金プラチナ短期相場観

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10年ぶり高水準のユーロ圏消費者信頼感指数もユーロ高を支援

更新日:2017年5月20日(土)

ユーロ圏消費者信頼感指数 2017年5月速報値欧州委員会が発表したユーロ圏の消費者信頼感指数5月速報値は-3.3となり、4月の-3.6から小幅に上昇、2007年7月(-1.9)以来9年10カ月ぶりの高水準となっています。6カ月平均でも4月の-5.2から5月速報値では-4.7へと上昇し、2007年10月(-3.8)以来9年7カ月ぶりの高水準。
ユーロ圏の消費マインドを示すこのソフトデータは、製造業PMIや米国のISM景況感指数やミシガン大の消費者信頼感指数などのようにアンケート調査などに基づく指標で、市場や消費者のセンチメントを如実に示し、金額や人数などの数値で示されるハードデータに比べて速効性があります。

10年ぶり高水準でありながら、マイナス圏となっているところが19カ国の集合体であるユーロ圏の実態を微妙に表しているようでもありますが、基準となる水準としては、長期平均(long-term average)が一つの目安となり、1985年以降の平均値を示すユーロ圏の長期平均は-12.2。2014年にこの水準を上抜け、2016年以降は加速基調が強まる状態となっています。

ちなみに、この数値の過去最大は通貨ユーロ導入間もない時期の2000年5月の+2.3でした。2001年2月にマイナス圏に低下して以降、16年以上マイナス圏推移が続きます。
国別の数値も公表されており、4月確報値ではドイツが+2.8で2015年6月(2.8)以来1年10カ月ぶりの高水準。フランスは-8.1ですが2007年10月(-7.4)以来、9年半ぶりの高水準となっています。
ユーロ圏の2大経済大国でありながら、ユーロ圏の数値を牽引するドイツと、ユーロ圏の数値を下回り続けるフランスという構図は製造業PMIなどと同様です。ただし、フランスの景況感も急回復を続けている現状も同様です。
大統領選リスク後退後、マクロン新政権によるさらなるフランスの景気回復が期待されます。

なお、この日はドイツの4月の生産者物価指数(PPI)も発表され、前年比+3.4%と5年ぶり高水準を記録したこともユーロ高を支援し、ユーロドルは終値ベースでは10月3日以来、7カ月半ぶりの高値水準となる1.12ドル台を回復しています。高値では米大統領選開票日の11月9日高値以来の水準となり、ユーロは対ドルでのトランプラリーによる下落分をほぼ全戻しした状況です。

ユーロ圏の景気回復基調とユーロ高によってドル安基調を誘引し、金の底堅さを支援する要因の一つともなっています。

NY金・日足チャート 2017/4/17 - 5/1919日のNY金相場は0.06%の小反発。前日時間外に1240ドル台まで大幅調整となった後はジリ高推移の展開で1250ドル台半ばへ、ロシアゲート疑惑を巡る不透明感によるリスク回避の流れはいったん落ち着きを取り戻し、欧米株や金利が反発傾向となったことで金の上値も限定的。しかし、トランプ大統領に近い人物が捜査線上に浮上との報道や24日のコミー元FRB長官の公聴会なども控え、市場の警戒感もくすぶり続ける状況にあり、金の下値をサポート。ドルインデックスが10月末以来、7カ月弱ぶりの低水準となる97ポイント付近まで下落し、トランプラリーの全戻しを達成していることが現状を象徴。1260ドルが目先の抵抗水準となる状態も続き、再び市場の警戒感が強まるような新たな報道があれば上値トライで今年高値圏を目指す展開へ。
週間ベースでは+25.9ドル(2.11%)と続伸。

NYプラチナ・日足チャート 2017/4/17 - 5/19NYプラチナ相場は0.36%の反発。前日時間外に930ドルを瞬間的に割れた後は940ドル台へと反発の展開に。ただし、この日も上値は940ドル後半までと950ドルの節目が抵抗水準としての存在感を強める状況に。金に追随する展開で節目を突破できれば、3月後半から4月前半までの保ち合い上限付近となる970ドル前後まで上値を伸ばすような流れにも。
週間ベースでは+22.7ドル(2.47%)で続伸。

ドル円・日足チャート 2017/4/17 - 5/19ドル円は0.24%のドル安円高となって反落、リスク回避の急落からの巻き戻しも限定的に。この日も前日高値とほぼ同水準となる111円70銭台で上値を押さえられ、ロシア疑惑報道で売り圧力が強まる場面では111円00銭台まで下落。昨年12月高値から今年4月安値までの61.8%戻し(114円60銭台)を5月11日にほぼ達成した後、4月安値から5月高値の61.8%戻し(110円50銭)を18日に達成。水準的にはいったん下げ止まっている可能性は高く、現在は再び反発局面に入り、5月11日から18日までの急落の38.2%戻し(111円80銭)までをほぼ達成した状態。今回も61.8%戻せるのなら112円80銭が当面の反発目安に。その為には目先の抵抗水準となっている38.2%(111円80銭)をしっかり上抜ける必要。しかし、ドル安地合いの現状で再度円高圧力が強まれば110円割れまでの下値トライも。
週間ベースでは-2.11円(1.86%)となり、5週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/19終値とチャート

2017年5月20日(土)時点の相場
国内金4,788 円 5/19(金) ▼25(0.52%)
国内プラチナ3,588 円 5/19(金) ▼40(1.10%)
NY金1,253.6 ドル 5/19(金) ▲0.8(0.06%)
NYプラチナ940.2 ドル 5/19(金) ▲3.4(0.36%)
ドル円111.22 円 5/19(金) ▼0.27(0.24%)

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