更新日:2015年3月12日(木)
ECBのドラギ総裁は量的緩和によるインフレ期待の上昇効果を主張しました。その影響もあってか、通貨ユーロの下落が一段と進行しています。
対ドルでは12年ぶりの安値水準へと到達し、年初来では12.8%ものユーロ安ドル高となっています。
既に量的緩和を導入して約2年経過してもインフレ率がなかなか上昇せず、2年で2%と高らかに宣言された目標も未達のままうやむやになっている日本の通貨円も、対ドルでは7年ぶりの安値水準へと到達しています。しかし今年は、年初来で1.4%のドル高円安にとどまっています。
今年に入って激化した先進国の通貨安競争では、円安の勢いはすっかり衰え、ユーロ安の独壇場となっています。
意図した(公には意図していない)通貨安競争とは別に、本当に意図していないにも関わらず通貨安に陥り、なんとか脱出を図りたい、脱・通貨安競争も熾烈を極めます。
ドル買いの流れが強まると売られやすい新興国通貨は今週に入って軒並み今年最安値を更新中。
南アフリカの通貨ランドは経済成長率の弱さなどを背景に、対ドルでは13年ぶり安値を更新。南アランド建てプラチナ価格も上昇し、プラチナ相場の下落余地を拡大する結果につながっている可能性もありそうです。その南アランドの年初来騰落率は6%のランド安ドル高。
今、アジアで最も売られているインドネシア・ルピアも17年ぶり安値水準となり、年初来では6.5%のルピア安ドル高に。
エルドアン大統領が中銀に対して利下げ圧力をかけるなど、金融政策も混乱気味のドルコの通貨リラは過去最安値を更新中。年初来では11.8%のリラ安ドル高。
新興国の脱通貨安競争で大きく出遅れ、ユーロを凌ぐ通貨安となっているのがブラジルレアル。国営石油会社ペトロブラスの巨額贈収賄事件などに揺れるブラジルの通貨レアルも売り込まれて10年ぶり安値水準。年初来では17%ものレアル安ドル高。
なお、昨年までのフラジャイル・ファイブから完全に脱した形のインドのルピーは年初来で0.4%のルピー高ドル安。
また、今年注目を集めたロシア・ルーブルは現在、年初来7%程度のルーブル安ドル高。ただし、2月1日には20%ものルーブル安となっていました。
米国の利上げが決定するまで、通貨安競争の流れはもう少し続きそうです。
11日のNY市場、金相場は9.5ドル(0.82%)の続落。対ユーロを筆頭にドル買い優勢の流れとなり、11月6日以来4カ月ぶりの安値水準へ。欧州時間序盤までは1,160ドル近辺を維持していたものの、金への売り圧力が強まると一時1,140ドル台まで下落。短期的には一度反発するか保ち合い傾向へと移行してもおかしくない状況。ECBの量的緩和スタートとともに再加速したユーロ売りドル買いの流れに牽引されるようにドル買い金売りも継続、ユーロドルとの連動性が高まり、売られ過ぎ圏へ。昨年最安値1,130ドルが意識される水準となり、2番底を付ける形でいったん底入れするかどうか、という状況に。
プラチナ相場は1.29%の大幅安で7日続落。売りが売りを呼ぶような流れになりやすい状況となり、やや行き過ぎ状態が継続。1,100ドルの大台付近が当面のサポートラインとして意識されやすい水準。なお、プラチナの年初来下落率は7.73%に。
ドル円は0.26%の小幅上昇となり、終値ベースでの昨年高値121円40銭を超え、2007年7月以来7年8カ月ぶりの高値水準に。反落への警戒感もあったなか、ドル買い圧力の強さを見せ、3日連続で121円台を維持。しかし122円が上値抵抗線となる状態があと1週間程度継続しそうな状況。FOMC後に上値トライか反落か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/11終値とチャート
12日の国内金価格は0.45%の続落で昨年12月17日以来、3カ月ぶりの安値水準へ。4,820円近辺の下値目標を目指す流れが継続。4,900円が上方向への抵抗線。
プラチナも0.51%の続落で昨年10月31日以来、4ヶ月半ぶりの安値水準。NYプラチナの売りが止まらず4,730円の下値メドをオーバーラン。NY市場の売りがもう一段進むようなら4,640円付近が次の下値メドに。
※参考:金プラチナ国内価格3/12とチャート
2015年3月12日(木)時点の相場
国内金:4,843 円 3/12(木) ▼22(0.45%)
国内プラチナ:4,708 円 3/12(木) ▼24(0.51%)
NY金:1,150.6 ドル 3/11(水) ▼9.5(0.82%)
NYプラチナ:1,115.4 ドル 3/11(水) ▼14.6(1.29%)
ドル円:121.45 円 3/11(水) ▲0.32(0.26%)
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