更新日:2015年11月7日(土)
非農業部門雇用者数(NFP)が前月比27.1万人増加という誰も予想しなかった高水準となり、想定外のポジティブ・サプライズとなった米10月の雇用統計。
完全雇用の水準にまで回復した労働市場にあって、NFP前月比+20万人以上は持続不可能であり、10万-12.5万人の伸びで十分に人口増加とトレンド成長率を支えることが可能と言っていたセントルイス連銀ブラード総裁の言葉を否定するかのような結果に加え、失業率も2008年4月以来、7年半ぶりの低水準となってリセッション前の水準を回復。U6失業率も2008年5月以来の水準へと低下。
さらに、これまでネックと見られていた賃金にも明るい兆し。9月に前月比マイナスとなっていた平均時給も上方修正され、10月は25.2ドルとなって前年同月比では2.48%上昇。2009年7月(2.59%)以来6年3カ月ぶりの上昇率となり、2%前後の保ち合いが続いていた状態から上方へとレンジブレイクした形。相場ならダマシにも警戒しなければならないところですが、次回にそれほど落ち込まない限りは利上げに向けては十分なサポート材料となりそうです。
この結果を受けてドル円もドル高方向へとレンジブレイクしたのは当然の流れとして、日経平均先物もドル円急騰に連れて19400円台へと急騰、NYダウは乱高下となって最終的には前日比0.07%の小幅高。12月利上げ濃厚となるなかで米株が下落しなかったことは、イエレン議長にとっても何よりの安心材料となりそうです。
そして、CMEのFedWatchでの12月利上げ確率は前日の58.1%から69.8%へと急騰。市場の織り込み度合いも急速に進行。
イエレン議長が頑なに「年内」と言い続けてきたことが、ようやく現実化に向けてシナリオどおりに進み始めた様子です。
6日のNY金相場は1.49%の大幅安となって7日続落。雇用統計の結果を受けて20ドルの急落、8月5日以来3カ月ぶりの安値水準となる1080ドル台まで水準を切り下げることに。想定以上のサプライズに想定されたMAX水準の下落幅となり、早々の2番底形成状態。7月24日終値1085.5ドル、同安値1072.3ドルが意識される水準となり、反発できなければ2番底ではなく、今年安値更新トライへ。利上げ確定ではなく、年内利上げ濃厚となった段階で今年安値圏まで下げてしまったことにより、今後は若干の自律反発を交えながらも今年安値更新再トライ濃厚に。当面の下値目安としては2010年2月安値1040ドル台辺りまでが意識されやすい水準に。
週間ベースでは-53.7ドル(4.7%)の大幅安となって3週続落。週間下落率4.7%は今年安値をつけた7月後半の4.1%を超え、昨年10月末の4.89%以来1年ぶり。
NYプラチナ相場も1.37%の大幅安で7日続落。7日合計72.8ドル、7.19%の下落となり、続落での下落率としては近年最大水準。10月前半の上昇幅に対する61.8%戻し(946.6ドル)を達成した水準となり、一段落となル可能性も。しかし、当面は金に連れ安となる展開も予想され、目先の下値目安としては76.4%戻しとなる927.7ドル、そして再び900ドルの大台も意識されそうな状況に。
週間では-49.1ドル(4.96%)の大幅安で3週続落。今年安値となった10月2日までの週の4.61%を超え、昨年9月末の5.84%以来の急落。
ドル円は1.17%の急騰で5日続伸。7月10日以来4カ月ぶりの大幅高となり、中国ショック直前の8月20日以来2カ月半ぶりとなるドル高円安水準に。122円手前の膠着状態で迎えた雇用統計の結果に1円以上の急騰。利益確定と週末に伴う手仕舞い売りによる戻りも浅く、買い圧力が衰えない状態のまま引けた状態。想定された上値メド122円台後半には一瞬にして到達すると、その後もドル買いの勢いは止まらず123円台へ。週明けにはオセアニア、東京市場で追加のドル買いも予想され、若干水準が切り上がることも想定され、その後は一段落へ。当面かなりネガティブな指標や材料が出ない限りは円高方向への戻りも限定的か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/6終値とチャート
2015年11月7日(土)時点の相場
国内金:4,641 円 11/6(金) ▼6(0.13%)
国内プラチナ:4,003 円 11/6(金) ▼8(0.20%)
NY金:1,087.7 ドル 11/6(金) ▼16.5(1.49%)
NYプラチナ:940.0 ドル 11/6(金) ▼13.1(1.37%)
ドル円:123.16 円 11/6(金) ▲1.42(1.17%)
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