更新日:2014年12月18日(木)
QE完了後、利上げまでの「相当な期間(considerable time)」が2カ月経過した今、低金利はもうしばらく継続するが、金融政策正常化(利上げ)に向けた時期を「忍耐強く(patient)」待つことができる・・・FOMC声明文は市場の意表を突く、合わせ技でした。
本来なら、利上げに向けて「相当な期間(considerable time)」を削除したかったところ、市場への配慮を見せて一応残した、というところでしょうか。若干の乱高下をはさんで緩和傾向継続を好感するように株価は堅調推移へ、極端にドル高へと傾斜することもなく、金もいったん下落後に持ち直し。バランス重視の声明文にバランスのとれた市場反応となった形。
2015年の成長率見通しは2.6-3.0%と9月から変わらず、失業率見通しは5.2-5.3%へと改善方向へ修正、インフレ率は1.0-1.6%へと鈍化方向へ修正。
利上げを急ぐ必要性のないことも示され、FOMCメンバによるFF金利見通しでも2015年末の中央値1.125%、2016年末の中央値2.50%と、いずれも9月からは小幅に低下。
イエレン議長会見でも今後2会合では利上げしないことを明言。
裏を返せば、3月のFOMCまでは利上げしないが、それ以降はわからない、経済指標次第で利上げするかも、ということに。
ドットチャートを見れば、17人中15人が2015年のうちには利上げするだろうと予想し、その15人全てが年末までに0.625%以上に達すると見込んでいる状況。0.25%づつの利上げでも最低2回以上、0.125%刻みを採用するなら4回以上の利上げも想定されます。となれば、遅くとも2015年半ばには1回めの利上げを行うのは妥当な流れと言えそうです。
市場とのコミュニケーションとバランス重視のイエレン議長の巧みなコントロールによって、市場もゆっくりと利上げを織り込み始め、次第に忍耐強くなって行きます。
17日のNY金相場は0.02%の小幅反発。FOMCを控えて小動きの状態に終始、引け後のFOMCでは、声明文に「相当な期間(considerable time)」が維持されたことでファーストリアクションでは1,200ドル台前半へと急騰。しかし、利上げを前提とした「忍耐強く(patient)」との共存であること、イエレン議長の会見を経てややタカ派寄りのスタンスも確認されたことにより1,180ドル台前半まで急落。その後はゆっくりと戻りを試す流れにあり、1,190ドル台を回復。夜間、NY市場にかけて再び下値を試す流れも想定され、その場合には下値ターゲット1,150ドル台を目指す可能性も高まることに。
プラチナ相場もNY終値ベースでは0.25%の小幅反発。しかし金に追随する流れで、今朝には一時1,190ドル割れを試す場面もあり、短期下落トレンドが継続中。当面の下値目標水準は1,160ドル近辺。
ドル円は1.93%の大幅反発。15日安値で115円50銭台をつけたことで今回の調整局面はいったん終了した可能性も。FOMC後の乱高下を経て高値更新の流れで118円80銭のレジスタンスラインとの攻防が継続。この水準を明確に上抜けると121円台半ばへと再び高値更新トライへと向かう可能性が高まる。目先は原油相場とロシア動向がリスク要因として円高材料に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/17終値とチャート
18日の国内金価格は0.91%高で4日ぶりの反発。円安調整局面を終えての反発、NY金の下値トライにはまだ躊躇の動きから国内価格は反発。上昇トレンドを終えて下押し圧力が高まり始めていた矢先に下げ止まりの兆し、4,820円台をサポートラインとしてレンジ形成への可能性。サポートライン割れの場合には大幅下落の可能性も。
プラチナ価格も4日ぶりに1.1%の大幅反発。12月1日と17日、4,840円台で2度めの反発となり、重要な節目を形成。しかし、既にトレンドは転換し始めている可能性が高く、下値警戒感のほうが高い状況。重要な節目を下抜けた場合には下方向へと再加速、4,700円割れの可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格12/18とチャート
2014年12月18日(木)時点の相場
国内金:4,870 円 12/18(木) ▲44(0.91%)
国内プラチナ:4,893 円 12/18(木) ▲53(1.10%)
NY金:1,194.5 ドル 12/17(水) ▲0.2(0.02%)
NYプラチナ:1,199.5 ドル 12/17(水) ▲3.0(0.25%)
ドル円:118.64 円 12/17(水) ▲2.24(1.93%)
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