更新日:2017年2月17日(金)
米経済指標は連日の高水準もドル高は進まず。
米2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は43.3。1月の23.6から18.0への悪化予想に反して大幅上昇。1984年1月(47.0)以来、33年1カ月ぶりの高水準へと急騰しました。
構成指数でも、新規受注は38となり、1984年12月(39.4)以来32年2カ月ぶり、出荷も28.6で2011年3月(28.6)以来5年11カ月ぶりの高水準。価格や雇用は前月から若干低下も高水準を維持し、半年後の見通しを示す期待指数も53.5と2年5カ月ぶりの高水準となった1月の56.6からは小幅低下も高水準。見通しの仕入れ価格は51.1で2011年5月(54.8)以来5年9カ月ぶりの高水準。
2年5カ月ぶり高水準となった前日のNY連銀製造業景況指数を上回る急騰となり、米国の製造業は既に十分好調であることを示す結果となりました。
米商務省が発表した1月の新規住宅着工件数も前月比-2.6%の124.6万件となったものの予想の122.6万件は上回り、先行指標となる建設許可件数は前月比+4.6%の128.5万件となり、2015年11月(128.6)以来、1年2カ月ぶりの高水準。今後の着工件数増加も示唆する状況に。
米労働省発表の新規失業保険申請件数も相変わらず好調で4週移動平均では43年ぶり低水準近辺での推移が継続。
前日のインフレ、消費、製造業の複数指標の好結果に続き、この日も製造業、雇用、住宅市場と複数指標が好結果を示し、米国経済の好調ぶりを示す状況となっています。
しかし、そんななかでもドル高は進行せず、15日は一時的な急上昇からの急反落でドル安基調へと転換し、16日も経済指標の好結果にも一時的に下げ止まった程度でドル売り基調は変わらず。やや意外な展開となっています。
根底には、米長期金利の上昇が12月15日にピークをつけて以降、停滞状況にあることが大きく影響し、その背景にはやはりトランプ政権への不透明感や欧州政局不安などが大きく作用しているものと思われます。合わせて米利上げ観測前倒しにもまだ織り込み不十分な状況で、ドル円などは売り買い交錯状態のなかで節目水準での戻り売りがたまたま優勢となってしまった状況、とも言えそうです。
15日には米労働長官に指名されていた実業家のパズダー氏が指名を辞退し、フリン大統領補佐官の辞任に続き、政権人事のつまづきがトランプ政権への不信感拡大にもつながっている様子です。
トランプ大統領の驚異的税制改革案期待で6日連続の最高値更新を続けるNYダウにも失速の気配も見られ、もし、出てきた案が期待はずれに終わるようなら、米株の急反落につながり、ドル安基調も本格化することも想定されそうです。
逆に、それなりの案が提示されて米株の一段高となり、トランプ政権への不信感払拭へと向うようなら、ドル高の流れ再開となり、堅調推移が続く金価格の失速にもつながります。
16日のNY金相場は0.69%の続伸で11月10日(1266.4)以来、3カ月ぶりの高値水準。ジリジリとドル売り基調が続いたことに伴い1230ドル台でのゆるやかな堅調推移。フィラデルフィア連銀製造業景況指数の33年ぶり高水準に加え、失業保険申請件数、住宅建設許可件数なども好結果となったタイミングでの売り局面も限定的となり、反発の流れでは元の水準を超えて1240ドル台へ。強い上昇トレンドとは言えない状態でも、前日と同じ展開でわずかに高値更新したことで上昇余地は拡大。当面の上値目安は10月の保ち合い水準1250ドル台後半から1260ドル近辺まで。
NYプラチナ相場は0.57%高となり3日続伸。調整局面入り濃厚と見られた状況でも1000ドルを挟んだ4日間の攻防を経て、足場固めが進行。大台ラインがサポート水準としての存在感を強める一方で、上値は1020ドル近辺が重い状況。1000ドルから1020ドル台での保ち合い継続で抜け出した方向へ大きく動き出す可能性。上方向なら1050ドル台、下方向なら960ドル台までが当面の目安に。
ドル円は0.8%の大幅続落、1週間ぶりのドル安円高水準。15日に米CPIや小売などの好結果を受けて115円寸前まで急騰後、戻り売り圧力が一気に強まってのドル売り基調が今朝までコンスタントに続いた状態。16日の米経済指標の好結果にも小幅反発にとどまり、前日からの流れは変わらず。1月3日高値118円60銭台から2月7日安値111円50銭台までの50%戻し(115.10)をほぼ達成し、23.6%戻しライン(113.25)まで反落してきた状態。大きく見れば23.6%から50%、113円から115円のレンジを中心に保ち合い推移、足下では23.6%から38.2%、113円から114円前半までの保ち合い傾向へ。114円前半を超えると115円台半ばへと1月半ば以降の保ち合い上抜けトライも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/16終値とチャート
17日の国内金価格は3日ぶりの反落で0.33%安。目標水準、昨年7月高値4856円超えまでもう一息のところでの失速も、上昇トレンド継続には必要な調整局面。ただし、1月高値から2月高値まで80円弱の上昇に対して、RSIのピークは90%手前から70%へと逆行しており、確率的には反落へと転じやすい状態。
週間ベースでは+46円(0.96%)となり、3週続伸。12月26日からの週以降の8週間のうち7週が上昇とやや一方的。
プラチナ価格も3日ぶりの反落で0.51%安。ゆるやかな上昇トレンドを形成しながらも、保ち合い傾向を抜け切れないような動きに加え、やはりRSIは低下傾向が続き、急反落への警戒感も続く状況。しかし、目先は3880円を割り込まない限りは4040円近辺までの上昇、もしくは急騰との見方が優勢。
週間ベースでは-10円(0.25%)となり、4週間ぶりの小反落。
※参考:金プラチナ国内価格2/17とチャート
2017年2月17日(金)時点の相場
国内金:4,819 円 2/17(金) ▼16(0.33%)
国内プラチナ:3,924 円 2/17(金) ▼20(0.51%)
NY金:1,241.6 ドル 2/16(木) ▲8.5(0.69%)
NYプラチナ:1,015.7 ドル 2/16(木) ▲5.8(0.57%)
ドル円:113.24 円 2/16(木) ▼0.91(0.80%)
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