更新日:2016年9月9日(金)
WPIC(World Platinum Investment Council)のプラチナ需給レポートによると、2016年第2四半期の世界のプラチナ供給量は67.7トン(鉱山産出50.2t+在庫拠出2.5t、リサイクル14.9t)。前期比+21.8%(鉱山+21.9%、リサイクル+21.5%)、前年同期比では+8.2%(鉱山+10.4%、リサイクル+1.1%)となっています。
国別のプラチナ鉱山産出量では、南アフリカでの精錬所の一時的な操業停止により落ち込んだ第1四半期から、第2四半期には以前の水準に回復したことで全体を押し上げました。
第2四半期の総需要は、61.7トン(自動車触媒26.9t、宝飾19.3t、産業用12.8t、投資2.8t)。前期比-2.0%、前年同期比-3.6%といずれも小幅減、概ね横ばい推移という状態です。
宝飾品需要では2016年第1-2四半期ともに以前よりもやや低水準にとどまってはいますが、年後半には中国での需要の弱さをインドが相殺し、通年では2015年と同水準となるものと見込まれます。
自動車触媒需要においては、2015年のVWショックの余波が懸念材料としては残りますが、現状ではその影響は数字上には表れておらず、今後も現状レベルでの推移が予想されます。産業用は堅実に横ばい推移、投資用では地金・コインなどの現物投資需要(Q1:4.4t,Q2:3.4t)がETFの2期連続小幅減(Q1:-0.8t,Q2:-0.5t)をカバーする状態となっています。
需給バランスでは、1四半期50トン前後で推移する鉱山供給に10トン台前半で推移(2016-1Q:12.3t、2Q:14.9t)するリサイクルを供給側に加えても、年間ベースでは2016年見通しで240.4トン(2015年:245.9トン)。1四半期当たり60トン台前半で推移する総需要の年間ベースでの2016年見通し256.6トンに届きません。
2016年通年見通しでは、16.2トンの供給不足見込み。過去3年間も供給不足の状態が続き、これを地上在庫で補っています。
2016年の地上在庫見通しは58.3トン。
2016年見通しと同水準の供給不足が来年以降も続いた場合、あと3年半で地上在庫が枯渇する計算になります。
早ければ2020年、世界のプラチナ需給バランスは、完全な供給不足に陥ることになります。
8日のNY金相場は0.56%の続落。ECBの金融政策現状維持は直接の変動要因とはならず、ただし緩和見送りで当面のサポート材料がひとつ欠落。NY市場では週間石油在庫統計での原油在庫大幅減を受けて原油相場が急伸、これに連動して株高ドル高の流れも進行、同時に金は1350ドル付近から1340ドル台前半へと急落。一時的にリスク資産買いの安全資産売りが強まる形となり、1360ドルの抵抗水準手前で反落した金の調整局面も継続。9月スタートの反発局面はやや勢いに欠ける状態となり、目先は下値もサポートされやすい水準にあり、短期上昇トレンド崩れからの保ち合い傾向の展開へ。
NYプラチナ相場も0.74%の続落。9月反発局面での勢いは金よりも弱く、8月前半から続く下落トレンド継続中の戻りのレベルを超えられなかった格好。1060ドルから1100ドルまでの間に価格ラインと90日までの全ての移動平均線が集中する状態となり、しばらくはこのレンジを中心とした保ち合い形成の様相に。
ドル円は0.75%のドル高円安となり、4日ぶりの反発。101円台半ばでの揉み合い状態からNY市場では102円半ばへと水準を切り上げ、結果的には少し行き過ぎた円買いの巻戻しとなった様子。8月後半以降、確実に下値を切り上げる状態となり、徐々に円買い圧力は剥落している可能性も。101円台後半が目先の下値サポート水準となり、ここを下抜けるとその可能性も後退し、再び100円割れを試すような展開も。上方向には104円ラインが重要な節目、超えると流れが大きく変わる可能性。しかし、その手前には複数の障壁が存在、まずは長期抵抗線などが集中する102円台後半突破には、それなりのエネルギーと勢いときっかけが必要となりそう。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/8終値とチャート
9日の国内金価格は0.31%の小幅安となり3日続落。ジリ安の展開で水平状態が崩れつつある90日移動平均線の水準に到達。9日から90日までの複数の移動平均線になんとか支えられた状態で短期上昇トレンドを維持。ここから4690円付近までは強めのサポート水準。但し上値も4730円が超えられない状態が続き、徐々に抵抗水準化。しばらく保ち合い継続後、改めて4730円を突破することができれば強めの上昇トレンドを形成し、4800円台を目指すような展開となる可能性も。
週間ベースでは+29円(0.62%)となり、小幅続伸。
プラチナ価格は0.1%の小幅続落。上値目標3850円台到達後の反落からの一服状態。価格と90日までの全ての移動平均線がわずか26円のレンジに集約される保ち合い状態。その下限となる3800円までではサポートされやすく、どちらかと言えば上方向へと動き出す可能性のほうが現時点では優勢。3860円超えなら3900円台へと向かうトレンド発生の可能性。
週間ベースでは+83円(2.22%)で続伸。
※参考:金プラチナ国内価格9/9とチャート
2016年9月9日(金)時点の相場
国内金:4,703 円 9/9(金) ▼15(0.32%)
国内プラチナ:3,826 円 9/9(金) ▼4(0.10%)
NY金:1,341.6 ドル 9/8(木) ▼7.6(0.56%)
NYプラチナ:1,084.7 ドル 9/8(木) ▼8.1(0.74%)
ドル円:102.48 円 9/8(木) ▲0.76(0.75%)
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