更新日:2018年11月29日(木)
WPIC(World Platinum Investment Council)が発表したプラチナ需給レポートによれば、2018年第3四半期の世界のプラチナ総供給量は65.8トン。前期比-0.9%、前年比では+3.2%。総需要は56.3トンで前期比横ばい、前年比では+1.7%。需給バランスは9.5トンの供給過多。第2四半期の+10.1トンに続き、2四半期連続の供給過多。
供給面では南アフリカの鉱山産出量が3年ぶりの高水準となり、ロシアは前期比-9.8%。リサイクルも15.1トンで微増、在庫調整を含めてトータル微減。
需要では、自動車触媒需要の減少傾向が続き、22.4トンは直近4年間で最低水準。宝飾需要も14トンとなり、直近4年間での最低水準へと減少。
産業需要は14トン中5トンを化学関連が占め、1年ぶり高水準、電気関連が1.4トンで前期比11.1%増。
投資需要は第2四半期の-1.7トンから+1.9トンへと買い越し転換。地金・コインなどの現物投資は2.0トンで前期比-7.1%も前年比では+44.4%。プラチナETF在庫は前期の-3.9トンの売り越しから+0.2トンの買い越し転換。第3四半期の平均価格は大きく下落したものの、8月に底打ちして9月にかけて反発基調となったことで、売り越し分が買い戻されたようです。
2018年の年間見通しとしては、総供給量が248.1トン。2017年の250.2トンからは-0.9%の小幅減。2019年には252.1トンとなり+1.6%の予想。
南アフリカでの鉱山環境の混乱改善や、北米での新規プロジェクトなどによる鉱山産出量の増加とリサイクルにおける自動車触媒からの供給増が見込まれています。
総需要量は2017年の241.4トンから2018年は232.3トン(-3.7%)で2013年以降では最低水準へと落ち込み、2019年には237.9トン(+2.4%)へと増加予想。
2018年の需要で増加見込みとなっているのは産業需要で56.9トン(前年比+7.6%)、2013年以降では最高水準。とりわけ石油関連の5.8トン(+85.0%)、ガラス関連の6.8トン(+18.9%)の増加が目立ちます。産業需要としては2019年にも58.9トン(+3.6%)へとさらなる増加が見込まれ、石油関連も7.5トン(+29.7%)の予想。
2019年見通しでは、自動車触媒需要の減少分を宝飾品需要と産業需要の増加が補う形となりそうです。
なお、WPICの予想によれば、パラジウム価格上昇などを考慮すると今後はプラチナのETF投資需要も回復見込みとのこと。
需要低迷の主要因としては、欧州の自動車触媒消費量と中国の宝飾品需要の低迷が続いていることです。
需要低迷を背景に、需給バランスとしては2017年に+8.9トンだった供給過多は2018年には+15.7トンへとさらに増加見通し。2019年見通しでも+14.2トンで3年連続の供給過多予想となっています。
この結果プラチナの地上在庫も3年連続の増加で2018年には82.9トン、2019年には97.0トンに達する見込みとなっています。
なお、2020年以降に向けてのプラチナ需要を支えるニュースもあります。
2020年の東京五輪・パラリンピックではトヨタが大会関係車両として燃料電池車(FCV)も採用することを発表しており、スイスでは燃料電池トラックと水素ステーションの試験的導入が既にスタートし、韓国のヒュンダイが2019年末から5年間で1000台の燃料電池トラックをスイスで販売することを発表しています。
28日のNY金相場は4日ぶりの反発で10ドル超上昇、1週間ぶりの水準を回復。前日のクラリダFRB副議長が中立金利は「不透明」としたのに対し、この日のパウエルFRB議長は現状、中立金利を「若干下回る」水準にあるとの発言。決してトランプ大統領のFRB批判が影響した訳ではないとは推測されるものの、10月には中立金利に「まだ距離がある」としていたFRB議長がハト派寄りに傾斜したことを受けて来年の利上げペース減速への思惑が強まり、株高ドル安の流れが急進し、金も急反発。ドルインデックスが97ポイント台の高値警戒水準、ユーロドルも1.13ドル割れの反発警戒水準に達していたことも反動を強める要因に。NY金は1210ドル台前半での保ち合い推移から1220ドル台後半へと15ドルほどの急騰。保ち合いのなかでも軟調気味に推移し始めていた流れを巻き戻す形となり、サポート水準は1200ドルから1210ドルへ切り上げ、1230ドルの上限までのレンジを形成。下限割れなら今年安値圏再トライへの可能性も残されるものの、上限突破できれば1280ドル辺りまで上値を伸ばす展開にも。
NYプラチナ相場は-9ドル、1%超の大幅続落。NY朝には830ドル台の保ち合い下限を割り込んでしまったことで急落。下値目安810ドル台まで水準を切り下げたところでパウエルFRB議長発言、NY金の急騰に追随する形で10ドル超の反発も830ドルラインがサポートからレジスタンスに切り替わってしまったように上値を押さえられる状態に。810ドル台の下値目安再トライの可能性と目安到達に伴う一服も、抵抗水準となる前に830ドル台へと戻しておきたいところだが。
ドル円は10銭ほど水準を切り下げて4日ぶりの反落。米7-9月期GDP改定値は予想通り3.5%で速報から変わらず、10月新築住宅販売件数と11月リッチモンド連銀製造業指数が予想を下回る結果となったものの、パウエル議長発言への期待感もあってか113円70-80銭での保ち合い推移から114円まで一段高。2週間ぶりの114円ワンタッチで上値を押さえられやすい節目水準にも到達したところでパウエル議長発言、期待はずれのハト派傾斜で113円40銭台まで、60銭ほどの急落。ただし株高の流れにも支えられての円安の勢いで下値も限定的に。短期的な流れとしてはドル高円安の勢いが強まる状態も、利上げペース減速、早期打ち止め観測が今後強まる可能性が高まりそうな状況となってきたことで、上値114円の抵抗感は強まりそう。目先、113円前後ではサポートされやすく、割り込めば112円半ばが次の攻防ラインに。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/28終値とチャート
29日の国内金価格は+20円、0.42%の反発。上下動を繰り返しながら微妙に水準を切り上げる流れが再開、強気相場入りの前段階の状態を維持して保ち合い上限4770円台との攻防に。9日移動平均線(4759)が21日移動平均線(4764)をゴールデンクロスして下値を支える形となれば、もう一段上値を伸ばす展開となり、上値目標は11月高値4810円台更新トライへ。4750円台に切り上げたサポート水準を割り込んだ場合には4700円割れを試す流れにも。
プラチナ価格は-38円、1.16%の大幅続落。上下動を繰り返しながらの保ち合いを維持し切れずに下方ブレイク。NYプラチナには下げ止まりの可能性もあることから、下値を支えられる可能性もあるものの、そうでない場合には下げ幅拡大へ。最大目安として、8月安値2911円から11月高値3397円までの半値戻しとなる3154円前後まで。
※参考:金プラチナ国内価格11/29とチャート
2018年11月29日(木)時点の相場
国内金:4,775 円 11/29(木) ▲20(0.42%)
国内プラチナ:3,234 円 11/29(木) ▼38(1.16%)
NY金:1,223.6 ドル 11/28(水) ▲10.2(0.84%)
NYプラチナ:826.3 ドル 11/28(水) ▼9.0(1.08%)
ドル円:113.64 円 11/28(水) ▼0.11(0.10%)
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