更新日:2019年1月11日(金)
NY金と米10年債利回りの逆相関関係は短期的には最高水準まで強まっています。
12月後半以降、30日相関係数は-0.95近辺に張り付いた状態となっています。
将来の景気見通しを反映しやすいとされる米10年債利回りは、同時に金融政策動向の影響も受け、11月から12月末にかけて急低下してきました。年初にはほぼ1年ぶり低水準となる2.55%まで低下してようやくいったん下げ止まり、その後は2.7%台へと反発しています。
米景気減速懸念と金融政策動向の不透明感から米株とともに急低下してきた流れは、懸念材料の緩和とFRBの歩み寄りによって一服状態となった様子です。
NY金と米10年債利回りの30日相関係数が現在の水準よりもさらに強かった時期は2016年年央にかけての時期。
FRBが2015年12月に9年ぶりの利上げフェーズをスタートさせ、2016年も順次利上げが進むとの見通しも示されていましたが、年明けから世界同時株安、米経済指標の悪化、ブレグジットなどが続いてFRBも利上げを見送り続けた時期でした。結局FRBは政策金利を1年間据え置くことになりました。
当時もFRBの見通しと市場動向、市場の思惑との乖離があり、市場の思惑の方向へとFRBが寄せて行く形で利上げ再開可能となる時期を辛抱強く待ち続ける展開となっていました。
現状、米10年債利回りの下げ止まりによってNY金は上値を押さえられる形になってはいますが、米政府機関の一部閉鎖状態が続き、米中貿易交渉の行方にも不透明感も漂い、米中対立の構図は当面続きそうな状況でもあり、欧州ではブレグジットが実行段階に入って合意問題でこじれ、独仏の政局不安やポピュリズム台頭など不安要素も山積み。
現状のNY金と米10年債利回りとの逆相関関係は、短期サイクル的には今後、徐々に弱まることも予想されますが、FRBの金融政策への思惑を阻害しうる要因は多数存在し、不透明感が強まった2016年の再現となる可能性にも警戒感が漂います。
10日のNY金相場は-4.6ドル、0.36%の反落。前日のドル安の流れが続いた時間外には上値トライの展開も1300ドルの大台手前に壁。何度か試すも1298ドルまでで押し返され、パウエルFRB議長がバランスシート縮小を示唆したことでドル高、金利上昇となったNY市場では1290ドル割れへと反落。ダウもナスダックも5日続伸と米株の底入れ反発の流れも続くなか、金は1280ドルから1290ドル台までの小幅保ち合いを維持して下げ渋る状態。今後の金融引き締めの緩和度合いについては今晩の米12月CPIの結果が注目され、保ち合い解消へのきっかけにも。上方向へ抜け出すことができれば当面の上値目標は5月高値1320ドル台が意識されやすく、1280ドルを割り込むようなら1260ドル付近までが調整の目安に。
NYプラチナ相場は+0.8ドル、0.1%の小幅続伸。金の上値トライとともに時間外は830ドルの保ち合い上限をはさんでのもみ合い状態に。NY朝には833ドルまで上値を伸ばして失速、NY引け後には820ドル台前半へ。株高の流れにも支えられて下値も限定的となり、820ドル台での小幅保ち合いも維持。830ドルラインでの抵抗感は緩和されつつあり、上値トライに向かえば840ドル台まで上値を伸ばす可能性も。ただし、90日移動平均線(821.8)と820ドルのサポートラインを割り込んだ場合には800ドルの大台ライン前後までが下値目安にも。
ドル円は30銭弱のドル高円安へと反発。利上げ打ち止め観測と米長期金利低下の流れに日経平均の下落などもあり、東京時間には107円70銭台まで下落。しかしこの水準では底堅く、米中貿易交渉進展期待や米株上昇の動きなどにも連れて持ち直し、NY時間には米新規失業保険申請件数での好調持続も好感され、パウエルFRB議長発言にも後押しされる形で108円台半ばを回復。ドル安と金利低下の流れは反発に転じ、リスク回避の円高リスクも後退しつつあり、ドル円の下押し圧力も緩和される状態ながら上値もまだ重い状態。108円80銭台から109円の壁を突破できれば110円付近まで反発継続の可能性も、108円割れを再度試すようなら106円台半ば辺りまで一段安の展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/10終値とチャート
11日の国内金価格は-7円、0.15%の小幅安で3日続落。ジリジリと水準を切り下げ、短期的にはここまでの今年安値7日の4797円とで二番底を形成する形にも。安値を更新せずにネックラインとなる8日の4821円を上回ることができれば+24円で4845円程度までの上昇も見込まれる展開にも。さらに12月末の4848円を上抜けることになれば12月半ば以降の保ち合い上抜けとなり、最大4950円台辺りまでを目指す流れに発展する可能性も。逆に今年安値更新なら保ち合い下方ブレイクで大幅安の展開も予想され、当面の下値目安は4700円割れも。
週間ベースでは-42円(0.87%)で反落。
プラチナ価格は-9円、0.29%安で3日続落。12月27日(3056)以来の安値水準となり、年末からの反発基調の失速状態が継続。ただし3日間の下げ幅は21円と限定的でもあり、反発基調が完全に腰折れ状態となったわけでもなく、3090円超へと切り返すことができれば反発の流れ再加速となって3180円近辺までが次の上値目標にも。
週間ベースでは+10円(0.33%)で続伸。
※参考:金プラチナ国内価格1/11とチャート
2019年1月11日(金)時点の相場
国内金:4,806 円 1/11(金) ▼7(0.15%)
国内プラチナ:3,066 円 1/11(金) ▼9(0.29%)
NY金:1,287.4 ドル 1/10(木) ▼4.6(0.36%)
NYプラチナ:826.1 ドル 1/10(木) ▲0.8(0.10%)
ドル円:108.43 円 1/10(木) ▲0.28(0.26%)
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