金プラチナ短期相場観

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フレキシブルCPIとスティッキーCPIが示す低インフレ警戒感

更新日:2017年7月27日(木)

フレキシブルCPIとスティッキーCPI 2017年6月金融政策現状維持を決定した7月米FOMCでは、予想通り「比較的早期に」バランスシート正常化計画実施に着手することを示唆し、「FF金利の緩やかな引き上げ」を正当化する経済状況が続くとの見方を維持しました。

注目されたインフレ動向については、前年同月比でみる全体のインフレ率は「2%をやや下回っている」とした前回6月の声明文から、今回は「2%を下回っている」と下方修正され、低インフレへの警戒感をより強めた形です。
前回の6月FOMC時点では、PCEインフレが2月の前年同月比+2.1%から4月の+1.7%まで2カ月連続低下していた状態から、今回の7月FOMC時点でのPCEは、5月の+1.4%まで3カ月連続の低下となっていることを素直に反映しているようです。

PCEインフレの先行指標となる消費者物価指数(CPI)は既に6月分が発表され、4カ月連続の低下となっていることから、PCEも4カ月続落が確実視される状況です。

アトランタ連銀が発表しているスティッキーCPIという指標があり、これは労働省が発表する消費者物価指数(CPI)の構成要素を、その変更頻度に基づき、柔軟性(フレキシブル)のあるもの(=変動幅が大きいもの)と、固定的(スティッキー)なもの(=変動幅が小さいもの)とに区分けし、フレキシブルCPI(Flexible CPI)とスティッキーCPI(Sticky CPI)として公表しているものです。

変動の少ないスティッキーCPIでは、2016年8月に前年同月比+2.70%となり、2009年2月(2.78%)以来7年半ぶりの高水準となっていましたが、その後は鈍化傾向となり、足下4カ月は連続の低下で6月は+2.12%。
労働省発表の6月CPIは8カ月ぶり低水準となり、アトランタ連銀発表の6月フレキシブルCPIでも6月は前年比+0.49%と7カ月ぶりの低水準となりましたが、スティッキーCPIは2015年2月(2.11%)以来、2年1カ月ぶりの低水準となっています。

低インフレが続いている理由は、携帯電話サービス料の値下げなどの一時的要因だけではない可能性があることを示しているようです。

NY金・日足チャート 2017/6/21 - 7/2626日のNY金相場は0.22%安となって小幅に3日続落。1240ドル台での小動きから、引け後のFOMCでは予想通り低インフレへの警戒感がやや強まる内容となり、金利低下とドル売りが急進すると、金は6月15日(1268.5)以来6週間ぶり高値圏となる1263ドルまで急騰。今朝の時間外では上方向への節目1260ドルラインとの攻防状態。従来どおりのパターンならこの流れはロンドン時間以降に増幅されることが予想され、当面の上値目標は今年高値再トライとなる1290ドルへ。

NYプラチナ・日足チャート 2017/6/21 - 7/26NYプラチナ相場は0.98%安で3日続落。英国でもガソリン車とディーゼル車の新規販売を2040年から禁止との報道もあり、NY市場までは軟調な流れで一時保ち合い下限割れとなる919ドルまで下落。時間外のFOMC声明文発表を受けた金の急騰局面に追随する流れでは10ドルほどの上昇にとどまり、930ドル台前半まで。保ち合い上限940ドルには少し及ばず、ロンドン・NY市場で一段高とならない限りは920-40ドルのレンジでの保ち合い継続へ。

ドル円・日足チャート 2017/6/22 - 7/26ドル円は0.63%のドル安円高となり、前日上昇分をほぼ打ち消す反落。市場での楽観見通しは予想以上に強かったようで、FOMC前に112円20銭近辺まで上昇していたことが、ややハト派寄りとなった声明文に対する失望感を増幅してしまった形。反発局面スタートの可能性も完全に巻き戻され、逆にドル全面安の流れ再開リスクが高まる状況に。111円から112円までの小幅保ち合いを形成する形となり、目先は下方圧力優勢で111円を割り込むと110円割れを試しに行くような展開も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/26終値とチャート

27日の国内金価格は0.31%上昇し、5日続伸。6月29日(4827)以来ほぼ1カ月ぶりの高値水準となり、低ボラティリティ状態が続いたなかでの5日続伸は2月以来で今年2回め。スローペースの反発基調をなんとか維持してきたことにより、新たなトレンド形成への可能性につなげた形。NY金が1260ドル以上を維持して上昇トレンドへと向かえば国内金価格も追随へ、4830円の節目超えに伴う上昇トレンドの目標水準は今年高値を超え、昨年高値4940円台まで。

プラチナ価格は0.08%の小幅安。欧州を中心に吹き荒れるディーゼル車へのアゲンストの風がプラチナ需要減を連想させることが、このところのプラチナ価格低迷の根底にあり、イベント・ドリブンによる上昇幅抑制につながっている様子。3560-3600円の保ち合い継続で流れとしては上方向優勢だが。
※参考:金プラチナ国内価格7/27とチャート

2017年7月27日(木)時点の相場
国内金4,824 円 7/27(木) ▲15(0.31%)
国内プラチナ3,571 円 7/27(木) ▼3(0.08%)
NY金1,249.4 ドル 7/26(水) ▼2.7(0.22%)
NYプラチナ922.7 ドル 7/26(水) ▼9.1(0.98%)
ドル円111.18 円 7/26(水) ▼0.70(0.63%)

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