金プラチナ短期相場観

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NFPショック!FEDの戦略崩壊、金急騰

更新日:2016年6月4日(土)

米・平均時給と賃金上昇率 2016年5月米電話大手ベライゾン・コミュニケーションズのストライキによる雇用統計への影響は、ある程度事前に織り込まれているものと想定していましたが、その影響は想定以上で、かつそれ以外の要因で雇用者数の伸びが急激に減少する、NFPショックとなりました。ADP雇用者数でもそれなりの低めの予想で、そのとおりの結果となっていたことで、雇用統計のNFPでも元々低めの予想に対して、上振れの可能性よりは多少下回る可能性のほうが高めか?という程度の予想をも吹き飛ばすネガティブ・サプライズ。

失業率が完全雇用レベルに達している現在の状況では、雇用者数の伸びは前月比+10万人+アルファで十分、という話もありますが、今回はそのレベルを遥かに下回る低調ぶり。NFPの3カ月平均も+11.57万人へと落ち込み、回復目安となる+16.2万人程度を大きく下回る水準へと後退。米国の景気後退懸念も再燃しそうな数字が飛び出してしまいました。

なお、失業率は8年半ぶりの低水準となる4.7%へと改善したものの、この要因の一つには労働参加率が62.8%から62.6%へと低下してしまったことも挙げられます。U6失業率も9.7%で足踏み状態が続きます。
今回唯一、ポジティブな結果と言える長期失業者の割合は、25.1%へと3カ月連続の改善傾向。ただし、回復目安とされる19.1%には程遠い状態。
注目されていた賃金も、前月比では+0.2%と予想どおり。前年同月比でも+2.5%程度の予想に対して+2.48%とほぼ予想通り。4月分は前年比+2.49%から+2.53%へと小幅上方修正。+2.5%近辺は維持したもののさらなる加速の兆しは見られず。

一時は30%台後半まで上昇していたFedウォッチの6月利上げ織り込み度は3.8%へと完全否定状態となり、7月利上げについてもピーク時の60%前後から31.3%へと半減しています。
市場の利上げ織り込み度合いを底上げし、夏場と12月で年内2回の追加利上げを目論んでいたFEDの戦略はあえなく崩壊してしまった状態です。
この状況を見て、金は急騰しています。

NY金・日足チャート 2016/5/4 - 6/33日のNY金相場は2.5%の大幅反発。雇用統計のNFPショックで1215ドルから1240ドルまで25ドルの急騰、利益確定売りもほどほどに、高止まりの状態で今朝の時間外には1246ドルまで上昇。前日比+30.3ドル、2.5%の上昇率は3月17日のFOMCで利上げ見通しが引き下げられた直後の2.86%に次ぐ大幅高となり、5月23日(1251.5)以来ほぼ2週間ぶりの高値水準に。7営業日ぶりに右肩上がりの90日移動平均線を上抜け、中期スパンでの上向き基調を維持し、短期下落トレンドもほぼ抜け出した状態へ。また、何度かトライして抜けなかった1200ドルの大台ラインが今後強めのサポートラインとして存在感が高まることに。米利上げ見通しの立て直しまで、しばらくは堅調な状態が続くことに。金相場の方向感も立て直しへ。
週間ベースでは+29.1ドル(2.4%)で4週間ぶりの反発。

NYプラチナ・日足チャート 2016/5/4 - 6/3NYプラチナ相場も2.27%の大幅高で5日ぶりの反発となり、1週間ぶりの水準を回復。今朝の時間外でも990ドル手前まで水準を切り上げてほぼ高値引け状態。雇用統計をきっかけに一方的な下落基調が収束するなら、その後の反発基調では今年の上げ幅に対する38.2%ライン985ドル辺りが当面の目安との予想を1日で達成してしまった状態。90日移動平均線下抜け状態も2日間で脱出し、もう一段の地合い改善への期待も高まり、1000ドルの大台再チャレンジの日もそう遠くはなさそう。
週間ベースでは-0.3ドル(0.03%)となり、わずかに前週終値に届かず、4週続落。

ドル円・日足チャート 2016/5/5 - 6/3ドル円は2.07%の大幅急落で4日続落。NFPショックには108円90銭付近から108円割れへと1円の急落で反応、30分後には目標水準107円台半ばへ到達、ショックの大きさにこの水準でも下げ止まらず、さらに1時間後には107円割れ。結局、今年ここまでの最安値(円高)105円50銭台をつけた5月3日の終値106円50銭台まで下落、1カ月ぶりのドル安円高水準に。1日の下落率としては日銀ショックとなった4月28日の3%に次ぐ水準、1カ月強の間に2度のショックで2014年10月半ば、日銀追加緩和前の水準に逆戻り。しかも4月の円高ショックに続いて今回はドル安ショック、ドル円相場と日銀、安倍政権にとっても踏んだり蹴ったり、苦難の日々が続くことに。
週間ベースでは-3.70円(3.35%)となり、5週間ぶりの反落。4週間分の上げ幅をほぼ消し去り、5週間前の日銀ショックの週の4.8%下落に次ぐ大幅安。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/3終値とチャート

2016年6月4日(土)時点の相場
国内金4,547 円 6/3(金) ▼26(0.57%)
国内プラチナ3,602 円 6/3(金) ▼66(1.80%)
NY金1,242.9 ドル 6/3(金) ▲30.3(2.50%)
NYプラチナ981.9 ドル 6/3(金) ▲21.8(2.27%)
ドル円106.62 円 6/3(金) ▼2.25(2.07%)

6/3(金)のその他主要マーケット指標

3名のFOMC女性有権者による米労働市場失速と利上げ見通し判断 6/6(月)

NFPショック!FEDの戦略崩壊、金急騰 6/4(土)

ADP雇用者数と雇用統計NFPの3カ月平均の相関性 6/3(金)

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