更新日:2019年9月13日(金)
2018年後半以降、歴史的安値圏での保ち合い推移が続いたNYプラチナ。8月後半からは急騰局面を形成し、800ドルから900ドルまでの歴史的安値圏は脱しつつありますが、新たな局面へ、ステージへと向かうにはいくつかの攻防ラインをクリアする必要があります。
1)超長期抵抗線・・・史上最高値となった2008年3月の2290ドル台から2011年高値、2013年高値などを結んだに抵抗線に上値を押さえられて反落した状態となっています。
2)月足・一目均衡表の雲の下限・・・上抜けにはいったん失敗した状態。
3)中長期抵抗線・・・2018年後半以降、上値を切り上げる抵抗線の突破にも失敗。
4)1000ドルの大台ライン・・・9月5日につけた今年最高値は1000.8ドル、1000ドル超の滞空時間はごくわずか。
5)一目遅行線とロウソク足・・・遅行線はロウソク足との攻防状態が続きます。
これらの攻防ラインを突破できない状態が続けば、NYプラチナは2017年から2018年序盤までの保ち合いレンジ、900ドルから1000ドルまでが当面の主要レンジとなるか、あるいは900ドルを割り込めば再び歴史的安値圏に逆戻り。
これらの攻防ラインを突破できれば、NYプラチナは想定可能な長期抵抗線を全て上抜けて視界も開け、2016年最高値(1199.5)、雲の上限(1207.6から次月1184.7)、さらにはリーマンショック後の高値、2011年最高値から2018年最安値までの38.2%戻し(1197.4)などが意識されることにもなりそうです。
中長期的な上値目標1200ドルを目指す流れとなるか否か、NYプラチナにとっての中長期主要レンジ切り替えをかけた攻防が、この秋、スタートしています。
12日のNY金相場は+4.2ドル、0.28%の小幅続伸。3日続伸後の米10年債利回りの調整的な動きとドル安の流れとなった欧州時間に1510ドルまで小幅に水準を切り上げてECB理事会へ。ECBは中銀預金金利を-0.5%へとマイナス金利を深堀りし、11月1日から月額200億ユーロの債権購入でQE再開、フォワードガイダンス変更なども合わせフルパッケージの金融緩和を決定。ユーロ安ドル高急進でも緩和を好感する形でNY金は1530ドル台まで急騰。しかし、ドラギ総裁会見ではECB内で意見の相違があったことなども確認され、今回の措置による効果を疑問視する向きもあった模様。そして「財政政策が主役になるべき」との見解では全会一致だったことも示され、市場は巻き戻しの流れに。ユーロドルは急落分以上に反発し、米10年債利回りも低下分を取り戻して1.77%台へ、NY金も急騰分を吐き出して1510ドル割れ。それでもECB政策発表前のジリ高分がマージンとなって大台割れを回避。1560ドルの高値からの調整局面としては、1490ドル台でいったんは下げ止まったものの、急反発トライに失敗した形にも。なお、米8月CPIのコア指数が予想を上回る水準となり、今後のFRBの政策に影響を及ぼす可能性も。目先、1490ドル半ばを割れると1480ドル前後までが次の下値目安に。
NYプラチナは+12.4ドル、1.32%の大幅続伸。前日からの反発基調が続いて時間外の940ドル台後半から水準を切り上げてNY朝にかけては960ドル台へ。ドラギ総裁会見後の乱高下に巻き込まれて一時950ドル割れを試す場面もあったものの、再度960ドル台を試すなど比較的底堅い動きとなって950ドル台は維持。8月安値から9月高値までの38.2%戻し(937.5)付近が目先のサポートとなり、23.6%戻し(961.7)近辺でいったん上値を押さえられた状態に。これを突破して980ドルの抵抗水準も上抜けることができれば1000ドルの大台再トライへも。逆にサポートを割り込むようだと910ドル辺りまでが次の下値目安に。
ドル円は4日続伸、4日連続約30銭のドル高円安となって108円台へ。東京時間に伝えられた対中関税延期と中国の米農産物輸入検討などが好感されて東京午後にはいったん108円10銭台まで上昇。しかし、欧州時間にかけては利益確定売りとECB理事会に向けたユーロ円の下落などにも連れて107円80銭台へ、ECB理事会とドラギ総裁会見では107円50銭台まで急落後に急反発、米インフレ指標の好結果などもありNY時間には一段高となって再び108円10銭台まで上昇。下げ止まりつつある90日移動平均線(107.82)にもしっかりとサポートされ、4月高値から8月安値までの半値戻し、短期上値目標108円30銭台まであと一息。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/12終値とチャート
13日の国内金価格は+36円、0.65%の続伸。円安進行とNY金の下げ渋りで一段高となり、5520円から5670円までの広めの高値保ち合いレンジ半ばに到達。米中対立緩和と世界的利下げと金融緩和、強弱材料混在の状態で次週米FOMCでは0.25%利下げが既定路線となり、予想外の結果、事態がなければ広めのレンジ内推移に。予想外の事象が発生し、高値更新なら5740円辺りまでが次の上値目標に、5520円割れの場合には5430円近辺までが次の下値目安に。
週間ベースではかろうじてプラス転換で+1円、0.02%高で3週続伸。
プラチナ価格は+4円、0.11%の小幅続伸。金と同様に3420円台から3580円台までの広めの高値保ち合いレンジ半ばで一服。目先、FOMC後にかけては金と同様、予想外の事態がなければこの広めのレンジ内推移が予想されるところ。予想外の展開で上方ブレイクなら3630円近辺までが次の上値目標、下方ブレイクなら3360円台辺りまでが下値目安に。
週間ベースでは+10円、0.29%高で4週続伸。4週続伸は昨年1月以来、1年8カ月ぶり。
※参考:金プラチナ国内価格9/13とチャート
2019年9月13日(金)時点の相場
国内金:5,593 円 9/13(金) ▲36(0.65%)
国内プラチナ:3,508 円 9/13(金) ▲4(0.11%)
NY金:1,507.4 ドル 9/12(木) ▲4.2(0.28%)
NYプラチナ:952.6 ドル 9/12(木) ▲12.4(1.32%)
ドル円:108.13 円 9/12(木) ▲0.30(0.28%)
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