更新日:2014年7月11日(金)
金融市場の低ボラティリティは投資家の行き過ぎた安心感を示す、とFRBも懸念していることがFOMC議事録の内容から判明した翌日、早速、忘れかけていたユーロ不安の再燃か?と思わせるようなリスク回避の流れが起きました。
夕刻、欧州時間が始まると同時に伝わったポルトガル国内最大の銀行、バンコ・エスピリト・サント(BES)の破綻懸念により、ユーロ売り、株売り、円買い、金上昇が急速に進行しました。久々に、金融不安を煽るようなネガティブ・サプライズと認識した市場は、やや行き過ぎとも言える極端な流れに走ったようです。
BESの株価は19%下落した後、取引停止となり、ポルトガル国債利回りも急上昇、かつて信用不安を招いた南欧諸国へも波及し、ギリシャやスペイン、イタリア国債の利回りも上昇。
ユーロ危機の時のような流れになると、信用のある主要国の国債が買われ、米・英・ドイツ・日本の国債利回りは低下。結果的にドル円の下押し材料にも。
しかしポルトガル中銀により、BESの支払い能力は堅固で、財務状態は最近の資本増強で大幅に強化されていることなども伝えられ、市場の不安も限定的に。
NYダウは一時180ドルもの急落となったところから切り返し、前日比70ドル安、0.42%安の水準まで戻しています。米国への影響も限定的との見方が大きく買い戻しへとつながったようです。
ただし、ドイツDAX指数は1.52%の下落となり、4月25日以来2ヶ月半ぶりの大幅下落。ユーロ圏の景気の弱さや不安定さを象徴しているようです。
とりあえずは、FRBも懸念する、経済や金融政策の不確実性の織り込み不十分な市場に対する、格好の刺激材料となりました。
10日のNY市場、金相場は1.13%の大幅続伸で3月19日以来、約4ヶ月ぶりの高値水準へ。ポルトガルの金融報道を受けたリスク回避の流れで一時1,346.8ドルまで急騰、NY時間には徐々に落ち着きを取り戻し、1,330ドル台半ばへ。抵抗線となりつつあった1,330ドルのラインをネガティブ・サプライズで突き抜けたことで、目標水準1,350ドル台近辺に3週間かけてようやく到達。
また、インド政府が発表した予算案で金の輸入関税が10%据え置きとなり、引き下げを見込んで取引を控えていた業者による在庫補充の動きが実需を支え、金相場のサポート材料となることも予想されます。
プラチナ相場は0.67%高の3日続伸でまたも年初来高値更新。一時的には1,520ドルのレジスタンスラインを超えて1,523.8ドルまで上昇し、上方向への勢いを再加速。終値ベースでもレジスタンスラインを超えることができれば、当面の上値目標水準として1,550ドル近辺が浮上。サポートラインは1,490ドル台。
ドル円は0.29%の反落。ポルトガルの金融不安を背景に対ユーロではドル買い進行も対円ではリスク回避のドル売り円買い。米新規失業保険申請件数は雇用市場の好調さを示したものの材料視されず、米株の下落などに連れて一時101円06銭まで下落。5月21日安値100円82銭と6月30日安値101円23銭を結んだサポートラインを割り込み、5月20日終値101円33銭、6月30日終値101円32銭で構成する101円30銭のサポート水準下限に位置する状況。ポルトガルの金融不安が一時的なものに終わったとしても、ドル円の流れが変わり、サポートライン割れ、100円の大台割れへと推移する可能性への警戒感は高まります。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/10終値とチャート
国内金価格は0.41%続伸で3月18日以来、4ヶ月ぶりの高値水準。4,600円近辺の保ち合い水準上放れの可能性が高まり、4,720円の目標水準を目指す流れ再開へ。ただし手前には、4,700円の大台ライン、今年高値4,708円と抵抗線となり易い水準がが控え、RSI(14)も低下傾向となり、勢いはそれほど強くはない。
週間ベースでは+28円(+0.61%)で続伸。
プラチナは前日比+1円。連日の年初来高値更新も5,240円台のレジスタンスライン突破するかどうかの状態で横ばい推移。この水準を明確に上抜けた場合の上値目標は最大で5,360円付近が浮上することに。
週間ベースでは+29円(+0.56%)の続伸。
※参考:金プラチナ国内価格7/11とチャート
2014年7月11日(金)時点の相場
国内金:4,654 円 7/11(金) ▲19(0.41%)
国内プラチナ:5,246 円 7/11(金) ▲1(0.02%)
NY金:1,339.2 ドル 7/10(木) ▲14.9(1.13%)
NYプラチナ:1,517.0 ドル 7/10(木) ▲10.1(0.67%)
ドル円:101.34 円 7/10(木) ▼0.30(0.29%)
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