更新日:2016年6月25日(土)
英国の国民投票が行われた2016年6月23日、その結果が判明し、EU離脱が確定した6月24日は歴史的な1日となりそうです。
英国の選択は「EU離脱」。日本人の誰もが全く予想できなかった、英国以外の世界の大半が想定していなかった、そしてブックメーカーすら予想しなかった結果となってしまいました。
1973年にEUの前身であるECに加盟してから43年、残留支持48.1%に対して離脱支持51.9%、英国民の半分弱も想定していなかった、EUからの歴史的決別を英国は選択しました。
世界の金融市場にとっても6月24日は、歴史的な1日となりました。
日本時間24日正午前に離脱確定となったことで、EU離脱ショックは東京市場を直撃。日経平均は年初来安値を更新し、1日の下げ幅は1286.33円となり、3年前のバーナンキショックや8年前のリーマンショックを飛び越えてITバブル崩壊時、2000年4月以来16年ぶり。
為替市場では当然のように英ポンドの売りが激しく、対ドルでは1985年以来31年ぶりの安値を更新。安全通貨として米ドルよりも買われ易い日本円の買いも急進し、ドル円は一時1ドル=99円台をつけ、早朝に106円80銭台まで買われたこともあり、1日の値幅は7円60銭にも達し、リーマンショック直後の2008円10月24日(7円04銭)を超えて過去最大。
開票作業開始直後までリスクオン状態だったこともあり、想定外の結果にリスクオフの勢いが加速してしまい、欧州市場からNY市場にかけても世界同時株安状態に。NYダウも今年の上げ幅のほとんどを消し、債券が買われて英国10年債利回りは年初来最低水準、米10年債利回りは一時2012年以来の低水準へ。※6月24日主要指標の騰落状況
また、リスク回避のドル買い進行に伴い、韓国やインドでは自国通貨防衛の為のドル売り介入が行われ、スイスではユーロ安フラン高回避のための介入を実施。英BOEは「安定確保のためにあらゆる措置を」と声明を発表し、G7でも電話会談と市場安定に向けた声明を発表。麻生財務相は口先介入にとどめたものの、100円割れ後の戻り売り再開時には介入?とも思われるような買い支えのような動きも。
大荒れとなった市場が少しづつ落ち着きを取り戻すなか、残留に失敗したキャメロン首相は辞意を表明し、メルケル独首相は「深い遺憾の意を表明」し、格付け会社S&Pは英国の格付け見直し方針を表明し、ムーディーズは英国の格付け見通しを「ネガティブ」へと引き下げ、EUの最上級格付け「Aaa」維持を発表しました。
今回の結果を受け、フランスやオランダなどでも早速、国民投票を呼びかける声も上がり始め、当のイングランド国内ではEU残留が多数派となったスコットランドが独立をかけて再度国民投票を求める動きも見られ、北アイルランドでも英国からの独立とアイルランド統一に向けた国民投票を、との声も出始めているようです。
様々な混乱や対立の構図を抱えながら、英国はこれからEUとの離脱への交渉に向かうことになります。
その推進役は、キャメロン首相辞任後の新首相が担うことになると思われ、ブックメーカーでは、離脱支持派リーダーだったボリス・ジョンソン前ロンドン市長が有力候補とされています。今度こそこの予想も当たるかどうか・・・。
24日のNY金相場は4.69%の暴騰となって6日ぶりの反発。この日、キャッシュ以外で資金の流入先となったのは主要国債券と金のみ、という状態。EU離脱が確定的となった東京市場の正午前につけた高値1362.6ドルは2014年3月18日(1367.9)以来、2年3カ月ぶりの高値水準。終値ベースでの1320ドル台も2014年7月11日(1337.4)以来、ほぼ2年ぶりの高値水準。前日比4.69%の上昇率は2013年9月19日以来2年9カ月ぶり。1250ドル台前半へと急落してからの急反発となったことで、この日の値幅は109.8ドル(変動率8.75%)。1日で100ドルを超える大変動となったのは、前日比140ドル超の暴落となった2013年4月15日(値幅は159.9)以来。
1300ドルラインが上値抵抗線となり、かつダブルトップ形成の可能性もあった状態からの上方ブレイクとなり、離脱の場合の上値目標最大水準1350ドル台も突破。ドル高の影響もあり長い上ヒゲを残していったん調整となり易い状態も、週明け朝の状況次第では再度上値を試すような展開も。
週間ベースでは+27.6ドル(2.13%)となり、今年2度めの4週続伸。
NYプラチナ相場は2.15%の大幅反発。下値トライ再開の兆しからの逆転で1000ドルの大台にタッチ。しかし、リスク回避の流れに上値も限定的となり、990ドルの保ち合い上限突破には失敗。このレジスタンスラインをしっかり超えることができれば1000ドルの大台超えと大台維持の可能性も高まり、1030ドル台辺りまでの上昇も。逆に保ち合い下限960ドル台割れの場合には下落基調加速で910ドル付近が下値目安に。歴史的なアクシデントの日に、わずか30ドル弱の保ち合い水準を上下どちらにもブレイクできない勢いの弱さが金との逆鞘状態の要因。価格差は335.3ドル、これだけは歴史的水準で過去最大を更新。
週間ベースでは+21ドル(2.17%)の反発。
ドル円は3.63%の急反落となり、終値102円30銭は2014年8月12日(102.26)以来、1年10カ月ぶりの円高水準。暴落状態となった安値99円10銭台は2013年11月14日(99.13)以来、2年7カ月ぶりのドル安円高水準。無秩序な状態でなければ104円の下限割れの場合の下値目安は102円程度までとなり、ほぼこの水準に収束した状態。現状での100円割れは明らかに行き過ぎであり、目先は再度荒れるようなら実弾介入の可能性も高まり、この日の下ヒゲ大陰線がセリング・クライマックスとなる可能性も。
週間ベースでは-1.87円(1.8%)で続落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/24終値とチャート
2016年6月25日(土)時点の相場
国内金:4,583 円 6/24(金) ▲34(0.75%)
国内プラチナ:3,528 円 6/24(金) ▼12(0.34%)
NY金:1,322.4 ドル 6/24(金) ▲59.3(4.69%)
NYプラチナ:987.1 ドル 6/24(金) ▲20.8(2.15%)
ドル円:102.30 円 6/24(金) ▼3.85(3.63%)
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