更新日:2018年3月10日(土)
米労働省が発表した2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+31.3万人となって2016年7月(+32.5)以来、1年7カ月ぶりの大幅な伸びを示しました。3カ月平均でも+24.2万人で2016年9月(+25.5)以来1年5カ月ぶりの高水準。ただし、4.0%へ低下すると予想された失業率は5カ月連続の4.1%での横ばい推移にとどまり、賃金上昇率も予想を下回る結果となりました。
2月の平均時給は26.75ドル。前月比では+0.15%、前年同月比では+2.61%。さらに1月分は前年比+2.9%から+2.8%へ、12月も前年比+2.7%から+2.66%へと下方修正されています。
ただし、3カ月平均では前年比+2.68%となっており、2カ月連続の上昇で2009年7月(+2.83%)以来、8年7カ月ぶりの高水準となっています。
賃金上昇率の急加速が金利急騰、株価急落の引き金にもなった1カ月前の雇用統計の再現を警戒する向きもあったようですが、2月の賃金上昇率は予想こそ下回ったものの、極端な減速でもなく、適度に加速基調も維持する形となり、ほどほどの好結果とも言えそうです。
インフレ急騰懸念も緩和されての好結果には、株式市場にも安心感となってNYダウは400ドル超の大幅高、ナスダックは再び過去最高値更新。同様の安心感にサポートされた金も小幅高となりました。
今回の雇用統計では、失業期間が半年を超える人の割合を示す、長期失業者の割合も大きく改善傾向を示しています。1月の21.5%から2月は20.7%へと急低下し、5カ月連続の低下で2008年8月(19.8)以来、9年半ぶりの低水準となっています。
イエレン前FRB議長が回復目安としていた19.1%も射程圏内に入ってきた状況となり、前議長が懸念していた労働市場のたるみも、退任と同時に改善傾向が鮮明となってきたようです。
9日のNY金相場は0.17%の小反高となって3日ぶりの反発。強弱入り交じる結果となった米2月雇用統計を受けて乱高下、3月1日以来1週間ぶり安値圏となる1310ドル台前半まで急落後には反発へ。米長期金利も伸び悩み、対新興国などではドル安の流れが強まったこともあり1320ドル台半ばまで上昇。北朝鮮の態度軟化と米朝首脳会談への動きによってリスク回避の巻き戻しもあったものの、「具体的な活動が見えない限り会談は行われないだろう」とのホワイトハウス談も伝えられるなど懐疑的な見方も残り、NY金の下値も比較的堅そうな状況。1300ドルから1340ドルまでのレンジ内で1310ドル台が再びサポート水準として機能し始めた様子も。次週、米2月消費者物価指数が上振れしなければ徐々に地合い回復も。
週間ベースでは+0.6ドル(0.05%)の小幅高、3週間ぶりの反発。
NYプラチナ相場は1.25%の大幅高で3日ぶりの反発。雇用統計直後の反応では950ドル割れも前日安値は下回らずに反発の流れとなって960ドル台半ばを回復。前日の十字線が示唆したとおりの反発で2日前の大幅下落の大半を取り戻す展開に。まだ軟調気味の流れは続くものの950ドルでの足場固めも進行しつつあり、970ドルのレンジ上限トライのチャンスをうかがう状態にも。突破できれば1000ドルの大台回復を目指す流れへ。
週間ベースでは-0.9ドル(0.09%)の小幅安となり、今年2度めの3週続落。
ドル円は0.57%のドル高円安で続伸。東京市場朝の北朝鮮報道を受けての円安ドル高の流れは107円目前で上値を押さえられ、雇用統計後の上昇局面では107円台をわずかに上抜けたところで頭打ち。平均時給の伸びが予想を下回って減速したことへのインパクトから、インフレ加速と利上げペース加速観測も後退し、ドル円の反発基調加速への思惑も後退してしまった形に。ただし、年初からの急落基調からは頭一つ抜け出して20日移動平均線(106.77)との攻防に。次週のCPIが予想を上回るようなら107円半ばの節目超えで一段高の展開にも。
週間ベースでは+1.12円(1.06%)の反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/9終値とチャート
2018年3月10日(土)時点の相場
国内金:4,843 円 3/9(金) ▼3(0.06%)
国内プラチナ:3,496 円 3/9(金) ▲8(0.23%)
NY金:1,324.0 ドル 3/9(金) ▲2.3(0.17%)
NYプラチナ:964.2 ドル 3/9(金) ▲11.9(1.25%)
ドル円:106.81 円 3/9(金) ▲0.61(0.57%)
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