更新日:2019年7月12日(金)
米労働省が発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.65%。2カ月連続の低下で今年2月(+1.52)以来、4カ月ぶりの低水準へと鈍化。NY原油価格が月間平均で2カ月連続低下し、5月の60.87ドルから6月は54.71ドルへと急低下したことに連動する形となりました。
しかし、食品とエネルギー関連を除くコアCPIでは前年比+2.13%。
市場予想の+2.0%を上回り、5月の+1.99%からは0.14%上昇し、今年1月(+2.15%)以来、5カ月ぶりの高水準。昨年7月の+2.35%をピークに低下傾向が1年近く続いてきた流れに歯止めがかかった可能性を示す結果に。
セクター別では、エネルギー価格が5月の前年比-0.5%から6月は-3.4%へと一段と低下したことがCPIを押し下げたのに対し、食品とネルギーを除く商品価格が5月の-0.2%から6月は+0.2%へ、プラス圏へと反発して5カ月ぶり高水準となったことがコアCPIを押し上げました。
CPIの詳細項目別で、CPI押し下げ要因となった主な項目としては、
CPIのウェイト4.32%を占めるガソリン価格が5月の-0.2%から6月は-5.4%へ急落、4カ月ぶり低水準。
ウェイト1.69%を占める医療用品が5月の前年比-0.7%から6月は-1.5%へと一段と低下。
コアCPIの押し上げ要因となった主要項目としては、
ウェイト2.35%を占める自動車保険は昨年前半の9%台から鈍化傾向が続いてきましたが、6月は前年比+0.7%で5月から横ばい推移となり、とりあえずは下げ止まり。
前年割れが続いていた航空運賃(ウェイト0.74%)が2カ月連続プラス圏となり、5月の前年比+0.9%から6月は+1.5%へと一段高。
医療サービス(ウェイト6.96%)は前年比+2.8%で横ばい推移も高止まり。
女性用アパレル(ウェイト1.22%)は12カ月連続前年割れとはなっているものの、5カ月続落で前年比-5.7%となった5月から6月は-3.6%へと半年ぶりに下落率を縮小。
健康保険(ウェイト1.16%)は昨年秋から加速を続け、4月以降は前年比+10%を超えて6月は+13.7%。
ガソリン価格を除くと、下げ止まり、底入れの可能性、反発、上昇など、これまでの低インフレの流れに変化をもたらす兆しも目に付きます。
7月利下げは既定路線となりつつある状態ながら、その後の追加利下げ見通しには影響を及ぼす可能性も見られ、低インフレ継続とFRBのハト化に「待った」をかけるきっかけとなったかもしれません。
11日のNY金相場は-5.8ドル、0.41%安で3日ぶりの反落。パウエルFRB議長の7月利下げ示唆発言を受けて前日NY引け後も堅調推移は続き、一時1430ドル手前まで上昇。6年ぶり高値圏での保ち合いを形成する現状では、6月25日と7月3日の高値1440ドル台に続き、今年3番目の高値をつけて頭打ち。NY朝には米6月コアCPIが予想外に上昇したことを受けてドル高と長期金利上昇の流れが加速、NY金は1420ドルを割れるとNY午後には1410ドル割れ。高値からは20ドル強の大幅反落となり、上値トライ再開に向かうかとも思われた流れは急速に巻き戻され、高値保ち合い下限となる1400ドルの大台ライン維持をかけた攻防にも。6月PPIでも予想外の強さが示されるとさらなる売り圧力に。大台ラインを割れた場合には一段安の展開が予想され、これまで長期上値抵抗水準となってきた1360ドル台までが次の下値目安に。上方向には1420ドルラインが強めの抵抗水準となりつつあり、突破することがあれば高値更新で1450ドル台までが次の上値目標に。
NYプラチナは+0.9ドル、0.11%の小幅続伸。7月高値850ドル再トライへの流れが一服。830ドル付近での小康状態から、ロンドン時間に830ドル後半へと動き出したのも束の間、NY朝には金の急反落に連れて反落、830ドルの攻防からNY引け後には830ドル割れ。上値トライ再開への可能性を残しながらも、NY金が大台割れへと一段安となった場合には追随する可能性も。20日移動平均線(817.1)にサポートされない場合には下値模索再開へと流れが逆転する可能性も。
ドル円は10銭弱のドル高円安となって小幅に反発。前日NY市場でのドル安円高の流れを引き継ぐ形で東京市場朝から軟調推移となり、正午前には108円割れも107円80銭台のサポート水準では下支えされ、午後にはゆるやかに買戻し。108円台を回復したNY朝には米6月コアCPIの上振れをきっかけにドル買いが加速。米10年債利回りも1カ月ぶりの水準に向けて急騰したことでドル円は108円50銭台まで上昇。結果的に下方向への行って来いとなって20日移動平均線(108.05)にもサポートされ、下ヒゲ陽線を残して反発への可能性も示す形状にも。しかし、この2日間で109円ラインの上限と107円80銭台のサポートの両方の堅さを確認する形となり、目先しばらくはこのレンジ内での保ち合い形成で方向感模索の展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/11終値とチャート
12日の国内金価格は-50円、0.94%の大幅安となって4日ぶりの反落。インフレ加速の可能性を警戒する形で上値再トライに向けた高値を維持できず、急失速したNY金に連れての急反落。国内価格の上値トライ再開に向けた流れも巻き戻され、近年最高値圏での乱高下状態に。5200円から5300円までのレンジで目先は高値保ち合い推移の展開にも。今後は7月利下げの後、年内追加利下げ見通しと予防的利下げに終わるのか、リセッション入りなども警戒されて本格利下げフェーズ入りへと向かうのかなどが主要テーマへと切り替わって行くことにも。高値更新の場合には次の上値目標は5370円台辺りまで、5200円のサポートを割れると下値目安は5090円前後まで。
週間ベースでは+8円、0.15%高で7週続伸。7週続伸は2016年3月以来、3年4カ月ぶり。
プラチナ価格は-5円、0.16%の小幅反落。短期反発局面継続中の一服、と同時に3020円から3130円までのレンジ半ばで保ち合い推移の状態にも。NY金の上値の重さがNYプラチナの上値トライに向けた流れを抑制していることが国内プラチナ価格の重石にも。3130円超へと抜け出すことができれば3200円の大台も視野に。3020円を割れると2970円台の今年安値再トライも。
週間ベースでは-30円、0.96%安で3週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格7/12とチャート
2019年7月12日(金)時点の相場
国内金:5,250 円 7/12(金) ▼50(0.94%)
国内プラチナ:3,080 円 7/12(金) ▼5(0.16%)
NY金:1,406.7 ドル 7/11(木) ▼5.8(0.41%)
NYプラチナ:830.9 ドル 7/11(木) ▲0.9(0.11%)
ドル円:108.46 円 7/11(木) ▲0.07(0.06%)
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