更新日:2016年7月8日(金)
今回発表される6月雇用統計の主要テーマは、前回5月分の非農業部門雇用者数(NFP)の極端な下振れが一時的なものであったかどうかの確認。
事前に発表された他の雇用関連指標を見る限り、6月の雇用動向としては改善傾向が続いている様子。
ISM製造業景況指数と非製造業景況指数の6月分雇用指数はいずれも改善傾向を示していたのに続き、7日に発表された失業保険申請件数やADP雇用者数も予想以上の改善を示しました。
週間新規新規失業保険申請件数では、近年最少となったのが4月16日までの週の24.8万件。この数値は1973年11月以来、42年5カ月ぶりの低水準となる好結果。その4月16日までの週に次ぐ好結果となったのは、3月5日までの週と4月9日までの週の25.3万件。その次が7日発表された7月2日までの週の25.4万件。42年ぶり最少レベルと同水準の好結果と言えます。なお、雇用統計調査週に当たる6月18日までの週も25.8万件とこれら最少水準に近い好結果となっていました。
また、継続受給者数も212.4万人となり、5月28日までの211.2万人に次ぐ低水準。その211.2万人という数値は2000年11月以来、15年半ぶりの低水準となっていました。失業保険に関わる数値は、いずれも歴史的低水準に改善した状況です。
さらに、6月のADP雇用者数も市場予想を上回る好結果となったことで、6月雇用統計のNFPでもそこそこの好結果は期待されそうな状況です。
しかし、近年、相関性が非常に強くなっているADPとNFPの3カ月平均の推移を見ると、最近の低下傾向は鮮明となっています。
ADPの3カ月平均は6月に16.3万人となり、4カ月連続の低下で2013年6月(16.1)以来、3年ぶりの低水準となっています。数カ月サイクルの上下動の推移では着実に上値と下値を切り下げ、近年では2014年6月(26.6)をピークとした下落基調が2年間続いています。
雇用統計のNFPもこれに近い推移をたどり、3カ月平均は5月時点で11.6万人となり、2012年7月(11.5)以来、3年10カ月ぶりの低水準となっていました。
5月分が多少、上方修正されたとしても、大きな流れはそれほど変わりそうにはありません。
一時的にはポジティブな結果となったとしても、雇用者数の伸びは頭打ち、という状態は続きそうです。
これを正当化するのかどうか、米労働市場回復の判断材料としてはどの程度がボーダーラインとなるのか、という点が今後の雇用統計の主要テーマの一つとなりそうです。
7日のNY金相場は0.37%の小幅安となり4日ぶりの反落。ドル高に主要債券金利高の流れに押され、3営業日で50ドル近く水準を切り上げてきた流れも一服。米ADP雇用や失業保険申請件数など雇用指標の好結果には1350ドル台前半まで売られたものの、その後は今朝にかけても1360ドル台へと持ち直しの動き。雇用統計を控えての短期的な警戒感による調整と中期的な堅調推移への思惑による底堅さが交錯する状況に。雇用統計上振れで調整局面進行なら1330ドル程度までの調整も見込まれ、まさかの2カ月連続ネガティブサプライズなら1400ドルタッチもあり得るかも。
NYプラチナ相場は0.35%の小幅高となって6日続伸。金に遅れて急騰してきた流れが勢い余って止まらず、連日の年初来高値更新。6日続伸は4月末以来で今年2度め。しかし、目前には1100ドルの壁が大きく立ちはだかる状態。この水準は昨年3月から6月までの保ち合い下限に当たり、ここを割り込んだことで1000ドルの大台割れへと加速し、足掛け1年に渡る3桁の時代に突入するきっかけとなったところ。ここを突破せずして中長期的な本格回復もあり得ない重要水準。雇用統計がそのきっかけとなるかどうか。いったん調整の場合には、1040ドル程度まで下げてもおかしくはない状況。
ドル円は0.56%のドル安円高となり、5日続落。終値では2013年11月20日(100.03)以来、2年7カ月ぶりの円高水準。為替市場全般にはドル高優勢の展開も対円だけはドル安となるリスク回避的な強弱関係は最近の定番に。米雇用指標上振れなどに反応したドル円買い戻しも限定的となり、ゆっくりと、しかし確実に2番底方向への流れがとまらない。短期的にでも流れ反転の為には、5月上方修正を含む雇用統計のポジティブ・サプライズが必須の状況か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/7終値とチャート
8日の国内金価格は0.74%の反落。短期上昇トレンド中の調整局面形成への動きとなって雇用統計待ちへ。ポジティブな結果ならNY金の調整幅拡大に連れて軟調気味に、ネガティブなら上方向優勢の展開へ。4760円が上方向への節目となり、突破できれば5月高値を上抜けて4800円台が視野に。調整局面継続となった場合でも目先は4600円台後半ではサポートされやすい状況か。
週間ベースでは+32円(0.68%)で続伸。
プラチナ価格は3日ぶりの反落で0.45%安。わずかながらも雇用統計前に調整が入ったことで、この後の一段高への可能性も逆に高まるところ。金に連動する形で上方向に反応した場合、3780円の抵抗水準を超えると3800円台前半へと向かう展開も。調整幅拡大の場合には6月末以降の上昇幅に対する38.2%戻しとなる3650円程度までが目安に。
週間ベースでは+120円(3.3%)となり、3週続伸。
※参考:金プラチナ国内価格7/8とチャート
2016年7月8日(金)時点の相場
国内金:4,721 円 7/8(金) ▼35(0.74%)
国内プラチナ:3,758 円 7/8(金) ▼17(0.45%)
NY金:1,362.1 ドル 7/7(木) ▼5.0(0.37%)
NYプラチナ:1,095.1 ドル 7/7(木) ▲3.8(0.35%)
ドル円:100.75 円 7/7(木) ▼0.56(0.56%)
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