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またもサプライズ!日銀は閑散期へ向かうマーケットへの補完措置?
更新日:2015年12月19日(土)
歴史的な米国の利上げ決定を素直に受け入れたマーケットは、クリスマスに向けて静かな週末を迎えようとしていた矢先、思わぬサプライズに一転、大荒れ模様の週末を過ごすことを余儀なくされました。
無風通過を決め込むマーケットに動揺が見られ始めたのは正午過ぎ。12時半を回っても日銀の政策発表が聞かれないことへの疑心暗鬼から円安日本株高の流れがじわじわと進行、そして13時前、日銀は「マネタリーベース年間80兆円の金融調節を行う」現状の政策維持に加え、「国債買い入れ平均残存期間を7-10年から7-12年に延長」することや量的・質的緩和の「補完措置」として現状年間3兆円のETF買い入れとは別に3000億円の枠を新設し、「設備・人材投資に積極的に取り組む企業」の株式を対象とするETFの買い入れを、2016年4月から実施することなどを発表。

追加緩和?との判断から日経平均は400円以上の急騰で19,900円手前まで、ドル円も1円の急騰で123円50銭台まで上昇。しかし、追加緩和にしては国債買い入れ規模の拡大もなしで地味過ぎる内容。そもそも冒頭で「年間80兆円」維持としている訳で、はたと気づいたように円安日本株高の流れは急速に巻き戻し。
内容的にもタイミング的にもやや理解に苦しむ発表となり、黒田日銀総裁会見でも「量的・質的金融緩和の補完措置」であり、「資産買い入れの円滑化と緩和効果の浸透のため」との説明。春闘対策でもないこと、今後必要となるかもしれない追加緩和を円滑に進める為、といったニュアンスの発言も聞かれたものの、今、6対3で強引に決定すべき内容かとの疑念も残り、市場には失望感蔓延、日銀への期待感剥落といったムードで円高日本株安基調は一段と進行することに。

結局、日経平均は先物で18,800円台まで下洛、一日で1,000円を超える大幅上下動となる乱高下の週末。日銀の緩和策への補完措置は、本来ならクリスマス休暇に向けてボラティリティ低下へと向かうはずのマーケットに対する刺激策として、ボラティリティ補完措置の役目を果たしてしまったようです。

なお、原油安が続くなか、NY市場でもダウが300ドル超の下落で2日続落。結局米国の利上げに対するご祝儀買いの後は、従来の原油安懸念などによるリスク回避傾向の流れに戻ってしまった様子。日銀ショックがなかったとしても、この傾向はそれほど変わらなかったとも考えられそうです。
円高株安地合いがしばらく続くようなら、日銀による本気の追加緩和への可能性も再び高まる可能性もありそうです。
もしかすると、これを見越した補完措置だったのかもしれません。

NY金・日足チャート 2015/11/18 - 12/1818日のNY金相場は1.47%の大幅反発。日銀ショックによるパニック相場を傍観し、NY時間には米株軟調推移に呼応して1070ドル台まで急上昇。原油相場の連日の安値更新に伴う警戒感からの株安基調に代表されるリスク回避の思惑と、米利上げに伴うドル高傾斜への思惑が燻ぶる警戒感とが交錯し、安値圏での乱高下状態での保ち合いを形成中。下方リスクは一時的にやや緩和された状態ながら、再び下値トライへと向かえば1020ドル辺りまでの下落余地が想定され、1080ドルの上限超えなら1110ドル台に向けた上昇トレンド開始の可能性。
週間ベースでは-10.7ドル(0.99%)の小幅続落。

NYプラチナ・日足チャート 2015/11/18 - 12/18NYプラチナ相場は1.91%の大幅反発。安値圏での乱高下保ち合い状態のボラティリティは金を上回り、840ドルから880ドルのレンジで激しく上下動しながら反発へのチャンスをうかがうような状態に。リスク回避的な流れが強まり、金の急騰に連れ高となった場合の上値目標は930ドル台、逆の流れで下値再トライとなれば安値大幅更新で800ドルを大きく割り込むリスクも。
週間ベースでは+17.1ドル(2.03%)の反発。

ドル円・日足チャート 2015/11/19 - 12/18ドル円相場は5日ぶりの反落で1.06%の大幅ドル安円高。1日で上下2.5円の値幅は8月24日のチャイナショックの日以来で今年2番めの大幅変動。日銀政策発表直後に123円50銭台のレンジ上限まで急騰後、期待はずれの急反落で元の水準122円半ばを突き抜けるとジリ安の展開で121円割れ寸前まで下落。NY市場にかけても戻りは限定的となり、短期レンジを120円台後半から122円半ばへと切り下げる形に。下方向にレンジブレイクなら120円割れを試す可能性、上方向へのブレイクなら123円台後半までがメドとなり、当面の上下双方向への調整は限定的に。
週間ベースでは+0.4円(0.33%)の小反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/18終値とチャート
2015年12月19日(土)時点の相場
国内金:4,443 円 12/18(金) ▼71(1.57%)
国内プラチナ:3,573 円 12/18(金) ▼118(3.20%)
NY金:1,065.0 ドル 12/18(金) ▲15.4(1.47%)
NYプラチナ:860.8 ドル 12/18(金) ▲16.1(1.91%)
ドル円:121.25 円 12/18(金) ▼1.30(1.06%)
→12/18(金)のその他主要マーケット指標

←国内金プラチナ価格の年末安値予想と現状 12/21(月)
→利上げ開始の12月は原油安による低インフレ懸念に製造業低迷継続 12/18(金)
→緩やかな利上げフェーズは落ち着き払った静かなスタートに 12/17(木)
→コアCPI前年比2.0%上昇で利上げスタートには好材料 12/16(水)

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