金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

小売売上高は今年最低、鉱工業生産は8年ぶり低水準で円安失速

更新日:2017年9月16日(土)

米・小売売上高 2017年8月米商務省が発表した8月の小売売上高は前月比-0.2%。市場予想の+0.1%に反しての減少となり、2月以来半年ぶりの大幅減。年初来最大の増加率となっていた7月の+0.6%も+0.3%へと大幅下方修正されています。
自動車を除いた数値では前月比+0.5%の予想に対して+0.2%とこれも下振れとはなりましたが、プラス圏を維持しており、8月の小売売上高の落ち込みは自動車販売の減少が大きく影響していることを示す結果となっています。
つまり、ハリケーン「ハービー」による一時的な下振れである可能性も示していることになります。

ただし、7月分の下方修正と3カ月移動平均の低下傾向からは、本当に一時的かどうかは一抹の疑問も残されます。3カ月平均は8月に0.0%まで低下し、2016年3月(-0.1%)以来、1年5カ月ぶりの低水準となっています。
9月後半以降には、ハリケーンの影響も剥落し、逆に自動車需要も反動増となって急回復も予想され、その後年末にかけては季節柄好調期を迎えることになり、小売売上高の動向としては、今後しばらくは反発基調が既定路線、とも言えそうです。ただし、その度合が問題となり、3カ月移動平均のピーク水準が切り下がり続けるようなら要注意かもしれません。

米鉱工業生産と設備稼働率 2017年8月FRBが発表した8月の鉱工業生産指数は前月比-0.9%。1月以来のマイナス圏となり、2009年5月(-1.1%)以来、8年3カ月ぶりの低水準となっています。
設備稼働率も7月の76.9%から8月は76.1%へと急低下。その7月は2015年4月(77.1%)以来2年3カ月ぶりの高水準となっていました。

これらもハリケーンによる影響と見られ、こちらは3カ月平均の傾きがこれまで右肩上がりを維持してきたことからも、一時的な下振れである可能性は高そうです。

ただ、これらの指標結果が、トレンド転換後の円売り・金売りの流れを一時的に失速させた要因の一つにはなったようです。

NY金・日足チャート 2017/8/11 - 9/1515日のNY金相場は0.31%の反落。日本時間朝に発射された北朝鮮の弾道ミサイルによる市場反応は極めて限定的にとどまり、1330ドル台後半まで反発した後は軟調推移の展開。NYダウは6日続伸で最高値更新が続き、米10年債利回りは3週間ぶりに2.2%台を回復するリスク回避の巻き戻しが継続。為替市場は英BOE利上げ示唆以降のポンド急騰に牽引され、円キャリー復活の様相を見せる円全面安の流れで相対的なドル高。この日の米経済指標は冴えない結果も目立ち、金価格を下支えする場面もあったものの、前日の米8月CPI上振れ以降の年内追加利上げ観測再燃は揺らがない状況。NY金は9月8日高値でいったんピークアウトしての調整局面が進行中。この日の安値では前日安値を下回らない底堅さも、あらためて短期下値目安1310ドル台まで下値を切り下げる可能性を残しながら、次週FOMCでの見通し動向に今後の展開を委ねる状況に。
週間ベースでは-26ドル(1.92%)と4週ぶり反落。

NYプラチナ・日足チャート 2017/8/11 - 9/15NYプラチナ相場は0.93%安となり、11カ月ぶりとなる6日続落で8月15日(967.4)以来1カ月ぶりの安値水準に。NY市場では一時960ドル台まで下げて970ドル台へと反発、短期下値目安970ドル台を多少行き過ぎて戻した状態でもあり、水準的にはいったん落ち着きやすいところ。次週FOMC動向によって変動する金の流れに連れ、次の展開へ。金との価格差は連日の過去最大更新で初の350ドル超え、353.4ドルへと拡大。
週間ベースでは-40.5ドル(4.0%)、3週ぶりの反落で4カ月ぶりの大幅下落、週間の下げ幅としては今年2番め。

ドル円・日足チャート 2017/8/14 - 9/15ドル円は0.56%のドル高円安へと反発。東京市場朝一の109円半ばまでの急落がこの日の安値となって買い戻しの展開へ。円全面安の流れに支えられて欧州市場にかけて111円30銭台まで反発し、NY市場では米8月小売売上高や鉱工業生産の不調に111円割れへと反落も終値ベースでは7月27日(111.22)以来、1カ月半ぶりのドル高円安水準。9月8日の107円30銭台で円高トレンドが底打ちし、反発基調が継続中で7月11日以降の下げ幅の50%戻しとなる110円90銭を超えて押し戻され、50%ライン付近に収束した状態。61.8%ライン111円70銭台トライか、38.2%ライン110円00銭台へと反落かはFOMCの動向次第となり、中立から強気方向なら円安継続で上方向へ。弱気見通しなら反落へ。
週間ベースでは+3.05円(2.83%)の反発。週間上昇率としては昨年11月の米大統領選後の週以来、10カ月ぶりの大幅上昇。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/15終値とチャート

2017年9月16日(土)時点の相場
国内金5,045 円 9/15(金) ▲24(0.48%)
国内プラチナ3,752 円 9/15(金) ▲7(0.19%)
NY金1,325.2 ドル 9/15(金) ▼4.1(0.31%)
NYプラチナ971.8 ドル 9/15(金) ▼9.1(0.93%)
ドル円110.85 円 9/15(金) ▲0.62(0.56%)

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