更新日:2018年10月24日(水)
10月のリッチモンド連銀製造業指数は15.0となり、市場予想の24.0を大幅に下回る結果となりました。この指標発表後、ドル円は111円90銭台の安値をつけて反発へ、NYダウも3カ月ぶり安値をつけて間もなく反転へと向かい、この日のリスク回避的な流れの締めとなった格好です。
リッチモンド連銀製造業指数が予想を下回るのは6カ月ぶりとなり、水準としては4月(2.0)以来、半年ぶりの低水準となっています。
4月に1年7カ月ぶり低水準へと急落した後は予想を上回る急回復が続き、9月には29.0で過去最高水準に達していましたが、その勢いもようやく一服となった状態です。
上下動の激しいこの指標を、トレンドを示す6カ月平均で見ると10月は21.0。今年2月の20.0を超え、過去最高となっています。
単月の数値としてはピークアウト感も漂いますが、トレンドとしては好調を維持し、今まさにピークを迎えた可能性を示す状態です。
構成指数では出荷が半年ぶり、新規受注が5カ月ぶり低水準と冴えない結果となったことが足を引っ張りましたが、賃金指数は過去最高となった9月からは小幅低下となり、過去2番めの高水準を維持しています。
また、半年先の見通しを示す期待指数は7カ月ぶりの高水準となり、雇用者数の見通しは5月と並んで過去最高、賃金見通しは2000年3月以来、18年7カ月ぶりの高水準となっています。
リッチモンド連銀管轄地区内の製造業では、まだまだピークアウトを示唆するような状況ではなさそうです。
ただし、この日の市場はリスク回避の株安の勢いが強まる展開となりました。
米長期金利が高止まりの状態となるなか、米中間選挙を控えて政策動向への不透明感も漂い始め、サウジ記者殺害に関してはトランプ米大統領が「史上最悪の隠蔽」と非難、地政学リスクへの警戒感も漂い、トランプ米大統領のFRB批判も続きます。欧州では欧州委員会がこの日、イタリアの2019年度予算案を拒否。イタリアは3週間以内に新たな修正案を提示する必要に迫られたのに対し、コンテ伊首相は「プランBはない」と修正拒否の構え。英国の合意なきEU離脱に向けて暗雲が漂う状態も変わりません。
好調な米国経済と様々な不透明要因とが交錯し、買い優勢へと転換し始めた可能性もある金価格の上昇基調にも、気迷い状態が見え隠れ、という状況です。
23日のNY金相場は+12.2ドル、1.0%の大幅高となって3日ぶりの反発。7月16日(1239.7)以来3カ月ぶりの高値水準に。東京時間朝から続いた株安の流れに加え、午後からは米10年債利回りが急低下、リスク回避的な流れとなってNY朝にかけてNYダウは一時500ドル超下げて3カ月ぶり安値をつけるなど同時株安が進行。リスク回避で買われたNY金は時間外の1220ドル台半ばからNY朝には1240ドル台前半まで20ドル弱の急騰。しかし、3.20%付近から3.12%台まで急落した米長期金利が反発し、行き過ぎた株安の流れが巻き戻されるとNY金も1230ドル台前半まで10ドルほどの反落。1230ドル半ばの水準にはまだ抵抗感も残るものの、水準を切り上げる形となったことで上値は1250ドル前後までもう一段の上昇余地も。下値は1220ドルが当面のサポート水準となり、下げ止まりの兆しも見られる90日移動平均線(1221.5)がサポートラインとなるかどうか。このラインを割れるようだと流れは巻き戻され、1200ドルの大台ライン付近までが下値目安にも。
NYプラチナ相場は+12.9ドル、1.57%の大幅反発。時間外では820ドルを下回らず、NY朝にかけての反発局面では830ドル台後半まで20ドル弱の急騰。前日の大幅安の大半を巻き戻す形となり、810ドル近辺まで下値を試す可能性もあった流れは820ドルラインと90日移動平均線(824.2)にもサポートされて折り返し。ただし上値は840ドルが抵抗水準となり、20ドルほどの値幅で保ち合いを形成。上抜けできれば860ドル近辺までが上値目標にも、820ドルの下限割れの場合には下値トライ再開で800ドル割れを試す展開にも。
ドル円は40銭弱のドル安円高となって3日ぶりの反落。東京市場朝から株安の流れに連れてやや一方的な円高基調に。上海総合指数は2%超下落し、日経平均も2%超、600円下げて2カ月ぶりの安値水準となり、欧州時間にも株安連鎖に上値の重い展開。英FTSEは7カ月ぶり安値、ドイツDAXは2016年12月以来1年10カ月ぶり安値となり、米株主要3指数も揃って下落。112円80銭近辺から水準を切り下げ続けたドル円の安値はNY朝の111円90銭台。112円近辺では底堅さも見られ、この水準が目先のサポート水準にもなりそうな様子も。上方向は113円手前までのレンジで保ち合い形成の様相となり、あらためて下方ブレイクとなれば111円割れ、9月序盤の水準110円台後半までが下値目安に。逆に113円台を試すような流れとなれば114円台半ばの今年高値更新トライへと向かう可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/23終値とチャート
24日の国内金価格は+20円、0.42%の反発で7月19日(4769)以来、3カ月ぶりの高値水準を更新。ドル円の下げ渋りにも支えられての上昇トレンドは続き、7月高値4830円台を上値目標に少しづつ上値を切り上げる展開に。しかし、90日移動平均線(4686)は依然として下降基調が続き、RSIの推移からは上昇圧力の枯渇も見られる状況となり、いったんは調整局面も。
プラチナ価格は+25円、0.78%の反発。NYプラチナの反発に支えられて下値トライへの兆しも巻き戻され、保ち合い回帰の様相に。大きく見れば3160円から3260円までの広めのレンジでの保ち合いが1カ月。この上下限が短期的なサポートとレジスタンスにもなりやすく、足下では3180円台から3210円台までの小幅保ち合いへと収束。3220円超へと抜け出すと上昇トレンド再開となりやすく、3260円の抵抗水準も突破できれば上値目標は3370円台も。逆に3180円を割れると下値トライ再開となりやすく、3160円でもサポートされなければ3000円の大台付近を目指す流れへと発展する可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格10/24とチャート
2018年10月24日(水)時点の相場
国内金:4,765 円 10/24(水) ▲20(0.42%)
国内プラチナ:3,213 円 10/24(水) ▲25(0.78%)
NY金:1,236.8 ドル 10/23(火) ▲12.2(1.00%)
NYプラチナ:835.4 ドル 10/23(火) ▲12.9(1.57%)
ドル円:112.43 円 10/23(火) ▼0.38(0.34%)
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