更新日:2015年5月23日(土)
4月の消費者物価指数(CPI)が発表され、前月比では3月の+0.2%から+0.1%と鈍化し、前年同月比では-0.1%から-0.2%へとマイナス幅を拡大し、2009年10月以来の落ち込みとなりました。やはりガソリン価格下落の影響は大きいようです。
より重視される、食品とエネルギーを除くコアCPIは、前月比+0.3%となり、3月の+0.2%から上昇。前年同月比では+1.8%で3月と同じ。いずれも市場予想を上回り、今後の物価上昇傾向を期待させる結果となったことで、低迷状態が続く米経済指標のなかでは安心材料のひとつとなったようです。
消費者物価指数のなかでは最も重要視されるコアCPIの前年同月比は、物価目標とされる2%に最後に達したのが昨年5月で、それ以降低下傾向となっていましたが、12月と1月の1.6%を底値に反発基調となっています。水準的には既に2%も射程圏内で安定推移に入りつつある状況です。
イエレン議長がこの日の講演で、このところの経済減速は「一時的要因」であり今後は力強さを増す、との見方を示した裏付けのひとつとなった形です。
CPIについては、イエレン議長の年内利上げへの思惑を阻害する要因からは既に除外されつつある状態かもしれません。
それでもインフレ率が上向かない状況にまだ懸念を示しています。
FRBの物価目標2%の判断基準となる、個人消費支出、PCEコア指数の前年比では、3月まで+1.3%の状態が4カ月続き、最後に2%に達したのは2012年の4月。こちらは2%へと向かう兆しはまだ見られません。6月1日に発表される4月分のPCEコア指数が注目されます。
そして、イエレン議長が「失望させるようなペース」と嘆く賃金上昇率は、6月5日に5月分が発表されます。
22日のNY金相場は前日比わずか0.1ドルの続落。景気見通しを引き上げた日銀の黒田総裁会見でややドル売りが進んだことに伴い1210ドル台へと水準を切り上げた後、米4月のCPIコア指数が予想を上回ったことを受けて1200ドル割れ寸前まで急落。1200ドル割れ寸前まで売られて反発する流れは3日連続、しかしイエレンFRB議長講演での「年内初回利上げ想定」発言で上値も限定的に。1200-1210ドル台で動きが止まったトレンドレス状態。月末にかけてレンジを拡大した場合でも、5月のレンジ1180ドルから1230ドルまでの範囲内を想定。その後、場合によってはこのレンジを抜け出す可能性。
週間ベースでは-21.3ドル(-1.74%)で3週間ぶりの反落。
プラチナ相場は0.32%の続落。金と同様に小幅レンジでの推移が続き、一時的に1140ドル台まで下げて1150ドル台に戻すパターンは4日めに崩れ、直近のサポート水準となっていた1150ドルに戻し切れずに終了。5月のレンジ下限付近となる1130ドル割れ水準までの下落が見込まれる状況に。上方向には1160ドルが当面の抵抗線。
週間ベースでは-20.5ドル(-1.75%)となり、4週間ぶりの反落。
ドル円は50銭の反発となり終値ベースでの年初来高値を更新。終値での121円50銭台は2007年7月19日(122円02銭)以来、7年10カ月ぶりの高値水準。5日続伸後の反落となった前日の流れを引き継いでの軟調推移が続き、円安材料も特に見当たらなかった黒田日銀総裁の会見終了時には120円60銭台まで下落。しかし米4月のCPIコア指数の上振れを受けて121円50銭台へと急騰、イエレン議長講演にも支えられて高値圏を維持。調整フェーズを経てドル買い円売りの流れが加速した形に。122円の高値更新トライを経て目標水準123円台半ばを目指す展開へ。
週間ベースでは+2.13円(+1.78%)、3週間ぶりの反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/22終値とチャート
2015年5月23日(土)時点の相場
国内金:5,019 円 5/22(金) ▼14(0.28%)
国内プラチナ:4,815 円 5/22(金) ▼11(0.23%)
NY金:1,204.0 ドル 5/22(金) ▼0.1(0.01%)
NYプラチナ:1,148.6 ドル 5/22(金) ▼3.7(0.32%)
ドル円:121.53 円 5/22(金) ▲0.50(0.42%)
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