更新日:2017年12月28日(木)
中央銀行と公的機関の金保有量では世界7位のロシア。今年1年間(10月末までの1年間)では218.13トン買い増して年間増加量では2位のトルコ(100.57トン)の2倍以上、3位のカザフスタン(40.33トン)の5倍以上と断トツの増加量。
世界全体の中央銀行と公的機関が保有する金の量はこの1年間で422.74トン増加しており、このうちの半分強をロシア中銀が購入したことになります。保有量世界22位のベルギー(227.40トン)1カ国分にも相当します。
2016年にもロシアは同程度の量を買い増ししており、ここ2年間での増加量は430.56トン。
2015年に突然、金保有量を公開した中国が2016年までの1年間で買い増しした量が120トンほどでストップしており(※正確な実態は不明との見方も)、2018年前半にはロシアの金保有量は中国を抜いて6位へ浮上することが予想されます。
2014年にはクリミア併合や原油価格暴落なども影響し、ロシアの通貨ルーブルは急落しました。
今週26日には一時2年半ぶりに60ドル台を回復した原油価格は、2014年の100ドル台から2016年にかけて20ドル台まで急落していました。
通貨ルーブルは、2014年の1ドル=33ルーブル台から2016年には80ルーブル台までドル高ルーブル安が進行し、2017年末現在では57ルーブル台。
原油価格も通貨ルーブルも回復基調にあるものの、まだ道半ばです。
通貨安定と国家の信用リスク軽減に向けては、金本位制の名残りから金準備保有量が大きく影響するとも考えられます。
2000年から17年間に渡り大統領(途中首相)として実権を握ってきたロシアのプーチン大統領が、来年3月の大統領選への出馬を正式に決め、おそらく2024年までの長期政権が続くことになります。
ロシア中銀による金買いのペースもまだしばらく継続することになりそうです。
27日のNY金相場は0.3%高となり、7月以来5カ月ぶりの5日続伸。11月28日(1294.9)以来、1カ月ぶり高値水準での堅調推移で90日移動平均線(1289.1)を超えるのも1カ月ぶり。欧州市場再開とともに対ドルでユーロや新興国通貨などが買われてドル安基調、米10年債利回りも2.41%台へと急低下しイールドカーブフラット化への懸念も強まるなかで金は1280ドル後半から1290ドル台前半へとゆるやかな上昇基調。短期上昇トレンドはもう一段の上昇余地を残し、目先の上値目標水準は10月高値圏となる1300ドル台から1310ドル近辺程度まで。ゆるやかな上昇軌道にある200日移動平均線(1270.8)辺りまでが下値サポート水準に。
NYプラチナ相場はわずかに0.2ドルの小幅高で3日続伸。NY朝には一時928ドル台まで上昇も勢いは続かず、1週間前から上値を押さえられ続けてきた925ドルライン超えの水準を維持できずに失速。910ドルから925ドルの小幅レンジの保ち合いを形成し、反落警戒感と上昇基調再開への思惑が交錯。保ち合いを上抜けて金の一段高に追随できれば940ドル近辺までが目先の上値目安となりやすく、保ち合い下抜けの場合にはここまでの反発上昇の半値戻しとなる900ドル近辺までが調整目安にも。
ドル円は0.09%の小幅高も113円30銭前後の膠着相場が継続。米12月の消費者信頼感指数が122.1と市場予想を大きく下回っても、その前から米10年債利回りが低下基調を強めても、ユーロドルが1日以来となる1.19ドル台へと買われてもドル円の反応は限定的となり、今週に入ってからは113円10銭台から30銭台までの小幅レンジ内で上下動を繰り返す保ち合いを形成。上方向に抜け出し、113円後半へと日足レベルの三角保ち合い上限を突破できれば年初にかけて上昇トレンド形成へと向う可能性も高まり、115円台半ばも視野に。113円割れへと下方向へ動き出した場合には112円前半までが下値目安となり、例年どおり年初の円高圧力が強まる展開となってこの水準も割り込んだ場合には110円前後までの円高局面形成も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/27終値とチャート
28日の国内金価格は0.4%高となって9日続伸。9日続伸は2014年2月以来3年10カ月ぶり。11月10日(5020)以来、1カ月半ぶりに5000円の大台も回復。短期的には過熱感も高まる状況ながら、NY金の堅調推移とドル円の膠着状態が続き、一方的な流れはもう少し続く可能性も。意識されるのは11月高値5028円、今年高値5045円も。ただし、年末年始をはさんでの相場急変による大幅調整や、ここ数年続く年初の円高などで大きく巻き戻される展開にも要警戒の時期。下方向へは90日移動平均線(4967)辺りまでがサポート目安に。
プラチナ価格は0.06%の小幅続伸。為替の膠着状態にNYプラチナの失速感が重なっては動きようがない状態。堅調推移の金価格に置いていかれる格好となり、金との価格差は15日につけた1437円をわずかに上回り、1438円へと過去最大を更新。21日には1352円まで急縮小した後の急拡大となり、価格差ダブルトップ形成への可能性も。しかし、その為には3560円から3590円台までの保ち合いを上抜ける必要があり、NYプラチナの上昇基調再加速も前提に。そうなった場合の国内価格の上値目安は3680円前後まで。
※参考:金プラチナ国内価格12/28とチャート
2017年12月28日(木)時点の相場
国内金:5,014 円 12/28(木) ▲20(0.40%)
国内プラチナ:3,576 円 12/28(木) ▲2(0.06%)
NY金:1,291.4 ドル 12/27(水) ▲3.9(0.30%)
NYプラチナ:923.7 ドル 12/27(水) ▲0.2(0.02%)
ドル円:113.33 円 12/27(水) ▲0.10(0.09%)
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