更新日:2019年4月5日(金)
米労働省が発表した新規失業保険申請件数は3月30日までの週で20.2万件と49年4カ月ぶりの低水準となり、労働市場の引き締まりが続いていることを示す結果となりました。23日までの週の失業保険継続受給者数も10週ぶりの低水準とこちらも好結果。
失業保険申請件数は、昨年9月8日までの週に記録した近年の最低水準20.8万件を更新できない状態が続き、底打ち警戒感も漂い始めていましたが、7カ月ぶりにようやく更新することになりました。
いっぽう、失業保険継続受給者数は昨年10月20日までの週と翌週に164.9万人まで減少し、1973年10月20日までの週(164.6万人)以来、45年ぶり低水準となって以降、5カ月の間近年の最低水準更新が途絶えています。
失業保険継続受給者数の4週移動平均は3月23日までの週で174万3250人となり、52週移動平均の172万3904人を上回っています。2月16日までの週に4週移動平均が52週移動平均を上回り、この状態が6週間続いています。
4週移動平均が52週移動平均を上回るのは2009年10月31日までの週以来、9年3カ月ぶり。
なお、4週移動平均は10月27日までの週に165万人台で底打ちした可能性を残して増加傾向が5カ月続き、52週移動平均はまだ減少傾向が続いています。
また、失業者数は2018年3月以降は求人数を下回る低水準が続いていますが、失業者数自体は2018年9月に17年9カ月ぶり低水準を記録後、ゆるやかに増加傾向の兆しにもなっています。
失業保険継続受給者数が近年の最低水準を更新できない状態があと2カ月以上続くか、もしくは4週移動平均が52週移動平均を上回る状態が当面続くようなら、
長期増加トレンド入りの可能性が高まります。
4日のNY金相場は-1ドル、0.08%の小幅続落。欧州時間から対ユーロを中心にドル高の流れが強まり軟調推移の展開となり、普段はあまり反応しない米失業保険申請件数の好結果にドル高と金利上昇の勢いが強まると1290ドル割れ、3月安値となった3月7日以来1カ月ぶりの安値水準となる1285ドル付近まで下落。しかし、金利上昇一服と雇用統計前に行き過ぎとの思惑もあってか急速に買い戻されるとNY引け後には1290ドル台後半まで上昇。90日移動平均線(1288.8)にもサポートされて節目割れを回避も、上値も1300ドルの大台ラインにしっかり押さえられる状態。雇用統計ではそこそこの好結果でもドル買い圧力が強まる可能性もあり、節目割れなら1270ドル近辺までの一段安も。予想外に低調となれば1300ドル超えも1320ドル台の直近高値までが抵抗水準にも。
NYプラチナ相場は+30.3ドル、3.47%の大幅続伸。上げ幅としては昨年7月3日(+32.9ドル、4.04%)以来9カ月ぶりの大幅高となり、6月14日(910.9)以来10カ月ぶりの高値水準。引き続き南アの電力不足が材料視されて供給不足懸念の思惑から買われた様子。ただし、南アの電力不足は慢性的な問題でもあり、これまでも悪化懸念が強まればプラチナは急騰し、少し落ち着けば格好の売り場を提供したことで上げ幅以上の急落で水準を切り下げる展開を繰り返してきた経緯も。今回の問題がこれまで以上に悪化、長期化しないとも限らないものの、水準切り上げとともに急反落警戒感も拡大する状態にも。短期的には上値目標890ドル付近をクリアし、昨年最高値(1033.3)から最安値(755.7)までの半値戻し(894.5)も達成しての大台回復となり、一服感も。905ドルを上限に900ドル台前半で膠着状態となっている現状がいったんピークとなれば、今年安値からの上げ幅に対する23.6%戻し(875.6)付近までの調整は短時間でもあり得るか。
ドル円は20銭弱のドル高円安となって続伸。東京・欧州時間には111円40銭台を中心にもみ合い状態が続いた後、米週間新規失業保険申請件数の好結果をきっかけに米10年債利回りとドル高円安の流れが加速して111円60銭台まで上昇。トランプ米大統領が米中貿易協議に関して「1カ月ほどで歴史的合意の可能性」と発言したこともリスクオン地合いをサポート、今朝の東京市場では株高にも連れて一時111円80銭付近まで上昇する場面も。雇用統計への期待感もあり、楽観ムードからフライング気味の買いが強まった様子も。抵抗線にもなりつつあった200日移動平均線(111.48)をしっかり上抜けたこともあり、それなりの結果でも一段高へと向かう展開も予想され、113円台に向けた流れが進行することにも。予想外に低調な結果となった場合でも20日移動平均線(111.04)から90日移動平均線(110.75)辺りがサポートにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/4終値とチャート
5日の国内金価格は+14円、0.28%高で5日続伸。3月末の急落前の保ち合い下限をなんとか回復した状態で週末の雇用統計待ちへ。「まずまずの好結果に金利上昇とドル高円安の勢いが強まってNY金は軟調推移の展開」を基本シナリオとし、そうなれば今回は円安サポート度合いが強まりそうで国内金価格の下げ幅もそれほど大きくはならない可能性も。逆の展開か、予想以上にNY金が下げ渋れば保ち合い上限5020円トライの展開にも。
週間ベースでは+64円、1.3%の反発。
プラチナ価格は+104円、3.1%の大幅高となって5日続伸。上昇幅は昨年11月2日(+104円、3.2%)以来5カ月ぶりで、昨年5月23日(3467)以来、10カ月半ぶりの高値水準。短期上値目標3350円台を突き抜け、昨年高値(3843)から安値(2911)までの半値戻し(3377)を大きく超え、昨年4月から6月までの保ち合い水準にも達していることから、水準的には落ち着きやすいところ。しかし、買われ過ぎ状態がもう少し続くようなら61.8%戻し(3487)も意識され、急反落なら今年安値(2982)からここまでの23.6%戻し(3343)程度までは下げやすいところ。
週間ベースでは+233円、7.23%の大幅反発。ユーロ危機に揺れた時期、2012年7月2日からの週(+280円、7.62%)以来、6年9カ月ぶりの大幅上昇。
※参考:金プラチナ国内価格4/5とチャート
2019年4月5日(金)時点の相場
国内金:4,976 円 4/5(金) ▲14(0.28%)
国内プラチナ:3,455 円 4/5(金) ▲104(3.10%)
NY金:1,294.3 ドル 4/4(木) ▼1.0(0.08%)
NYプラチナ:904.5 ドル 4/4(木) ▲30.3(3.47%)
ドル円:111.61 円 4/4(木) ▲0.17(0.15%)
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