更新日:2019年8月14日(水)
米労働省が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.81%。市場予想の+1.7%を上回り、6月の+1.65%からも加速、5月の+1.79%もわずかに上回り、4月(+2.00%)以来3カ月ぶりの高水準。原油価格の反発にサポートされての反発。
コアCPIは前年比+2.21%。これも市場予想の+2.1%を上回り、6月の+2.13%も上回って2カ月連続上昇。1月の+2.15%、12月の+2.18%も上回って11月(+2.21%)以来、8カ月ぶりの高水準、今年最高水準となり、インフレ加速再開への可能性を示す結果に。
セクター別ではエネルギー関連を除くサービス価格が前年比+2.8%、高水準での横ばい推移となり、食品とエネルギーを除く商品価格も6月の+0.2%から7月は+0.4%となり、4-5月の-0.2%からプラス圏を回復して2カ月続伸。
詳細項目別で、CPIの押し上げ要因となった主な項目としては、
CPIのウェイト2.39%を占める中古車価格が6月の前年比+1.2%から+1.5%へと2カ月連続上昇。
CPIのウェイト4.11%を占めるガソリン価格は6月の-5.4%から7月は-3.3%へと下げ幅を縮小。
ウェイト1.68%を占める医療用品も6月の前年比-1.5%から7月は-0.4%へと低下率を大幅に縮小。
ウェイト2.35%の自動車保健は昨年春の+9%台から急減速が続いたものの、7月は前年比+0.6%と6月の+0.7%からは小幅減速にとどまり、下げ渋る状態にも。
ウェイト1.2%の女性用アパレルは5月の-5.7%から6月の-3.6%、7月は-1.4%へとデフレ幅を急縮小。
航空運賃(ウェイト0.74%)は4月までの前年割れから5月以降はプラス圏を回復して+0.9%、+1.5%、7月は+1.3%。
ウェイト6.98%を占める医療サービスは6月の前年比+2.8%までほぼ2%台での推移が続いていた状態から7月は+3.3%へと急加速。
ウェイト1.17%の健康保健は11カ月連続上昇となって6月の+13.7%から7月は+15.9%へと一段高。
CPIの詳細項目別では、これまで低インフレを主導してきた前年割れの品目は下落率を縮小し、インフレ率を下支えしてきた品目はさらに高水準へと加速の兆しとなりました。
今後、年後半に向けてはPCEを含めて低インフレからの脱却の可能性も意識せざるを得ない状況となってきたかもしれません。
13日のNY金相場は-3.1ドル、0.2%の小幅反落。米中対立長期化や中国人民元安への懸念、香港のデモ拡大と中国政府介入懸念、欧州政局情勢や景気減速などに加えてアルゼンチン・ペソ急落などの新興国リスク等、多岐に渡るリスク要因が意識された週明けの流れを受け継いでNY引け後には1520ドル超へと一段高となったNY金。上方向への抵抗水準を突破した勢いと長期金利低迷、ドル安優勢の流れを受けて欧州時間にかけては急速に買われて一時1546ドルまで上昇。しかし、2013年4月12日(1564.2)以来6年4カ月ぶり高値水準で一段高となった後は急速に巻戻しの展開に。NY朝には米7月CPI、コアCPIともに予想を上回る高水準となったことを受けて1530ドル付近まで反落。
その後、米通商代表部(USTR)が、9月1日に発動予定の中国製品に対する10%の追加関税のうち、ノートパソコンや携帯電話など一部製品への発動を12月15日まで延期すると発表。前日には揃って1%超下落した米株主要3指数は1%超の反発となり、ドル高も急進、NY金は1500ドルの大台を割れてさらに水準を切り下げると一時1490ドルをわずかに割り込む場面も。高値保ち合い下限となる1500ドルの大台割れに伴う下値目安1480ドル台へとワンタッチし、上下57ドル超の大幅乱高下を経て1510ドル付近に収束。
1日の変動値幅としては2016年11月9日、米大統領選投開票日(70.2ドル)以来、2年9カ月ぶりの大幅変動。それでも高値保ち合い状態は前日から変わらず。
NYプラチナは-4ドル、0.46%安となって4日続落。時間外、欧州時間には金の急騰に若干は引っ張られる形となって870ドルまで10ドル弱の小幅高、NY朝からの急反落局面にはしっかり追随する形となって840ドル割れへと30ドル強の急反落。その後の戻り局面では前日終値水準にわずかに届かず860ドル手前で落ち着きを取り戻した状態に。結果的に上方向への節目870ドル台ではしっかり上値を押さえられ、850ドルの下値サポートを割り込んだことで下値目安830ドル台に一瞬、足を踏み入れた格好。上値の重さが確認された870ドルを超えることができれば900ドル付近を目指すチャンスも。下方向には850ドルを再度割り込めば830ドル台への抵抗感はなさそう。
金との価格差は12日の653.5ドルから654.4ドルへとわずかに過去最大を更新。
ドル円は1円40銭程の大幅ドル高円安となって5日ぶりの反発。昨年3月28日(+1.48円、1.4%)以来1年4カ月ぶりの大幅上昇となり、8月1日(107.36)以来の水準を回復。東京時間午前の105円50銭台から欧州時間にかけては香港情勢への警戒感なども重石となって軟調推移、しかし105円00銭台では底堅く、105円割れを回避するとNY時間には急反発へ。7月CPIの上振れには小幅ドル高の反応も、戻り売り圧力もまだ強く、これを跳ね返したのは対中制裁関税第4弾の一部先送りの発表。劉鶴副首相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との協議継続なども伝えられ、米中貿易戦争の小休止が意識されてリスク回避の巻戻しが急速に進行。米株急騰とともにドル円は105円付近から一時106円90銭台まで、2円弱もの急騰。今朝の東京市場では戻り売り圧力がやや優勢となって106円台半ばを割り込む状態に。104円台を試しに行く流れは巻き戻されたものの、反発への勢いも失速気味。106円台後半を回復することになれば107円台後半を目標にもう一段の反発も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/13終値とチャート
14日の国内金価格は+12円、0.22%の続伸。週明けまでの流れが大きく巻き戻された形にも、乱高下のNY金の水準がそれほど大きくは変わらなかったことにより、円安効果で高止まり。高値圏でボラティリティも高まり、ひとたび反落の流れが加速し始めると、NY金と為替の変動バランスが崩れれば大幅下落の展開も警戒される状況にも。目先は5460円台から5490円までの小幅保ち合いを形成し、一段高か急反落かという状態にも。5490円超へと高値更新なら5530円台が次の上値目標。5460円割れなら5400円の大台近辺までが下値目安に。
プラチナ価格は+17円、0.54%の反発。下値警戒感も高まる状況のなかでも下げ渋って保ち合いレンジを縮小。9日移動平均線(3143)から90日移動平均線(3175)までが全て抵抗線となって重石に。これらを突破することができれば反発局面再開で3220円近辺までが上値目標に。下方向には3120円を割り込めば3040円台辺りまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格8/14とチャート
2019年8月14日(水)時点の相場
国内金:5,484 円 8/14(水) ▲12(0.22%)
国内プラチナ:3,138 円 8/14(水) ▲17(0.54%)
NY金:1,514.1 ドル 8/13(火) ▼3.1(0.20%)
NYプラチナ:859.7 ドル 8/13(火) ▼4.0(0.46%)
ドル円:106.66 円 8/13(火) ▲1.38(1.31%)
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