更新日:2019年2月15日(金)
世界のプラチナ需要の内訳構成は近年、変化の兆しが見られます。
ジョンソン・マッセイ社のレポートによれば、2018年の総需要は243.4トンとなって3年連続の減少、2011年以降では最低水準となっています。その主要因となった自動車触媒需要が年間100トンを割り込み、宝飾品需要も2010年代での最低水準に落ち込んだ一方、産業用需要は過去最大となり、宝飾品需要の73.5トンに迫る72.2トンへと前年比+15%の大幅増。
産業用需要としては、中国での生産設備増設に伴い、化学(前年比+11.8%)、ガラス(+26.3%)、石油(+32.9%)関連でのプラチナ需要が拡大しています。
また、燃料電池車におけるプラチナ需要もその比率はまだ大きくはないものの、2018年には倍増。
前年比-5.2%となった自動車触媒需要では欧州での需要が47トンで全体の49.5%のシェア。2016年には56トンで53.9%までシェア拡大後は2年連続の減少。
自動車生産台数が欧州では9%も減少し、ディーゼル車離れとともに欧州の排ガス規制対応に伴うディーゼル車の触媒システム変更によりプラチナ含有量が減少したことも影響した模様。
なお、市場としてはまだ小規模ながらインドでの自動車生産台数が2桁の伸びとなっており、今後も欧州市場での需要減の一部を補うことが予想されているようです。
宝飾品需要では、中国が65.3トンで世界全体の69.4%を占めていた2013年から5年連続減少し、2018年は43.5トンでシェア59.2%と60%割れ。
中国では中古宝飾品のリサイクル量が増加していることもプラチナ消費需要の純減につながっている様子。また、若年層の志向も変化してきており、プラチナの需要が今後も拡大することはそれほど見込まれない模様。
ただし、ここでもインドのプラチナ消費需要が現時点では小規模ながら2桁の伸びを示し、今後の中国での需要減の一部を補うことが予想される状況にも。
2019年の見通しとしては、自動車触媒需要面では排ガス試験方法の厳格化や大型車の規制強化などからプラチナ需要の底堅さも見込まれ、産業用需要では中国の生産設備拡大によって支えられるものと予想されています。
ただし、宝飾品需要としては引き続き低調が見込まれ、鉱山産出量の横ばい推移が続くなかでリサイクル量の増加も予想される状況から、プラチナの供給過剰も続くことが見込まれています。
14日のNY金相場は-1.2ドル、0.09%の小幅安で3日ぶりの反落。高値保ち合い圏内での軟調推移局面、欧州時間にはドル高ユーロ安の流れとなって一時半月ぶり安値となる1304ドルまで売られたものの、NY朝には1カ月以上遅れて発表された米12月小売売上高のネガティブ・サプライズで流れが逆転。前月比+0.1%予想に対して-1.2%の大幅下振れ、2009年9月(-2.4)以来9年3カ月ぶりの落ち込みとなり、自動車を除く小売売上高も前月比-1.8%で2008年12月(-2.2)以来、10年ぶり低水準。97ポイント台まで水準を切り上げていたドルインデックスは96ポイント台後半へと急反落、111円10銭近辺まで上昇していたドル円は110円60銭台へと急落、ユーロドルは1.1230ドル台から1.1300ドル台まで急反発。一時2.71%台まで上昇していた米10年債利回りも2.64%付近まで急低下。NY金も1310ドル台半ばへと急反発。なお、12月指標であることから今後は回復も見込まれるところ。ただし、トランプ米大統領が予算案に署名すると同時に国境の壁建設費用を確保するために国家非常事態を宣言することも伝えられ、目先は政局リスクへの警戒感も。NY引け後にかけては1310ドル半ばで下げ渋り。20日移動平均線(1306.5)に下値を支えられ、1320ドル台までのレンジでの保ち合い継続の様相に。
NYプラチナ相場も-2.6ドル、0.33%の小幅安で3日ぶりの反落。NY午前につけた安値では780ドル割れ寸前まで売り込まれ、12月14日(780.9)以来2カ月ぶりの安値水準に。その後の反発局面では790ドルを回復も一時的にとどまり、引け後にはこの790ドルラインが抵抗水準となりつつある様子も。12月安値778.6ドルとこの日の安値で2番底をつけた形にもなってはいるものの、依然として下押し圧力優勢局面にあり、下値目安760ドル台に向けた流れが継続中。
ドル円は50銭弱のドル安円高となって4日ぶりの反落、前日上昇分を帳消し。米小売売上高の発表まではドル高主導の堅調推移継続で12月27日(111.23)以来1カ月半ぶり高値水準となる111円10銭台を何度か試し、短期上値目標111円付近到達に伴う達成感も漂い始めたところでのサプライズとなって急反落。一度は110円80銭台まで反発も、国境の壁建設を譲らないトランプ大統領の非常事態宣言への警戒感などから株安・円高の流れも強まり、一時110円40銭台まで下落。短期上昇トレンドを終えた可能性も高まり、今朝の東京市場でも21000円割れの日経平均とともに軟調推移で110円30銭台へ。20日移動平均線(109.76)が目先のサポートに、割り込んだ場合には一段安の展開となって108円台半ばまでが次の調整目安に。上方向には111円が当面の抵抗水準となり、超えることができれば上値トライ再開で112円付近までが次の上値目標にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/14終値とチャート
15日の国内金価格は小幅に4日続伸となった前日から変わらず、昨年5月11日(4984)以来9カ月ぶり高値水準での横ばい推移で上昇一服。短期上値目標5000円台までもう少しの上昇余地を残した状態で円安サポートは剥落、NY金のサポートもまだ強まるそぶりも見られず、高止まる過熱感にもRSIピーク水準はわずかに低下傾向となる逆行現象も見られ、反落警戒感もやや高まる状況にも。ただし、NY金の底堅さからは調整局面がすぐに大きく進行するような展開も予想し難いところ。目先は4930円のサポート水準を維持し、保ち合い傾向となって上値トライ再開のチャンスをうかがう展開にも。
週間ベースでは+43円(0.87%)の反発。
プラチナ価格は-8円、0.27%の小幅続落。NYプラチナの一段安への警戒感が続く状態に円高圧力も加わり、下値トライ再開への警戒感もジワリと高まる状況にも。2990円から3020円までの安値圏での小幅保ち合いレンジを形成し、強めのサポートでもある下限を割り込んでしまうと2950円前後までを試すような流れとなる可能性。逆に上限突破へと切り返す展開となれば3070円台辺りまでの反発余地拡大も。
金との価格差は連日の過去最大更新となり、前日の1968円から1976円へと拡大。
週間ベースでは-23円(0.76%)で続落。
※参考:金プラチナ国内価格2/15とチャート
2019年2月15日(金)時点の相場
国内金:4,977 円 2/15(金) +-0(0.00%)
国内プラチナ:3,001 円 2/15(金) ▼8(0.27%)
NY金:1,313.9 ドル 2/14(木) ▼1.2(0.09%)
NYプラチナ:789.2 ドル 2/14(木) ▼2.6(0.33%)
ドル円:110.49 円 2/14(木) ▼0.48(0.43%)
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