更新日:2019年3月8日(金)
ECBは金利据え置き見通しを「今年夏まで」から「年末まで」へ先送りしました。
ドラギ総裁のお膝元イタリアの景気後退とドイツの減速がユーロ圏全体へと波及し始めていることへの警戒感を強め、景気支援の拡大策として、貸出条件付きの長期資金供給オペ(TLTRO)第3弾を9月に開始することも合わせて発表しました。
ECBはインフレ見通しも引き下げたほか、経済成長見通しも大幅に引き下げました。2019年の成長見通しを従来の1.7%から1.1%へと0.6%の大幅引き下げ。
前日にOECDが発表した1.0%はわずかに上回りましたが、2月7日に欧州委員会が発表したユーロ圏の成長率1.3%(昨年11月の1.9%から下方修正)、1月にIMFが発表した1.6%などを下回る水準に。
この日、米FRBのブレイナード理事も「米経済のリスク上昇を懸念」し、「現状の経済指標からは企業や個人の支出減少を示す兆候が見られる」ことを指摘し、「FRBは経済見通しを変更せずとも利上げ予想を引き下げるべき」との発言。
ECB理事会後に急速に進んだユーロ売りにより、ユーロドルは節目の1.12ドルを割り込み、2017年6月以来、1年9カ月ぶりの安値水準となり、ドイツ10年債利回りは2016年10月以来、2年5カ月ぶり低水準となる0.06%台へと急低下。
景気減速懸念はユーロ圏のみにとどまらず、米国も含む世界景気減速懸念への警戒感を強める状況にもなり、米株はダウもナスダックも4日続落となって3週間ぶり安値水準に。ユーロ安主導のドル高に円高も加わり、為替はクロス円で円全面高。新興国通貨も売られてトルコリラは対ドルで今年安値圏、ブラジルレアルや南アランドは今年安値を更新。VIX指数も1月末以来5週間ぶり高水準となる16ポイント台後半へと上昇。
ECBの見通し変更をきっかけに、ユーロ安ドル高の流れはリスク回避の流れへと発展し、その影響は拡大しています。
7日のNY金相場は-1.5ドル、0.12%の小反落。ECBの見通し引き下げなどへの警戒感もあり、欧州時間序盤には一時6週間ぶり安値となる1280ドルまで売られる場面もあったものの、この水準での底堅さも確認。ECB理事会の結果とドラギ総裁会見を受けての乱高下の反応も1290ドルでは上値を押さえられ、1280ドル台前半まででの小幅保ち合いの展開に終始。年初に保ち合いを形成した1280ドル台から1290ドル台までの水準に位置し、比較的落ち着きやすいところ。世界的な景気減速懸念をサポートに底堅い展開も予想されるものの、目先は米雇用統計の結果次第で上下に振られる展開も。下方向には8月以降の上げ幅の50%戻し(1258.5)から90日移動平均線(1271.2)辺りまでがサポート候補となり、上振れなら1300ドルの大台再トライも。
NYプラチナ相場は-11ドル、1.33%の大幅安で5日続落。5日続落は昨年11月以来、4カ月ぶり。ユーロドルの急落に連れる形で水準を切り下げると2月15日(806.9)以来3週間ぶり安値となり、12月安値から2月高値までの61.8%戻し(817.3)を達成。820ドルのサポート水準を割り込んだことで、もう一段の下げも。目先、76.4%戻し(802.5)、大台ライン付近までが下値目安に。
ドル円は20銭弱のドル安円高となって続落。値幅30銭台の小動きは4日連続となり、小幅保ち合い推移継続。ECB理事会後のユーロドル急落にはドル高の影響で111円60銭台から80銭台まで急騰も、ドラギECB総裁会見とともに世界景気減速懸念のリスクオフムードが強まると円高の勢いがドル高を上回り、株安と金利低下の流れとともに111円40銭台まで急反落。今朝の東京市場にかけてもドル高円高の綱引き状態となって111円半ばでの保ち合い推移の展開に。111円台後半での保ち合い状態での雇用統計待ちとなり、上振れなら112円台後半を試す可能性も、下振れで90日移動平均(111.26)から200日移動平均(111.38)のサポートを割れると110円半ばまでが下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/7終値とチャート
8日の国内金価格は-5円、0.1%の小幅続落。1月7日につけた今年安値4797円から2月21日の今年高値5091円までの50%戻し(4944)にほぼ到達し、4950円から4970円までの小幅保ち合いを下抜け。9日移動平均線(4996)も21日移動平均線(5000)を下抜けて短期下押し圧力が強まる状況にもなり、61.8%戻し(4909)から4900円の大台ライン付近までが目先の下値目安に。予想に反して切り返す展開となって4970円を上抜けた場合には5000円の大台再トライの可能性も。
週間ベースでは-82円(1.63%)の大幅続落。下げ幅は昨年安値をつけた8月13日からの週(-154円、3.32%)以来、半年ぶりの大幅下落。
プラチナ価格は-45円、1.42%の大幅続落。2月20日(3120)以来、半月ぶりの安値水準となり、1月安値から3月高値までの50%戻し(3156)と90日移動平均線(3155)も下抜け。仮にNYプラチナが800ドルまで下げた場合、ドル円が111円50銭でも3100円を割れることになり、76.4%戻し(3064)辺りまでが下値目安にも。
週間ベースでは-199円(5.98%)、先週の大幅上昇分(+182円、5.78%)を帳消し。昨年8月13日からの週(-216円、6.78%)以来、半年ぶりの大幅下落。
※参考:金プラチナ国内価格3/8とチャート
2019年3月8日(金)時点の相場
国内金:4,947 円 3/8(金) ▼5(0.10%)
国内プラチナ:3,130 円 3/8(金) ▼45(1.42%)
NY金:1,286.1 ドル 3/7(木) ▼1.5(0.12%)
NYプラチナ:817.1 ドル 3/7(木) ▼11.0(1.33%)
ドル円:111.57 円 3/7(木) ▼0.18(0.16%)
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