更新日:2016年11月10日(木)
「まさか?またか!」と英国国民は米国のトランプ大統領誕生をこう評し、なかには英国のEU離脱よりも驚くべき結果、と見る人もいるようです。
しかし、現状への不満と変化を期待する人のほうが多かった、という結果は英国でも米国でも同じでした。
年初には2大テールリスクとも言われ、発生確率は極めて低いけれど、万が一発生した場合の市場への影響や混乱は計り知れないリスクが2つとも発生する事態となった2016年。
隠れ離脱派、隠れトランプといった存在は、評論家はもちろん、世論調査や有力ブックメーカーでも読みきれず、これが市場予想を覆す結果となったことは、歴史的な教訓としても記憶に残る年になりそうです。
9日の東京市場では、日経平均が8月3日(16083.11)以来3カ月ぶりの安値水準まで、900円超の急落となり、1200円超の暴落となった6月24日のEU離脱ショック以来の下げ幅を記録し、為替もドル円が105円半ばから101円付近まで4円50銭ほどの急落でこれも7円50銭下げた6月24日以来の下げ幅。
同時にNY金は6月24日の100ドル超に次ぐ上昇幅となる70ドルの急騰。
トランプショックとなったリスク回避の流れが急速に進行した後は、現実を見つめての巻き戻しへ。
勝利宣言となったトランプ氏のスピーチでは、当然のことながら暴言も聞かれず、次期大統領としての自覚の片鱗も見られ、市場は既にご祝儀相場状態となってリスクオンへ。
財政出動に大型減税、規制緩和や貿易政策見直しなど、トランプ次期大統領の経済政策への期待もあらためて見直した形となり、NY市場では株高ドル高円安のリスクオン加速。
NYダウは250ドル超の急騰となり、史上最高値をつけた8月15日以来3カ月ぶりの高値圏へと上昇。
TPP合意破棄や同盟関係見直しに移民政策など、トランプ政策への不透明感も残り、イエレンFRB議長更迭発言なども気になるところですが、とりあえずイエレン議長は任期の2018年1月までは続投確実で、それまでには12月を含む数回の利上げを実施することにも変わりはないものと思われます。
今後、組閣を含めたトランプ氏の動向と政策への注目が高まることになりますが、その過程で再び発生することになる不透明感や、発生しかねない不信感などが新たなリスク要因へと発展することもあり、あらためて金市場へのサポート材料となる場面も再び訪れそうです。
9日のNY金相場は0.08%の小幅安となって3日続落。トランプ・ショックとなった東京市場、接戦状態が続いた正午前には上方向への節目1310ドルを突破、激戦区でのトランプ勝利が続き、一部メディアがトランプ当確報道をし始めた13時過ぎには上値目安1330ドル付近に到達。日本時間14時、NY時間深夜0時頃には9月27日(1343.5)以来、1カ月半ぶりの高値となる1338ドルまで、60ドル超の急騰。この後は急速な巻き戻し相場となって前日水準までの行って来い状態に。あらためて1260ドルから1310ドルまでを主要レンジとした保ち合い継続へ。引き続き下限割れなら1240ドル付近が意識され、上方向へは1310ドルラインの抵抗感が強まった可能性。
NYプラチナ相場は0.53%の反落。これまで底堅さが目立つ状態が続いていたこともあり、上振れ幅も限定的に。それでも上値目安1020ドル前後を再度試し、NY市場にかけては軟調推移となって1000ドル割れへ。やや蚊帳の外状態となったプラチナは引き続き990ドルから1010ドルの小幅保ち合い相場。下方ブレイクなら970ドルが目安、時間とともにブレイク後の変動幅は拡大へ。
ドル円は0.49%のドル高円安で4日続伸。東京市場では9月30日(100.75)以来1カ月半ぶりの円高水準となる101円10銭台まで急落後、NY市場では105円80銭台までの急反発で7月25日(105.81)以来、3カ月半ぶりのドル高円安水準に。乱高下状態を経て105円台前半の節目を突破したことにより、短期トレンドも好転し、ドル高円安の流れが加速する可能性も。当面の上値目標水準としては7月高値超えとなる107円台後半。落ち着きを取り戻した今朝の東京市場では105円90銭台まで上昇後、急反発の調整も入って105円30銭近辺へ。この近辺ではサポートされやすく、さらに反落継続の場合には104円前後が次のサポート水準に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/9終値とチャート
10日の国内金価格は0.85%の反発。大方の予想を裏切るトランプ勝利にリスク回避の金買い円買いが急速に進んだ後は、巻き戻しの流れとなってNY金は元の水準、為替はドル高円安進行となって国内金価格を押し上げた。9月15日(4674)以来およそ2カ月ぶりの高値水準となり、4630円の節目を突破。短期上昇トレンド継続で目先の上値目安は4670円台程度まで。2カ月ぶりに90日移動平均線も超えて中期トレンド好転の可能性も。4600円ラインが当面の下値サポートラインとなるかどうか。ここを割れた場合には4500円台半ばへと後戻りの展開も。
プラチナ価格は0.3%の上昇。横ばい推移をはさんで11営業日続伸。市場の波乱を横目に変動率低下状態が続く不気味なNYプラチナの底堅さにより、円安サポートを反映しての堅調推移が継続。過去、しばしばサポート水準となってきた3600円ラインが目先のサポート水準候補、過去に何度も上値を押さえられた3700円前後が当面の上値目安水準に。過熱感解消の為にも足場固めの展開も必要だが。
※参考:金プラチナ国内価格11/10とチャート
2016年11月10日(木)時点の相場
国内金:4,646 円 11/10(木) ▲39(0.85%)
国内プラチナ:3,640 円 11/10(木) ▲11(0.30%)
NY金:1,273.5 ドル 11/9(水) ▼1.0(0.08%)
NYプラチナ:1,003.3 ドル 11/9(水) ▼5.3(0.53%)
ドル円:105.65 円 11/9(水) ▲0.52(0.49%)
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