更新日:2018年6月29日(金)
欧州委員会が発表した6月のユーロ圏景況感指数(ESI)は112.3。市場予想の112.0は上回りましたが、5月の112.5からは小幅に低下して10カ月ぶりの水準。17年ぶり高水準となった昨年12月の115.2がピークとなり、今年上半期は6カ月連続の減速基調となっています。ユーロ圏の景気加速を牽引してきたドイツのESIは今年1月の116.0がピークとなってその後は減速。4月の112.6から5月には112.7へとわずかに反発し、減速基調の下げ止まりの兆しとなりましたが、6月には111.9となって再び10カ月ぶりの水準へと低下。
ユーロ圏の長期平均100.7を大きく上回る水準で拡大基調を維持する状況にはあるものの、そのペースは減速の一途という状況が続き、第1四半期に続いて第2四半期もユーロ圏経済の冷え込みが確認されました。
ユーロ圏ESIの構成指数のうち、消費者信頼感指数が5月の0.2から6月には-0.5へ、建設部門の景況感指数が7.1から5.6へと低下したことが足を引っ張りました。製造業鉱工業、サービス業は横ばい推移、小売は小幅上昇となっていました。
なお、EU全体のESIもユーロ圏のそれと同じような水準・推移となっており、ユーロ圏で112.3を上回ったのは、リトアニア(114.5)、マルタ(117.9)、オーストリア(113.7)、ポルトガル(114.3)、スロベニア(113.6)の5カ国のみ(全19カ国)。
EU加盟国では、クロアチア(116.5)、ハンガリー(123.0)が加わって計7カ国のみ(全28カ国)、という状況です。
ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、英国などの主要経済大国が全てユーロ圏の数値を下回っており、下降トレンドが続いていることを示唆しています。
ECBが28日に公表した定例経済報告では、世界経済成長見通しがここ数週間で悪化しており、リスクは下方としています。そして、保護主義の高まりがその一因だとも指摘しています。
第3四半期、2018年下半期にかけて、この指標がしっかりと下げ止まるかどうかが、ECBの金融政策にも影響を及ぼすことにもなりそうです。
28日のNY金相場は0.41%安となって4日続落。12月13日(1248.6)以来、6カ月半ぶりの安値水準。貿易摩擦を巡る新たな動きがなければ株価は反発、しかしNY金の軟調な流れはこの日も続き、NY市場では一時1250ドル割れ。ただし、下値目安1250ドル近辺に到達しており、NY引け後の時間外では下げ渋る展開にも。若干の行き過ぎとなれば昨年12月安値1238.3ドルが意識される展開も想定されるものの、その12月安値までの下落局面では9月高値から124.1ドルの下落となっており、今回の下落局面では4月高値から122.2ドルの下落幅。反発方向には23.6%戻し、1276ドル付近を回復できるかどうかが目安にも。
NYプラチナ相場は0.79%安で続落。2016年1月22日(831.6)以来、2年5カ月ぶりの安値水準。860ドルから870ドル台までの小幅レンジで下げ渋っていた状態も、NY金が下げ止まらないことで力尽きた格好となって下方ブレイク。今朝の時間外では850ドル台で下げ渋る状態ながら、目先の下値目安は830ドル近辺までが想定され、長期的な二番底形成へ。870ドル台が当面の抵抗水準に。
ドル円は25銭程のドル高円安となって小幅に3日続伸。東京市場午前には日経平均の下落とともに一時的に110円を割れる場面もあったものの、比較的底堅く推移。NY市場では米1-3月期GDP確定値や新規失業保険申請件数が予想を下回ったことを受けて一時110円00銭台まで下押しも110円割れを回避。株価の反発や米長期金利の上昇にも連れて買い戻されると1週間ぶり高値となる110円60銭台まで上昇。 今朝の東京市場では110円50銭台の攻防となり、このまま110円台後半を維持できればドル高円安方向への流れが進行する可能性。5月PCEなどでインフレ加速基調が確認されると一段高の展開にも。昨年11月高値から今年3月安値までの61.8%戻し(110.88)を突破できれば、76.4%戻しとなる112円30銭台辺りまでが当面の上値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/28終値とチャート
29日の国内金価格は8円安となって4日続落。昨年3月安値となった15日(4737)以来、1年3カ月ぶりの安値水準に。NY金の下げ止まり待ちでズルズルと下値を切り下げる形も、短期的にはいつ下げ止まってもおかしくない状態。中期スパンで見ると、今年1月高値から3月安値まで335円下落して反発、4月高値からここまで241円の下落。テクニカル的にネガティブな見方をすれば、もう一段の下落も想定可能な展開でもあり、昨年1月安値4677円が意識される可能性も。
週間ベースでは-60円(1.25%)で続落。月間では-128円(2.62%)、4カ月ぶりの大幅安で続落。
プラチナ価格は15円、0.46%安となって続落。2009年2月17日(3185)以来、9年4カ月ぶりの水準での軟調推移が継続。NYプラチナの保ち合い下方ブレイクに連れての一段安が進行しやすい状況となり、目先は3200円前後までが下値の目安に。3300円が当面の抵抗水準に。
週間ベースでは-39円(1.19%)で続落。月間では-161円(4.74%)、3カ月ぶりの大幅安となって5カ月続落。5カ月続落となるのはリーマンショック以降で最長。
※参考:金プラチナ国内価格6/29とチャート
2018年6月29日(金)時点の相場
国内金:4,749 円 6/29(金) ▼8(0.17%)
国内プラチナ:3,237 円 6/29(金) ▼15(0.46%)
NY金:1,251.0 ドル 6/28(木) ▼5.1(0.41%)
NYプラチナ:855.2 ドル 6/28(木) ▼6.8(0.79%)
ドル円:110.52 円 6/28(木) ▲0.25(0.23%)
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