更新日:2019年10月25日(金)
IHSマークイットなどが発表する日米欧の製造業PMIの今年、10月速報値までの推移を見ると、
米国は減速局面でも節目50手前で下げ渋る底堅さを見せて反発の兆しも。
フランスは節目50を何度か割り込みながらも下げ渋る状態に。
日本は一度は節目50を回復も足下6カ月連続50割れで減速基調が継続中。
ドイツは年初から10カ月連続節目50割れ、ユーロ圏その他各国からも大幅下方乖離で10年ぶりの低水準、減速基調は止まらず。ユーロ圏と世界の減速基調を牽引。
ユーロ圏の指標発表では、フランスが予想を上回る好結果となったことでドイツやユーロ圏の好結果への期待感も高まってユーロが急騰、リスク選考の流れが強まりましたが、その後発表されたドイツの結果が予想を下回って巻き戻し、ユーロ圏も予想を下回って低水準での横ばい推移にとどまると逆にユーロ売り。リスク回避的な流れ再開へと期待はずれの結果に終わった格好です。
ドイツ製造業PMIの10月速報値は41.9となり、10年3カ月ぶり低水準となった9月の41.7からは0.2ポイント上昇。これに対してサービス業PMIは51.2で3年1カ月ぶり低水準。結果、総合PMIは6年11カ月ぶり低水準となった9月の48.5から10月速報では48.6へと0.1ポイント上昇。めずらしく製造業の下げ渋りが総合PMIの上昇に貢献。
製造業PMIの小幅上昇は、工場生産高と新規受注の減少率がわずかに緩和したことが要因。新規輸出受注は14カ月連続で縮小し、製造業全体の売上高減少を促進した格好。
サービス業PMI低下には需要の持続的な減少が影響。新規輸出ビジネスに関してはサービス業での調査を開始した2014年9月以降で最低水準。
ドイツの民間部門全体の雇用は6年ぶりに縮小。縮小傾向は製造業に集中し、10年ぶりの低水準。ただし、サービス部門での雇用創出も3年半ぶりの水準に低迷。
ドイツの製造業に明るい兆しはまだ見られず、サービス業への悪影響は進行中、という状況となっています。
ドラギECB総裁は最後の会見で「ユーロ圏経済の弱さは長期化」しており、「経済見通しのリスクは下方向のまま」であることに言及し、「しばらくの間、極めて緩和的な政策が必要」であることを明言しました。
リセッション入りも警戒されるドイツにとって、今後は回復基調への兆しも見られる米国やフランスの反発基調に牽引される展開に期待するか、もしくは財政出動に期待するしかなさそうな状況にもなりつつあります。
また、米中摩擦緩和で中国景気と需要の回復期待、さらには米欧貿易摩擦の緩和など、期待される要素は多数ありそうですが、いずれも不透明感も伴います。
24日のNY金相場は+9ドル、0.6%の続伸で10月9日(1512.8)以来、2週間ぶりの高値水準。20日移動平均線(1497.9)を上抜けて直近の保ち合い上限となっていた1500ドルの抵抗線もしっかり突破。欧州時間には10月製造業・サービス業PMI速報の結果を受けて小幅に乱高下、フランスの好結果に1490ドルまで売られたのがこの日の安値となり、ドイツとユーロ圏の低調な結果に下げ渋り。ECB理事会とドラギ総裁最後の会見では緩和政策継続が確認されてサポート材料に。英国ではジョンソン首相が総選挙実施を求める動議を下院に提出すると発表したことも不透明感につながった様子。短期的な保ち合い上抜けにより、1530ドル台を当面の上値目標として上値を試す展開も予想されるものの、中期的な三角保ち合い上限ラインにぶつかった状態でもあり、いったん上値は押さえられやすい状態にも。地合好転ながらFOMCまでは抑制された展開にも。
NYプラチナは+2.7ドル、0.29%高で3日続伸、1カ月ぶりの高値水準。NY朝には金の急騰に連れて930ドル台後半まで、10ドル強の急騰も短期上値目標940ドル台には少し届かず失速。急騰後の水準を維持した金に対してプラチナは上ヒゲを残す形で930ドル割れ。それでも9月末急落前の保ち合い下限、920ドル付近でサポートされた格好にも。この水準を維持できれば940ドル台の上値目標再トライの機会も。
ドル円は10銭弱のドル安円高で小反落。この日の変動値幅は25銭程度にとどまり、3カ月半ぶりの小動きで年間平均59銭の4割程度。レンジは108円50銭から75銭までと最近の小幅保ち合いレンジ内での推移。欧州時間にはフランスのPMI好結果へのぬか喜びで小幅に急騰、NY時間にはペンス副大統領の演説への警戒感や株安、金利低下局面に連れての円高。ペンス副大統領は中国の香港介入を批判し、デモ参加者支持を表明したものの、一方的な中国批判でもなく配慮も見え隠れ。ある程度バランスを意識した演説内容にドル円も108円台半ばを中心とするバランス状態が継続。トレンド的にも円安の勢いは既に後退し、しかし円高傾斜にもならず、バランス状態に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/24終値とチャート
25日の国内金価格は+40円、0.71%の続伸。10月に2度つけた5674円の高値を大きく上回り、1週間ぶりに近年最高値を更新。短期的にはダブルトップを形成しての反落、中期的には9月以降の三角保ち合い下放れなどへの警戒感を振り切っての上方ブレイク。サイクル的には実質調整局面が続いた流れも好転へと向かい始めた様子も。FOMC前で不安定な展開も予想されるものの、短期的には5750円近辺を上値目標として一段高への可能性も。下方向への節目5650円を割り込んだ場合には大幅調整へも。
週間ベースでは+34円、0.6%の続伸。
プラチナ価格は+17円、0.49%の続伸で9月24日(3544)以来、1カ月ぶりの高値水準。中長期的な節目3400円ラインを超えて一段高となり、今年高値3584円と9月24日の3544円を結ぶ延長線上で抵抗線を形成する可能性もあった水準を上抜けつつあり、中期レンジの上方シフト本格化に向けての再トライの可能性も。ただし短期的には買われ過ぎ警戒水準にも達し、調整余地も。
週間では+124円、3.56%、7週ぶりの大幅高で反発。
※参考:金プラチナ国内価格10/25とチャート
2019年10月25日(金)時点の相場
国内金:5,708 円 10/25(金) ▲40(0.71%)
国内プラチナ:3,512 円 10/25(金) ▲17(0.49%)
NY金:1,504.7 ドル 10/24(木) ▲9.0(0.60%)
NYプラチナ:925.1 ドル 10/24(木) ▲2.7(0.29%)
ドル円:108.61 円 10/24(木) ▼0.07(0.06%)
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