2015年はゆっくりとドル高ルピー安が進行。12月11日には2013年9月3日(67.63)以来、2年3カ月ぶりルピー安水準となる1ドル=67.15ルピーへ。2016年は66ルピー台を中心に安定推移が継続。4月4日の66.14ルピーで年初来のルピー高。11月にはトランプ米次期大統領誕生後のドル高ルピー安進行で23日には68.78ルピーで過去最安値(68.79)となった2013年8月28日以来のルピー安水準に。2017年はゆるやかにルピー高が進行、8月2日には63.63ルピーと2年ぶりのドル安ルピー高。2018年1月5日には63.34ルピーとなり、2年半ぶりのルピー高。6月28日には68.84ルピーとなり、ルピー最安値を更新。8月13日には初の70ルピー台、10月9日には74.30ルピー台。2020年2月以降は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより新興国通貨安が進行、3月後半からルピー最安値を連日更新、4月21日には76.97ルピー台。その後はルピー高傾向で2021年3月には72.37ルピー。2022年春にはドル高ルピー安が進行、5月以降はルピー最安値更新が続いて2023年12月には83.40ルピー台、2024年12月には84.80ルピー台。
世界の金消費大国インドでは年間約1,000トン(2011年)、世界の2割を占める需要があり、投資、宝飾需要などで大量の金を買い支える巨大市場となっています。 インド国内の金価格は、世界の金需要に大きく影響します。 インドの為替レート、ドル/インドルピーとNY金価格、ルピー建て金価格の推移から、その動向をチェックします。
2011年夏場、NY金価格が急上昇し、史上最高値を更新し続けた頃、上段チャートより、為替も1ドル=40ルピー台半ばから緩やかに上昇します(ルピー安へ)。 下段チャートより、この時期のインド国内金価格もNY金価格の上昇に合わせて急騰、さらにルピー安から急騰の流れが継続します。
2011年後半の為替、ドル/インドルピー相場は年末までほぼ同じ角度で上昇を続けます。この影響でインド国内金価格は、NY金価格と同じような上下動ながら、そのレンジが徐々に切り上がっています。 2011年11月頃には、NY金価格が最高値から150ドルも下がっているのに対してインドルルピー建て価格は夏場の高値を超えていました。 年末のNY金価格急落局面でも、インド国内価格はルピー安に支えられて下落は限定的でした。
2012年にはドル/インドルピーが年初の下落から上昇に転じ、5月以降は過去最高値圏(ルピー最安値圏)での推移が続き、9~10月にかけてやや下落、その後反転上昇。 2011年末から2012年にかけてのドル/インドルピーの推移とNY金価格の推移を見ると、逆相関の動きになっています。ドル/インドルピー上昇(ルピー安)でNY金は下落、ルピー高局面ではNY金は上昇。
NY金価格は2011年夏に1,900ドル付近、2012年11月には1,750ドル付近で約150ドル(7.9%)下落。 為替、ドル/インドルピーは1ドル=44ルピーから55ルピーまで11ルピー(25%)上昇。 インド国内の金価格は2,300ルピーから3,100ルピーまで800ルピー(34.8%)上昇。 インドルピー建て金価格の高騰は、インド国内での金消費の鈍化、世界の金消費の鈍化へ、そしてNY金価格の大きな上昇圧力減退へとつながります。
2012年11月後半にかけてインドルピーは対ドルで再び最安値圏(ドル高インドルピー安)となる1ドル=55インドルピー台後半まで急上昇、これに伴いインドルピー建て金価格もグラムあたり3,100ルピー台の過去最高値圏まで急上昇しましたが、月末には為替も金価格も急落しました。 2013年6月以降にインドルピー安が一段と進行し、2012年6月に記録した史上最安値水準を更新し続け、8月28日には68ルピー台へ。年後半にかけては、ルピー安も落ち着き始めました。
2020年1月、ルピー建て金価格はグラムあたり3650ルピーを超えて過去最高値を更新、4月には4000ルピー超、8月6日には4983ルピー。2022年3月には5051ルピー、2023年1月に5100ルピー超、12月には5600ルピー超。2024年4月には6400ルピー、10月には7500ルピー超。