更新日:2016年9月3日(土)
米8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)も失業率も事前予想を下回ったことでファースト・インプレッションは利上げ観測後退。ドル売り、株高、金も買いで反応する結果となりました。
しかしNFPは前月比+15万人以上を維持し、7月分は2万人の上方修正(但し6月分は2.1万人の下方修正)、3カ月平均では+23.2万人となり、今年1月(+24.0)以来7カ月ぶりの高水準。失業率は4.9%の横ばいながらも4カ月連続で5%割れの状態を維持。
広義の失業率も9.7%で横ばい、労働参加率も62.8%で変わらず、長期失業者の割合は26.1%へと低下し、3カ月ぶりの改善。
平均時給は25.73ドルとなり、前月比では市場予想の+0.2%を下回る+0.12%どまり。前年同月比では+2.5%予想に対して+2.43%。7月の+2.68%からは急減速となり、3月(+2.33%)以来、5カ月ぶりの水準に。ただし、「前年比+2.5%前後」の水準はなんとか維持した状態で、2014年末以降の加速トレンドもキープ。次月以降、+2.5-6%以上へと反発できれば堅調推移、さらに減速するようだと黄色信号。インフレ見通し押し上げの為には、次月の反発が必要となりそうです。
全体的には米8月雇用統計はそれほど悪くはなく、最近の比較的堅調推移から外れるものでもなく、複数のFRB関係者が見なす「完全雇用」レベルを維持した状態とも言えそうです。適度な下振れ指標もあったことで、市場の9月利上げ観測は後退しましたが、12月利上げ見通しはほぼ変わらず(微増)。
一時的なドル安がリスク資産と金価格を押し上げ、その後のドル高で円安も進行。今回の雇用統計は、適度に下振れたことにより、株高ドル高に金高、リスク通貨高に円安を誘発し、市場に適度なリスクオン状態をもたらす結果となりました。
最近ではレアケースであり、今後、この状態は長くは続かない可能性に警戒することになります。
2日のNY金相場は0.73%の続伸。1310ドル台後半で迎えた雇用統計には1307ドルまでの急落後に切り返して1334ドルまでの急騰。前日安値(1305)を下回らず、8月26日(1346)以来1週間ぶりの高値圏まで反発し、週初8月29日(1327.1)以来の水準に落ち着いた。9月利上げの可能性は大きく後退、との判断のもと1300ドルラインの底堅さを確認し、短期反発局面形成への可能性も示した状態。中期ダブルトップからの下値トライもいったん回避、現時点では1300ドル台前半を主要レンジとする保ち合い形成となりそうな状況だが。
週間ベースではわずかに+0.8ドル(0.06%)で小反発。下ヒゲ陽線で反発への可能性も示唆。
NYプラチナ相場は4日ぶりの反発で1.27%の大幅高。雇用統計には1050ドル台前半から1070ドル寸前までの急騰で反応。その後はドル買い持ち直しに伴い、金の上値が押さえられると同様に失速気味に。それでもNY市場朝方からの下値を切り上げる展開を維持し、1060ドル台へ。日足では90日移動平均線を下抜けて4日めの反発でいったん同水準で押されられた状態。8月前半から続く下落トレンドから完全に抜け出す為には90日移動平均線上抜けが必須。反落で1日の1048ドルを下回るようだどトレンド継続、次の下値目安は1030ドル付近まで。
週間では-15.5ドル(1.44%)となり、4週続落。
ドル円は0.73%のドル高円安。雇用統計ではNFP下振れに反応して102円80銭まで急落後に切り返すと、徐々にドル高優勢の展開へと持ち直し、2時間後には7月29日(105.53)以来のドル高円安水準となる104円30銭台へ。その後はNY市場3連休前ということもあり、104円前後まで調整。直近の上値目標水準103円台後半にしっかりと到達し、さらに上値を伸ばそうかというところで長期抵抗線、一目均衡表の雲の下限や90日移動平均線などとの攻防で上値を押さえられた状態。目先はいったん調整、保ち合い傾向での推移も予想されるところだが、週明け東京市場でのドル買い円売り動向にも注目される。
週間ベースでは+2.21円(2.17%)で続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/2終値とチャート
2016年9月3日(土)時点の相場
国内金:4,674 円 9/2(金) ▲17(0.37%)
国内プラチナ:3,743 円 9/2(金) ▼12(0.32%)
NY金:1,326.7 ドル 9/2(金) ▲9.6(0.73%)
NYプラチナ:1,062.2 ドル 9/2(金) ▲13.3(1.27%)
ドル円:104.00 円 9/2(金) ▲0.76(0.73%)
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