更新日:2015年12月18日(金)
米FRBが利上げ開始を決定した12月は、原油安が一段と進行しつつあり、米国の製造業に吹き荒れる逆風状態も一段と強まりそうな状況となってきました。
供給過剰懸念が続く原油相場は、ドル高懸念とも相まって35ドル割れへと安値更新し、12月の月間騰落率は-16.09%に達しています。昨年12月の-19.47%、今年7月の-20.77%に続き、大幅下落となりそうな勢いで、このままいくと半年サイクルで急落局面を形成することになります。
100ドルから50ドル台へと急落した状態が1年以上継続するなら、インフレへの影響面だけを見れば、インフレ率前年比でも下げ止まる可能性が高まりますが、一定期間を置いて一段安となる現状からは、低インフレからの脱却は、まだしばらく先のことになりそうです。
フィラデルフィア連銀が発表した12月の製造業景況指数は市場予想を大きく下回る-5.9へと悪化。新規受注の低迷が影響したようです。9月の-6.0に次ぐ低水準となり、直近4カ月のうち3カ月がマイナス圏に低迷、6カ月平均では2013年5月以来、2年7カ月ぶりのマイナス圏へと落ち込みました。
先日発表されたNY連銀の指数でも、マイナス幅は縮小しましたが5カ月連続のマイナス圏での低迷状態が続いています。
さらに、FOMCの日に発表されたマークイットの製造業PMIの12月速報値は、前月の52.8から51.3へと低下。好不況の分岐点50は上回る状態も2012年10月以来、3年2カ月ぶりの低水準となりました。同じ12月速報値ではユーロ圏の53.1、日本の52.5を下回っています。
原油安による低インフレ懸念と同様、米製造業の低迷状態からの脱却にも時間を要しそうな状況で、ドル高懸念への風当たりも強まりそうな気配です。
17日のNY金相場は2.53%の大幅反落で2009年10月30日以来、6年1カ月ぶりの安値。利上げ後の小康状態はアジア・ロンドン時間まで。NY時間に入るやいなや売り圧力が強まると1060ドル台後半から1050ドル割れへと急落。原油35ドル割れの安値更新に伴う米株急落、ドル高鈍化の流れにも金の反発は限定的。1060ドルのサポートラインを割り込んでの安値更新となったことで下値余地拡大。当面の下値目標としては1030ドルから1020ドル台。
NYプラチナ相場は4日ぶりの反落で3.57%の大幅安。880ドルラインにぶつかって反落した流れはそのまま継続、金の急落とともに加速してしまった形で9月22日以来の大幅下落となり、短期上昇トレンド加速に向けた流れは大きく巻戻し。840ドルから880ドルまでのレンジ下限割れも意識される水準となり、ここを割り込んだ場合には安値更新で800ドルの大台割れの可能性も。
ドル円相場は0.28%のドル高円安で4日続伸。ゆっくりとしたドル高円安基調が継続、1週間ぶりのドル高水準となる122円80銭台まで上昇したところでNY市場終盤の米株急落の流れに引っ張られるように小幅急落も122円台半ばを維持する堅調さ。ゆっくりと123円台半ばの抵抗線トライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/17終値とチャート
18日の国内金価格は1.57%の大幅反落。警戒されていたNY金の底堅さは24時間持続することはなく、急反落。4433円の今年安値更新なら、4400円割れへの再トライで下値余地は4330円辺りまで拡大。
週間ベースでは-56円(1.24%)の反落。
国内プラチナ価格は4日ぶりの反落で3.2%の大幅安。年初来安値更新後の急反発、そしてまた急反落で再び安値更新へ、というパターンも今年何度も目にしてきた光景。ダブルボトム完成に向けた流れは大きく失速したものの、まだ反発への勢いのほうがやや優勢の状況。上値トライ再開にはNYプラチナの一段安回避が必須条件。
週間ベースでは-21円(0.58%)の小幅安で8週続落。2012年3月から5月にかけての11週続落に次ぐ連続下落。
※参考:金プラチナ国内価格12/18とチャート
2015年12月18日(金)時点の相場
国内金:4,443 円 12/18(金) ▼71(1.57%)
国内プラチナ:3,573 円 12/18(金) ▼118(3.20%)
NY金:1,049.6 ドル 12/17(木) ▼27.2(2.53%)
NYプラチナ:844.7 ドル 12/17(木) ▼31.3(3.57%)
ドル円:122.55 円 12/17(木) ▲0.35(0.28%)
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