更新日:2016年6月16日(木)
予想どおりの現状維持となった6月FOMCは、前回までの2会合連続で唯一利上げを支持していたカンザスシティ連銀ジョージ総裁も含めて全会一致。2016年末のFF金利予想中央値は3月から変わらずの0.875%。しかし、平均値は3月の1.022%から0.831%へと大幅に低下。3月時点のドットチャートと比較すると、0.625%予想が1人から6人に増加。つまり、年内に1回しか追加利上げを行わないと予想した人が3月には1人だけだったのに対し、6月には6人へと増加したことになります。表面的には年内2回の利上げ見通しを維持した形ながら、実際には年内2回の可能性はかなり低下した状態です。
合わせて2017年末も2018年末も、長期見通しでも、全て中央値でも平均値でも予想は下方シフト。しかも四半期単位の見通し毎に、毎回コンスタントに引き下げられています。このペースが続けば、1年後に長期見通しは2.0%、2年後には1.0%へと低下する計算になります。
その他の予想では、GDP予想中央値が2016年、2017年ともに2.0%へと引き下げられたのに対し、コアPCEインフレは2016年末は1.6%から1.7%へ、2017年末も1.8%から1.9%へと引き上げ。2018年に目標の2%到達は同じで、原油価格の上昇を背景に、物価上昇ペースは若干早まるとの予想となっています。
また、声明文では失業率は低下したものの「雇用の拡大は弱まった」との認識を新たに示しました。その上で、イエレン議長会見では、確かに最近の労働市場データは失望を誘ったけれど、一時的な指標結果に過剰反応すべきでないことが重要であり、今後再び労働市場は強まるものと予想している、と今月6日の発言内容を繰り返しました。
そして、慎重な政策アプローチで金利目標を引き上げて行くことにより、経済成長もゆるやかに回復し、労働市場も一段と強まり、インフレ目標2%へと近づいていくことが可能となる、としています。
そのとおりになるかどうかは、非常に不透明な部分もあり、現時点ではやや弱気に傾きつつあることも、全体が下方シフトしたドットチャートの慎重姿勢が示しています。
15日のNY金相場は0.02%の小幅高で今年4度目の6日続伸。英国のEU離脱懸念によるリスク回避一服となり、1280ドル台での揉み合い推移でFOMC待ち。声明文発表直後に急騰すると5月3日(1303.9)以来1カ月半ぶり高値となる1300ドルの大台にタッチ。イエレン議長会見を経て1290ドル台での揉み合い推移から今朝には再び1300ドル超えへ。ハト派寄りとなったFOMCの結果を受けて堅調推移も継続へ。SPDRゴールドシェアの金ETF残高も2013年10月2日(901.79)以来、2年8カ月ぶりの大台超えとなる900.75トンへと増加。過熱感を高めながらも終値ベースでも1300ドルの大台超えをうかがう展開へ。目先、イベントがなければ反落必至の状態も、イベント動向次第ではさらに過熱感を高めて早々の大台超えとなる可能性も。
NYプラチナ相場は0.3%の反発。前日の大幅下落からの買い戻しで988ドルまで反発すると、戻り売りで970ドル台前半へと反落。FOMC後の金に連れての再反発では980ドル台前半までと限定的、時間外の今朝にかけては970ドル台での推移からやや水準を切り上げる動きも。現状維持で見通し引き下げのFOMCは、軟調推移に転じたプラチナの流れを変える材料とはならず。明日にかけても金がさらに水準を切り上げるような展開となれば、プラチナの下方向への節目960ドル割れ回避も。英国のEU離脱懸念に上値が重い状態は今しばらく継続へ。
ドル円はわずかに0.08%のドル安円高となって4日続落。日足レベルではジリ安の展開で終値ベースでも安値ベースでも年初来安値を更新。FOMC直後には5月3日の105円50銭台をわずかに下回る40銭台まで急落も、この水準では底堅さを見せて106円台へと反発する「行って来い」。3日連続で安値では105円台まで下げて終値時点では106円台を維持するも、徐々に水準が切り下がる状態にあり、105円半ばの攻防ラインでわずかに円高方向へと押され気味。次週の英国民投票を控えているだけに、極端な流れとはなり難い状況ながら、大勢の予想で現状維持見通しの日銀がそのとおり、静観の構えなら円高方向へと動き出す可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/15終値とチャート
16日の国内金価格は0.51%の反発。予想通りハト派寄りとなったFOMC結果を受けての小幅高で3週間ぶりの水準となる4700円台を回復。今朝時点では既に次のターゲットとなる日銀金融政策動向にらみの展開で株安・円高の流れがジリジリと進行中。円高主導のドル安を誘引する可能性があり、反落を警戒しつつもNY金の一段高で下支えされる可能性も。予想外の追加緩和でも現状のリスク回避地合いが大きく逆流するような展開となる可能性は低そう。それでもゆるやかな上昇傾向継続へ。
プラチナ価格は0.25%の小幅高となって5日ぶりの反発。金との地合いの差は変わらず、価格差は1129円へとさらに拡大。日銀サプライズがあったとしても極端な急反発は見込めそうにはない状況。あと1週間は我慢の状態継続か。下値余地は3500円台半ば、加速した場合には3400円台半ばが意識される状況も継続。
※参考:金プラチナ国内価格6/16とチャート
2016年6月16日(木)時点の相場
国内金:4,704 円 6/16(木) ▲24(0.51%)
国内プラチナ:3,575 円 6/16(木) ▲9(0.25%)
NY金:1,288.3 ドル 6/15(水) ▲0.2(0.02%)
NYプラチナ:974.8 ドル 6/15(水) ▲2.9(0.30%)
ドル円:106.01 円 6/15(水) ▼0.08(0.08%)
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