更新日:2017年1月20日(金)
欧州中央銀行(ECB)は19日、政策金利0%と中銀預金金利の-0.4%維持を決定し、資産買い入れも現状維持とし、テーパリングへの言及もなし。緩和継続に反対するドイツ、継続を主張するイタリアなど、ユーロ圏内での意見も分かれるなかでも欧州選挙イヤーを迎えた今年、政局リスクへの警戒体制をそう簡単には緩めることもできない様子。「最近のインフレ上昇はエネルギー価格の上昇が要因」であり「基調的なインフレは確固たる上昇トレンドが見えない」とするドラギ総裁は緩和姿勢継続を明言し、「景気見通しリスクは依然下方向」であることにも言及しました。
いっぽう、米国ではムニューチン米次期財務長官候補の「ドルが長期的に強さを維持するのは重要」発言がクローズアップされ、一時ドル高ユーロ安が急進する場面もありました。ただし、ムニューチン氏は「足下でのドル高はやや強すぎる」とのニュアンスの発言もあったようです。
この日発表された米経済指標も好調を維持してドル高支援材料に。
1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は+23.6と2014年11月以来、2年2カ月ぶりの高水準となりました。新規受注も2年2カ月ぶり、仕入れ価格は2012年2月以来4年11カ月ぶり、販売価格は2008年7月以来8年半ぶり、雇用も1年9カ月ぶりの高水準など全般に渡って好調を示す数値となっています。また、半年後の見通しを示す期待指数も2014年8月以来2年5カ月ぶりの高水準、仕入れ価格の見通しは5年8カ月ぶり、雇用の見通しに至っては1984年2月以来、32年11カ月ぶりの高水準。
物価と雇用、今後の見通しなどが高水準となったNY連銀と同様の傾向も示し、米国のインフレ上昇加速の兆しとトランプ政権への期待値の高さもここに来ていっそう高まっているようにも見えます。
なお、この日は新規失業保険申請件数も43年ぶりの低水準へとさらなる改善傾向を示し、今後の「強いドル」支援材料となっています。
短期的にはやや警戒感もくすぶる状況とはなっていますが、当面緩和姿勢継続の日欧、長期的には「強いドル」支持の米国、という構図でトランプ新政権が発足することになります。
19日のNY金相場は0.87%の続落。前日NY引け後のイエレンFRB議長のタカ派発言を受けて1201ドルまで急落した状態からはほぼ横ばい推移。ドラギECB総裁の景気見通し下振れリスク発言に伴うユーロ安急進、米1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数の上振れなどを受けて米金利上昇とドル高が進行した場面では一時1195ドルまで下落。しかし、米大統領就任式を控えていることもありこの流れも続かず、1200ドルの大台を回復、年末からの上昇トレンドも維持する形で新大統領を迎えることに。目先、1200ドルをしっかり割り込むようなら1180ドル程度までの調整継続となりやすく、1210ドル台後半へと反発できれば1230ドル以上へと上値を伸ばすような展開も。
NYプラチナ相場は1.59%の大幅安となって3日続落。前日の保ち合い下限970ドル割れに伴う軟調な流れが優勢となり、ドル高進行での金下落局面ではこれに連れて一時951ドルまで下落。下値目安950ドル近辺までしっかり下げたことで今朝にかけては960ドル付近まで反発。1月4日以来2週間ぶりの水準となり、行き過ぎた急騰局面を修正する形となってほぼニュートラルな状態でトランプ時代へ。12月安値から1月17日高値までの38.2%戻し(955.9)を達成し、この水準を維持できれば上昇トレンド再開への可能性も。さらなる調整進行なら61.8%戻しとなる930ドル付近が次の目安となりやすく、反発方向には990ドルが当面の抵抗水準に。
ドル円は0.21%のドル高円安で小幅続伸。ユーロ安に米経済指標上振れ、ムニューチン発言などを受けてのドル買い局面では115円60銭台まで上昇したものの、5日続落となったNYダウの軟調な展開にも連れるように115円割れへと急失速。大統領就任式を無事通過するまでは明確な方向感は出難い状況。目先は112円半ばから117円までの間でレンジ形成か、方向感模索の展開へ。ただし「Make America Great Again」で盛り上がり、好感度が高まるようならドル買い再燃で1ドル=120円を目指すような流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/19終値とチャート
20日の国内金価格は0.23%の小幅続伸、8月2日(4759)以来5カ月半ぶりの高値水準に。ドル高円安の流れとNY金の底堅さにも支えられての堅調推移は続き、2016年3月高値と7月高値を結ぶ抵抗線との攻防が続き、わずかに上抜けの兆し。過熱感も高まり、4700円前後までの調整はいつ入ってもおかしくはない状況だが、週明けにかけてはドル高円安の流れが強まることも予想され、NY金の下落幅がそれほど大きくならないようなら続伸へ。7月高値圏4800円台が視野に入るような展開も。
週間ベースでは+44円(0.93%)となり、コンスタントに4週続伸。
プラチナ価格は前日から変わらず。3780円程度までの下落余地を残した状態で円安サポートを受けての下げ渋り。NYプラチナの下落局面も一服の兆しとなり、円安への勢いが強まるようなら再び上値トライへと向う展開も。3880円が当面の抵抗水準となり、ここを上抜けた場合には3950円付近を目指すような流れとなる可能性も。
週間ベースでは-42円(1.09%)で続落。
※参考:金プラチナ国内価格1/20とチャート
2017年1月20日(金)時点の相場
国内金:4,758 円 1/20(金) ▲11(0.23%)
国内プラチナ:3,804 円 1/20(金) +-0(0.00%)
NY金:1,201.5 ドル 1/19(木) ▼10.6(0.87%)
NYプラチナ:956.4 ドル 1/19(木) ▼15.5(1.59%)
ドル円:114.86 円 1/19(木) ▲0.24(0.21%)
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