金プラチナ短期相場観

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世界の金投資需要と金価格の四半期推移-2016年第4四半期

更新日:2017年2月9日(木)

世界の金投資需要と金価格の四半期推移-2016年第4四半期WGCのレポートによれば、2016年第4四半期の金投資需要は世界全体で173.9トン。3四半期連続の減少となり、2013年第4四半期(168.5トン)以来、3年ぶりの低水準となっています。内訳としては、バーやコインなどの現物投資需要が367トン、ETF関連が-193.1トンと売り越し。現物需要は2013年第2四半期(593.4トン)以来3年半ぶりの高水準となりましたが、ETF関連は1年ぶりの売り越しで2013年第2四半期(-431.2トン)以来3年半ぶりの大幅減となったことが影響しました。

2013年第2四半期は4月の暴落を含む急落時期で、平均価格でも1631.8ドルから1414.8ドルへと217ドルもの下落となっていました。これに伴いETFは大幅売り越しとなり、価格急落後には中国のおばさん達が貴金属店に殺到し、金のコインや宝飾品などを爆買いする姿が報道されました。
2016年第4四半期も当時ほどではないにしろ、それに近い傾向となり、トランプ相場に伴う金価格急落でETFの大幅売り越しとなり、中国の現物投資需要が急拡大しました。
中国の現物投資需要は第3四半期の41トンから第4四半期には122.1トンへと3倍に跳ね上がり、やはり2013年第2四半期の155.2トンに次ぐ水準となっています。

金価格下落局面では、順張りのETF投資では売り越しとなり、これを逆張りの現物投資需要が買い支える構図となり、上昇局面ではETFでは買い越し、現物投資需要は停滞します。
2016年第1四半期には、長期的な価格下落局面からの反発となったことで現物投資需要もそれほど減少せず、ETFの大幅買い越しに伴い、金投資需要合計は2011年以降では最大となる600トン超となっていました。しかし、その後は価格上昇に伴い、いずれも失速、結果的に2013年以降の平均的水準となる200トン前後に収束した形です。

金ETF最大手のSPDRゴールド・シェアでは、2016年第4四半期の保有高は-125.78トンの売り越しとなっていました。しかし1月末に減少傾向は反転しており、現在では年末水準から+10.4トンと買い越しに転じています。
2017年第1四半期の金価格は現時点で平均1201.1ドル。2016年第4四半期平均の1221.6ドルにはまだ及びませんが、現状水準以上をしばらく維持できれば今後さらに上昇することになります。現物投資需要の減少は免れませんが、ETFの買い越し幅拡大が2017年第1四半期の金投資需要を支えることになります。

NY金・日足チャート 2017/1/9 - 2/88日のNY金相場は0.28%の小幅高となり、半年ぶりの5日続伸。3カ月ぶり高値水準で上値を伸ばし、NY朝には1246ドルまで上昇、上値目標1250ドル付近にもほぼ到達。米10年債利回りとドイツ10年債利回りは1月半ば以来、英10年債利回りは11月以来3カ月ぶりの低水準となるなど、欧州政治リスクなどへの警戒感を背景に安全資産買い優勢の状態が継続。1250ドル近辺は心理的節目水準であると同時に2016年平均価格(1251.5ドル)にも相当、トレンドが終息しやすく昨年もしばしば保ち合いを形成してきた水準。今回も一服感が生じやすい流れとタイミングでこの水準に達した状態。

NYプラチナ・日足チャート 2017/1/9 - 2/8NYプラチナ相場は0.64%の反発。9月30日(1028.6)以来4カ月ぶりの高値水準となり、再び200日移動平均線超え。上値目標1040ドル近辺に向けて再加速の兆しも、NY金の一服感に連れて失速気味となる可能性も。今年に入って急速に逆相関関係を強めつつある南アランドにも下げ止まり感が生じ始めていることも減速要因に。なお、2016年の平均価格991.8ドルも大きく超えている状態。

ドル円・日足チャート 2017/1/10 - 2/8ドル円は0.4%の反落でまたも112円割れ。軟調推移が続く米10年債利回りと週末の日米首脳会談への警戒感から上値は重く、前日高値112円50銭台が超えられず、しかし前日安値111円50銭台手前では下値も堅い状態。日足のローソク足はくじらまく状態となり、111円半ばから112円半ばの小幅レンジで保ち合いを形成し始めた様子。上抜けなら113円台後半へ、下抜けなら110円台後半への動き出しを待つ状態。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/8終値とチャート

9日の国内金価格は0.32%の上昇となり、4日続伸。7月29日(4799)以来、半年ぶりの高値水準に到達し、短期上値目標4790円付近に向けてもあと一息。9日移動平均線が21日移動平均線をゴールデンクロスし、2016年3月高値4941円と7月高値4856円を結んだ中長期抵抗線を上抜け、中長期的な地合い好転へと向かい始めた可能性。ただし短期的な勢いには欠け、近年の主要レンジ上限4800円ラインも意識され、反落警戒感とのせめぎ合いの状態。

プラチナ価格は0.52%の反発となり、近年の主要レンジ上限3900円ライン超えは3度め。三度目の正直で3910円以上へと加速することが出来れば4000円台前半へと大きく水準を切り上げる可能性も残される。ただし、上値が押さえられ下値だけが切り上がる保ち合い継続で失速感と急反落警戒感だけが高まる状況。3880円を割り込んだ場合には最大で3700円台前半までの大幅下落へと向う可能性を警戒すべき状態。
※参考:金プラチナ国内価格2/9とチャート

2017年2月9日(木)時点の相場
国内金4,771 円 2/9(木) ▲15(0.32%)
国内プラチナ3,903 円 2/9(木) ▲20(0.52%)
NY金1,239.5 ドル 2/8(水) ▲3.4(0.28%)
NYプラチナ1,019.4 ドル 2/8(水) ▲6.5(0.64%)
ドル円111.93 円 2/8(水) ▼0.45(0.40%)

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