドルほどの値動きに終始したNYダウの小動きに同調するように、プラチナも今年の平均値幅22.4ドルに対して14.7ドルと最低レベルの小動き。短期的にはゆるやかな上昇トレンド継続、ECBの動向とユーロの値動きに影響される度合いは金よりも強く、やや荒れる可能性も。現状水準970ドル台半ばから一方的に上方向へと22.4ドル動いた場合には1000ドル手前。高値更新トライへと向かう可能性もなくはない。

ドル円・日足チャート 2016/2/9 - 3/9ドル円は3日ぶりの反発で0.62%のドル高円安。1週間ぶりの円高水準となる112円20銭台まで売り込まれた後、原油高の流れに救われた形で反発。しかし113円台半ばでは上値も重い状態。ECBの追加緩和で12月の二の舞いとなるようなことがあればユーロの買い戻しにドル売り進行となり、ドル円でも円買い優勢となる可能性も。111円台半ばまでの下落リスクは継続、逆の結果でドル買い進行となり、114円を超えるようなら反発基調継続へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/9終値とチャート

10日の国内金価格は0.1%の小反発。短期トレンドは上向きを維持するなか、調整一服も下げ止まり感はまだない状態。調整継続の目安は21日移動平均線が位置する4800円付近まで。再び高値更新へと切り返す展開となった場合には4980円台が次の目標水準に。

国内プラチナ価格は0.79%の反発。昨日の大幅下落で調整局面の達成感からか、いったん反発。3780円台以上をしばらく維持できるようなら、高値保ち合い形成となって再び上値トライのチャンスも。維持できない場合には3700円台前半までの下落も見込まれ、短期トレンドも下方向へ。
※参考:金プラチナ国内価格3/10とチャート

2016年3月10日(木)時点の相場
国内金4,891 円 3/10(木) ▲5(0.10%)
国内プラチナ3,815 円 3/10(木) ▲30(0.79%)
NY金1,257.4 ドル 3/9(水) ▼5.5(0.44%)
NYプラチナ982.8 ドル 3/9(水) ▼6.6(0.67%)
ドル円113.32 円 3/9(水) ▲0.69(0.62%)

3/9(水)のその他主要マーケット指標

スーパーマリオの面目躍如、も一瞬。ECBも日銀のデジャブ・・・ 3/11(金)

マーケットの学習能力でECBへの失望も好感も限定的か 3/10(木)

年央にかけて金相場は1300ドル台半ばへ!? 3/9(水)

2月労働市場情勢指数(LMCI)は米労働市場の減速傾向進行を示唆 3/8(火)

ようやくトレンド転換へと動き出したプラチナ価格 3/7(月)


短期相場観~よく読まれた記事一覧

明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想

PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン

PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン


RSS金プラ短期相場観 RSSリーダーで金プラチナ短期相場観を購読


ページの先頭へ