2014年5月、インドの第18代首相に就任したナレンドラ・モディ氏が推進する経済政策。
インド西部・グジャラード州の首相を務めた10年余りの期間でのめざましい経済成長は「グジャラートモデル」として世界の注目を集め、これをインド全国へ導入することを選挙公約としたモディ氏が率いるインド人民党が30年ぶりに単独過半数政権を樹立したことで、モディ政権への期待は国内外含め、急速に高まることに。
モディノミクスでは、インフラ整備にインフレ抑制、国内経済の回復と雇用創出、財政改革と行政改革などの主要政策を掲げ、過去の計画経済との決別を図り、世界の製造・輸出拠点構想などを含めて真の大国への大転換を目指します。
日本のアベノミクスと似ているとも言われ、金融政策における課題は日本のデフレ脱却に対してインドでは脱インフレ、という違いこそあれ、財政出動によるインフラ整備で経済の底上げを図り、海外からの投資を呼び込もうとする成長戦略などは同じような考え方と言えます。
欧米の投資家の注目を集め、期待先行により、既に外資が株式市場に流れ込み、株価が上昇し始めているところまで同じような流れとなっています。そんなインドとの互恵関係を強めることへの期待も、日本では急速に高まります。
多くの企業家がモディ政権の一連の対策を支持している、というインド地元紙の調査結果も出ており、米格付け会社ムーディーズによれば、一連の構造改革が着実に実現するならば、4%台が続く最近の成長率が7%台まで加速することも難しくはない、とのことです。
反面、インドでは自治権の強い州政府と中央政府との関係性も問題視され、親モディ派とみられる州は全体の3割程度とも言われ、州政府との協力体制を構築することの難しさも指摘されます。中央政府においても、下院で過半数の与党も上院では過半数に達していないという、ネジレ構造も残り、汚職が横行してきた体質の一新にも疑問符が残るところです。
なお、7月上旬に発表されたモディ政権下初の政府予算案では、規制緩和と密輸防止の一環として、前年10%まで引き上げられていた金の輸入関税引き下げや、輸入分の20%を輸出に振り向けるという規制の緩和も予想されていたにも関わらず、全て現状維持。インドの金輸入量減少傾向への歯止めを期待していた金市場や、不人気政策撤廃を望んでいた国内業者の期待をあっさりと裏切りました。経常赤字のさらなる削減を優先したもようです。
金融政策によるロケットダッシュの後、成長戦略で期待を裏切る状態が続いたアベノミクスでは、2年めの株価は大きく低迷しています。世界の注目がアベノミクスからモディノミクスへと移行し、投資マネーも日本からインドヘと流れ始めたとの見方もあります。
アベノミクス第ニ章での巻き返しはなるのか、それ以上に、インドの株価指数の好調はどこまで持続するのか、日本株の二の舞いとなるのか、そしてモディノミクスの成否は?
インド経済の今後の動向に、注目度は高まります。
最終更新:2014年08月29日
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