更新日:2019年7月30日(火)
7月末FOMCでは0.25%の利下げが100%織り込まれ、9月の追加利下げも70%超、年内合計3回の利下げを予想する向きも50%を超える状態となった現状、ドル安はそれほど進行していません。むしろ主要通貨に対してはドル高となっています。
年初の為替レート、インデックス水準、価格水準を100とした指数でここまでの推移を比較すると、7月29日時点でドルインデックスは101.4となり、1.4%のドル高。ユーロドルは98.2で1.8%のドル高ユーロ安。中国人民元は100.5で0.5%のドル高人民元安。日本円は99.99とほぼ0%の拮抗状態。6月以降は最大1.5%程度の円高となる場面もありましたが、7月に入ってからはドル安円高からドル高円安方向に巻き戻された状態です。
米ドルの利下げ観測が強まる状況でも、米国よりも景気減速が懸念されるユーロ圏、中国、日本ではいずれも緩和策の推進が予想され、ユーロや人民元が対ドルで買われやすくなる場面はそう多くはありません。リスク回避局面などでは米ドル以上に買われやすくなる日本円も、貿易関連でのリスクが高まる場面や、米国の大幅利下げ観測が台頭した場面などではドル売り円買いが強まりましたが、それほど大きな流れには至りません。
結果的にドルインデックスは今年、ドル安局面は限定的となり、2%弱程度までのドル高に振れやすい状態が続いています。
そんななかにあって、ドル建て金価格は現在、10.6%の金高ドル安。米中貿易戦争激化懸念やイラン情勢などへのリスク警戒感とともに、米国の利下げ観測が急速に拡大した6月以降、急速に価格水準を切り上げる展開となりました。金利0%固定の金価格は、主要通貨のように相対的な金利動向を意識することなく、ドル建て金利の低下観測はそのまプラス材料として意識されることになります。
予防的利下げといいながらも、数回程度の利下げも予想されつつあることに加え、もしかするとこのまま利下げフェーズへと向かうのでは?といった思惑も見え隠れ。
今後、米国の景気減速から、景気後退も意識されたり、利下げフェーズ入りが意識されるような状況となれば、主要通貨に対するドル安の有無に関わらず、ドル建て金価格はさらに一段高へと向かう展開も予想できそうです。
逆に、予防的利下げの早期終了と利上げフェーズ再開が意識されるようになった場合には、独歩高の金価格に大幅修正局面が訪れる可能性も警戒されます。
29日のNY金相場は+1.1ドル、0.08%の小幅続伸。月末月初の重要指標発表に加えて日米英の金融政策会合が集中し、夏場のマーケットのおおまかな方向性を決定することになるかもしれない、夏休み前の重要ウィーク。1420ドルをはさんでの小幅保ち合いで静かにスタートしたNY金はNY朝につけた安値で1410ドル台半ば、NY午後にかけては買い戻し。英国の合意なき離脱懸念の高まりからポンドが2年4カ月ぶり安値へと売り込まれ、連れ安となったユーロはNY午後にかけて買い戻されてドル高を抑制、この展開にもサポートされる形でNY金は引け後に一時1428ドルまで上昇。高値保ち合いが続くなかでも20日移動平均線(1414.0)にサポートされ続け、下値サポートも1400ドル台から1410ドル台へと切り上げ、1430ドルの上限までの主要レンジを縮小。FOMC後に上方向へと抜け出した場合でも、短期的な上値余地は1450ドル付近までか。下方向へブレイクすると7月1日につけた安値1390ドル前後までが下値目安に。
NYプラチナは+14.1ドル、1.62%の大幅高で3日ぶりの反発。調整もそこそこに、米株の堅調推移に連動する形でNY午前の時間帯に水準を切り上げて880ドル台へ。7月24日の881.1ドルをわずかに上回り、4月30日(891.7)以来3カ月ぶりの高値水準に。一時的には7月25日の高値889.7ドルに迫る886.7ドルまで上昇し、890ドル手前で上値を押さえられる形で上ヒゲを残し、ダブルトップ形成への可能性も残す状態にも。高値更新でダブルトップ解消できれば900ドルの大台トライへ、ネックラインとなる860ドル台を割れると7月初旬の高値圏840ドル付近までが下値目安に。
ドル円は15銭ほどのドル高円安となって3日続伸、7月9日(108.86)以来20日ぶりの高値水準。東京午前には売り圧力が強まって一時108円40銭台まで急落の展開も、その後は買い戻しの展開に。108円60銭台まで回復後、NY朝にはポンド安ドル高の流れをきっかけにドル高円安の流れが強まって108円90銭付近まで上値を切り上げる場面も。0.25%利下げを完全に織り込み、追加利下げについてはそれほど明確な示唆もないのでは?との楽観見通しから既にドル高円安の流れが進行し始めている可能性も。目先は109円ラインが抵抗線となり、事実確認できればこれを超えて上値目標111円台を目指す流れが加速する展開にも。逆にハト派姿勢が明確になれば109円の抵抗線に上値を押さえられて反落の展開に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/29終値とチャート
30日の国内金価格は+34円、0.64%の続伸。7月19日の5322円を上回り、10日ぶりに近年最高値を更新。5000円超の水準維持は32営業日連続となり、2015年の記録を上回って単独で近年最長。NY金の堅調推移に為替もドル高円安といずれもFOMCを前に楽観ムードが優勢となっている様子もあり、国内金価格を押し上げる状態となって最高値圏での斜行三角保ち合いからの下方ブレイク警戒感をよそに高値更新トライが進行。明朝はFOMC結果発表に1日前となり、さすがに様子見ムードが強まることも予想されるものの、8月1日早朝の結果が現在の高値更新トライの流れを巻き戻すことにならなかった場合には、5420円台までが次の上値目標に。流れが巻き戻された場合には5270円が当面のサポート。これを割り込むようだと5150円が次の下値目安に。
プラチナ価格は+58円、1.79%の大幅高で3日ぶりの反発。5月8日(3304)以来、2カ月半ぶりの高値水準に。3260円台の高値をあっさりと更新したことによる一段高となって上値目標3300円の大台手前まで上昇。3230円が当面のサポート水準となり、5月8日の水準まで若干の上値余地も残す状態でFOMCの待ちへ。急反落でサポート水準を割れるようなことがあれば、下値目安は90日移動平均線(3184)も割れて3170円近辺まで。
※参考:金プラチナ国内価格7/30とチャート
2019年7月30日(火)時点の相場
国内金:5,335 円 7/30(火) ▲34(0.64%)
国内プラチナ:3,290 円 7/30(火) ▲58(1.79%)
NY金:1,420.4 ドル 7/29(月) ▲1.1(0.08%)
NYプラチナ:881.9 ドル 7/29(月) ▲14.1(1.62%)
ドル円:108.82 円 7/29(月) ▲0.15(0.14%)
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