更新日:2017年9月9日(土)
米労働省が今週発表した第2四半期の非農業部門労働生産性の改定値は、前期比年率+1.5%となり、速報値の+0.9%から上方改訂されています。昨年第3四半期の+2.5%に次ぐ水準となり、4四半期平均で見ると+1.35%となり、2015年第2四半期の+1.65%以来、2年ぶりの水準を回復しています。
過去のピーク水準と比較すると、かなり低水準にとどまる状況は変わりませんが、足下では労働生産性が上昇し、景気拡大局面にあることを示しています。
しかし、第2四半期の単位労働コストの改訂値は前期比年率+0.2%となり、速報値の+0.6%からは下方改訂。第1四半期も+5.4%から+4.8%へと下方改訂されています。4四半期平均で見ると-0.15%となり、3年ぶりにマイナス圏に落ち込んだ昨年第4四半期からいったん反発後に再びマイナス圏入り。
ピーク水準でも4四半期平均の推移でも2013年以降は低下傾向が続きます。単位あたりの雇用者報酬の伸び率が鈍化傾向にあることが鮮明となっています。
労働生産性は低レベルながらも加速傾向にあり、単位労働コストは減速傾向となり、緩やかな景気回復傾向のなかにあって、賃金上昇率は低調となりやすい現状を裏付ける形となっています。
先日のベージュブックでは、「控えめから緩やかなペースで経済は拡大」し、インフレ加速の兆候については「総じて控えめに上昇」にとどまったとの指摘で、第3四半期前半も状況が変わっていないことも確認された状況です。
第3四半期後半にかけては、度重なるハリケーン被害による実体経済への影響も懸念され、この状況が劇的に改善するような期待もできません。
そんな状況で12月利上げの市場織り込み度は27.3%まで低下し、2.9%は利下げを織り込む状態となっています。
8日のNY金相場は0.07%の小幅続伸。北朝鮮の建国記念日を前に地政学リスクへの警戒感が徐々に高まると、東京市場午後の時間帯に米10年債利回りが2.01%台まで急落。ドルインデックスも91.00ポイント付近まで急落し、ドル円も108円を割り込んで急落。NY金は1360ドルを超えて昨年8月16日以来、1年1カ月ぶり高値水準となる1362ドル台まで急騰。短期上値目安となる1360ドル台に到達したこともあり、いったんピークアウト。NY市場にかけてはこの日の急騰分を全て吐き出す上ヒゲを形成。静かな週末を経て、何事もなく週明けを迎えることができれば高値トライの動きはいったん終息し、高値圏での保ち合いからやや調整気味の展開へ。高値保ち合い下限となる1330ドル台後半まででサポートされない場合には1310ドル台辺りまでの調整局面入りも。
週間ベースでは+20.8ドル(1.56%)となり、3週続伸。
NYプラチナ相場は0.44%の反落。東京時間での急騰局面では1020ドル台後半まで上昇し、3月1日以来半年ぶり高値を更新、上値目標1020ドル台到達を念押し確認する形となって失速。上ヒゲ陰線を形成して調整局面入りも示唆するような展開に。目先は1000ドルの大台を維持できるかどうかがポイントに。990ドル台半ば辺りまでを維持できなくなれば、970ドル台までが次の調整目安に。
週間では+3.3ドル(0.33%)の小幅続伸も、上ヒゲ長めの十字線を形成。
ドル円は0.58%のドル安円高となって続落、昨年11月11日以来10カ月ぶりのドル安円高水準。東京市場午後に108円を割り込むと107円60銭近辺まで急落、欧州市場で再度ドル売り圧力が強まると107円30銭台まで下落。短期的な下値目安107円台後半を突破する形でやや行き過ぎるとNY市場では米10年債利回りの反発とともに買い戻しの展開に。ただし、108円台では戻り売り圧力もまだ強く、反発局面入りへの判断は週明け以降へと持ち越し。昨年11月9日の急落時につけた安値101円10銭台から年末高値118円60銭台までの61.8%戻しとなる107円80銭台で下げ渋る形にもなり、北朝鮮リスクへの警戒感が和らぐようなら反発局面入りも。反発方向への当面の節目は109円台前半、これを突破できれば110円台前半が次の目安に。
週間ベースでは-2.46円(2.23%)、昨年7月以来1年2カ月ぶりの大幅安となり、4週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/8終値とチャート
2017年9月9日(土)時点の相場
国内金:5,028 円 9/8(金) ▲25(0.50%)
国内プラチナ:3,803 円 9/8(金) ▲35(0.93%)
NY金:1,351.2 ドル 9/8(金) ▲0.9(0.07%)
NYプラチナ:1,012.3 ドル 9/8(金) ▼4.5(0.44%)
ドル円:107.80 円 9/8(金) ▼0.63(0.58%)
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