金プラチナ短期相場観

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LMCIは3カ月連続マイナス、労働市場の情勢は下落基調鮮明に

更新日:2016年4月5日(火)

労働市場情勢指数(LMCI)とFF金利の推移 2016年3月米FRBが公表する労働市場情勢指数(LMCI)の3月は-2.1となり、1月の-1.9、2月の-2.5(-2.4から下方修正)に続き3カ月連続のマイナス値。3カ月連続でマイナスとなるのは2009年7月以降では初めてのことで、利上げの翌月からマイナス圏へと落ち込んだ状態が続きます。6カ月移動平均でも-0.12となり、2009年10月以来、6年5カ月ぶりのマイナスに。
また、2015年9月から今年2月までの6カ月間では合計3.6ポイント下方修正され、2015年1-7月には合計1.4ポイント上方修正されたことで最近の下落基調は鮮明となっています。年間平均でも2014年の5.0、2015年の1.8、2016年は今のところ-2.2。

雇用統計では、非農業部門雇用者数が順調な伸びを示し、失業率は完全雇用状態となり、賃金もそれなりに増加を示し、求人件数も過去最大水準で推移しているにもかかわらず、労働市場のたるみは消えるどころか拡大しているかのようです。
労働参加率が改善傾向を示したといっても依然、超低水準にあること、長期失業者の割合や広義の失業率の回復が遅々としてすすまないこと、賃金上昇率も過去の好調時と比較するとまだまだ低いことなど、細かく見れば「たるみ」が多数見られ、これがイエレン議長のハト派発言の裏付けの一つとなっているようです。

このLMCIの数値によるマーケットへの影響度合いはあまり大きくはなく、FOMCメンバのなかでもタカ派のみならず、中立派・ハト派と見られる地区連銀総裁からもタカ派寄りの発言が聞かれます。この日もハト派とされるボストン連銀のローゼングレン総裁から「市場の見方は悲観的過ぎる」、「市場予想よりも早く利上げ再開」となる可能性が高いなどの見解が示されました。

市場とFOMCとの見解の相違を指摘し、これを是正しようとの思惑がしばしばこのようなタカ派発言となって聞かれるようですが、FOMCメンバのなかでも、FRBと他の地区連銀総裁との間での見解の相違が見られる状況のようです。

年央に向けて、このLMCIの数値がプラス圏に回復するようなら、FOMCメンバ内での見解の歩み寄りも進み、市場とFOMCとの見解の相違も縮小方向へと向かうことになるのかもしれません。

NY金・日足チャート 2016/3/3 - 4/44日のNY金相場は0.24%の小幅続落。大きな材料がないなか、3月後半以降の保ち合い水準下限1220ドルをはさんでの小幅上下動が続き、下限割れを試す展開。ローゼングレン総裁のタカ派発言もあり、追加利上げに向けた不透明感もくすぶる状況が上値を押さえる状況。1220ドルラインをわずかながらも割り込み、2月23日以来1カ月半ぶりの安値となったことで売り圧力がもう一段強まる可能性が高まった。1240ドルが抵抗水準となり、下値を試す展開へ。1200ドルの大台ラインで下げ止まる可能性も残しながら、流れが加速すれば、目標水準は1180ドル台辺りまで。

NYプラチナ・日足チャート 2016/3/3 - 4/4NYプラチナ相場は1.06%の大幅続落で3月3日(942.7)以来、1カ月ぶりの安値水準へ。相対的な高値圏での乱高下状態のなかでやや行き過ぎとなった可能性も残すものの、重要なサポート水準となっていた940ドル台を下抜けの兆し。今朝も940ドルを割り込む動きとなり、金の下げ圧力が高まる展開に追随する可能性も非常に高く、このまま下値トライが加速する展開が予想される。1カ月間続いた保ち合い状態を下抜ける形となったことで下げ幅も拡大見込み。下値目標としては900ドル前後へ。

ドル円・日足チャート 2016/3/4 - 4/4ドル円は0.25%の小幅続落。円買い圧力が強い状態は変わらず、111円台後半から前半へとジリ安の展開。NY原油が1カ月ぶりの安値水準へと反落の流れが続いたことで堅調だった米株も反落の流れとなり、ドル高円安方向へのサポート材料にも乏しい状況に。終値ベースでは保ち合い下限となる111円30銭台をかろうじて維持したものの、水準としては2014年10月30日(109円20銭台)以来、1年5カ月ぶりの円高水準。今朝も日本株売りとともに円高進行で一時111円割れ。111円台半ば以上へと反発しない限り、このまま保ち合い下抜けの流れが続く可能性が高まり、目標水準としては110円割れ、109円80銭台辺りまで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/4終値とチャート

5日の国内金価格は0.75%の続落。NY金の高値保ち合いからの反落の兆しと日本株売りに伴う円買い圧力が強まる展開が重なり、下落基調が加速。2月5日(4642円)以来、2カ月ぶりの安値となり、下値目安4660円台にいきなり到達。NY金とドル円のどちらかが一段安となる可能性は高い状態にあり、その場合にはもう一方が反発する可能性も残され、国内価格のさらなる下げ余地は極端には拡大しない見込み。次の下値目安としては4630円から4600円前後へ。

国内プラチナ価格も2.38%の大幅続落。乱高下状態からの一段安となり、前日の21-9日移動平均線に続き、90日移動平均線もデッドクロス。サポート水準3670円を割り込んだことで下値目安3600円前後まで一気に下落。2月29日(3589円)以来1カ月ぶりの安値水準となり、金と同様に下げ余地拡大の可能性もあり、さらなる下値警戒水準として3530円付近まで。
※参考:金プラチナ国内価格4/5とチャート

2016年4月5日(火)時点の相場
国内金4,660 円 4/5(火) ▼35(0.75%)
国内プラチナ3,602 円 4/5(火) ▼88(2.38%)
NY金1,219.3 ドル 4/4(月) ▼2.9(0.24%)
NYプラチナ943.5 ドル 4/4(月) ▼10.1(1.06%)
ドル円111.33 円 4/4(月) ▼0.27(0.25%)

4/4(月)のその他主要マーケット指標

ISM非製造業景況指数も回復傾向、労働市場のたるみは継続か 4/6(水)

LMCIは3カ月連続マイナス、労働市場の情勢は下落基調鮮明に 4/5(火)

黒田バズーカから3年、ソロスチャートは上昇基調継続も・・・ 4/4(月)

好調維持の雇用統計、急回復のISM製造業景況指数に改善の余地も 4/2(土)

シカゴPMIも上振れで米製造業は3月で底入れへ 4/1(金)


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