更新日:2016年1月6日(水)
サウジアラビアの対イラン国交断絶の余波は周辺国へも拡大、バーレーン、スーダン、UAEに続きクウェートなども追随、これに対して米・ロシアなどが仲介の動きを見せるなど緊張感は高まる様子。ただし一部で危惧されるようなサウジの油田への被害などは想定されず、原油相場も軟調、事態の極端な悪化も今のところは見込まれない様子。それでもサウジアラビアの対イラン動向をとりまく不透明感は燻り続ける状況で、中国・人民元安と株式市場の混乱に象徴される中国経済減速懸念とを合わせ、中東・中国不安によって年初のマーケットは全面リスク回避の状態が続きます。
今朝、財新(Caixin)が発表した中国の12月非製造業PMIは前月の51.2から50.2へと低下、製造業PMIに続き節目の50割れのピンチとなっています。なお、製造業とサービス業を合わせた総合指数では49.4と既に50を下回りました。その前に人民銀行が発表した基準値が人民元安ドル高となったこともあり、日本株安・円高傾向が加速しています。
年明け3日めにして日経平均は年初来4%ほどの下落、ドル円は120円台から118円台半ばへと2円近くもの円高となっています。欧米株も軟調気味のスタートとなり、年初からリスク回避傾向の流れが加速しそうな状況です。
昨年も1月にはスイスショック、ギリシャ選挙などによってリスク回避の流れが加速しました。2014年の1月には、前月のQE縮小決定によりアルゼンチンペソ急落など新興国通貨不安が高まりました。2年連続で1月にはリスク回避の流れが強まり、株安・円高、そして金は上昇、プラチナも買われました。
年初のリスク回避の流れは今年も繰り返され、1月の株安・円高・金上昇のパターンも3年連続となりそうな勢いを見せ始めています。
ただし、今年のリスク要因のなかには中国不安に米国の利上げ動向への警戒感など、金にとってのマイナス材料も含まれる為、金相場の勢いだけはやや見劣りする状況です。
今朝の株安・円高の流れに対しても、金はほぼ無反応。
1月の株安・円高・金上昇のパターン3年連続に向けても、厳しい滑り出しとなりつつあります。
5日のNY金相場は0.3%の小幅続伸。中東・中国不安を背景に安全資産としての金は底堅く推移。その一方で同じ安全資産としてのドル買いも進行し、ドルインデックスは再び99ポイント台へと上昇中。ドル高基調のなかでは金の上値も押さえられ、節目の1080ドルを一時的に上抜けることがあっても維持できない状態。週末の雇用統計の結果次第では上方向へと抜け出す可能性も。
NYプラチナ相場は0.62%の反発。ゆるやかな上昇トレンド継続で金に連れ高となる場面でも900ドルの大台ラインが心理的な節目としての抵抗感を増す様子。目標水準910ドル付近手前での足踏み状態がさらに続くようなら上方向への勢いも徐々に剥落へ。もし、ADP雇用が20万人超の好結果となって金とともに反落するような流れとなった場合、880ドル近辺を下抜けると流れが変わり始める可能性。その場合には850ドル辺りが下値メドに。
ドル円は0.32%のドル安円高で年末から3日続落。中東・中国不安によるリスク回避傾向のドル高地合いのなかでもドル円だけは円高。安全資産としてはドルよりも円、株安地合いもドル円の上値を押さえる要因となることに加え、120円前半の節目を割り込んだことによる影響も大。長い下ヒゲを残して反発した前日の流れも続かず、今朝の人民元安では118円30銭台まで円高急進、118円台前半までの下値余地に到達。米雇用指標等の結果が悪ければ到達も?との想定を上回る早々の到達。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/5終値とチャート
6日の国内金価格は0.09%の小幅続伸。ドル高地合いに金の上値が押さえられ、それよりもやや強めの円高地合いで反発も限定的となり、ゆるやかな下落トレンドが継続中。上値は重いが下押し圧力もそれほど強くはなく、4360円程度までの下値余地を残しながら週後半の米経済指標への反応でNY金とドル円のバランスが崩れることも。
国内プラチナ価格は0.3%の小幅反発。年末の堅調推移から年初の反落の兆しとなった状態からの持ち直しには至らず、3600円程度までの下落余地も変わらず。9-21日移動平均線の右肩上がりが崩れないうちに上抜け出来れば3710円の抵抗水準トライへと持ち直す展開も。
※参考:金プラチナ国内価格1/6とチャート
2016年1月6日(水)時点の相場
国内金:4,421 円 1/6(水) ▲4(0.09%)
国内プラチナ:3,666 円 1/6(水) ▲11(0.30%)
NY金:1,078.4 ドル 1/5(火) ▲3.2(0.30%)
NYプラチナ:890.0 ドル 1/5(火) ▲5.5(0.62%)
ドル円:119.06 円 1/5(火) ▼0.38(0.32%)
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