更新日:2020年2月20日(木)
NY金とドル円との逆相関関係は今年に入って崩れ、90日相関係数では1月末からプラス転換、正の相関関係となり、19日時点では0.44138。数値としては2012年8月以来、7年半ぶりの高水準。
連動性の強い相関関係という状態ではなく、強いて言えば無関係の状態ながら、最近では同じ方向に動く場面も多々見られ、足下では金高ドル高円安の流れが急速に進行。この影響で国内金価格の急騰も続いています。
NY金とドル円との関係性は、短期的には逆相関が強まったり弱まったりしながらも、概ね逆相関の範囲内での振幅が続き(相関係数ではほぼマイナス圏推移)、相関係数-0.9台の強めの逆相関となる時期もしばしば見られます。
中長期的な方向感も概ね逆方向となりやすく、ドル円だけを逆目盛りにして過去8年間の推移を比較すると、ほぼ一致してきました。
ところが昨年夏以降、NY金とドル円の推移は逆行し始めています。厳密には同じ方向(実際には逆方向)へと推移する場面でもその変動幅には大きな開きもあり、それぞれ独自ルートを進み始める様相にもなってきました。NY金とドル円との逆相関関係は解消状態となっています。
足下では、安全資産として買われる金とドルと円の関係性、バランスが崩れ始めてきた可能性もありそうです。安全資産としての金の価値は従来から変わらず、しかしドルと円との関係性では、円のほうがドルよりも安全資産として買われやすかった状態から、ドルの価値が高まり(と見る人が増え)、より拮抗状態となってきたようです。
安全資産としての円の価値が低下した為、今後はリスク回避局面では円高ドル安ではなく、ドル高円安へ、と考えるのは時期尚早かもしれませんが、少しずつ、従来とは異なる方向へとトレンドが変化しつつある可能性もあることを注視して行くべき時期に来ているのかもしれません。
19日のNY金相場は+8.2ドル、0.51%高となって5日続伸。5日続伸は年末年始の1月7日まで(10日続伸)以来、1ヵ月半ぶり。短期的には一方的なトレンドが形成されたのが年初以来、ということを象徴。水準としては2013年3月21日(1613.8)以来、6年11ヵ月ぶり高値。中国での新型ウイルス感染者増加ペース鈍化が伝えられても、今後の世界経済への影響懸念などは続き、米1月PPIが前年比+2.1%へと急騰して8カ月ぶり高水準となり、住宅着工件数も高水準での推移が続き、株高の流れが続いてもNY金は前日到達した1600ドルの大台を一度も割れることなく堅調推移。欧州時間には1610ドル半ばを試し、NY引け後には一時1616ドル付近まで上昇し、短期上値目標1620ドルまであとわずかのところまで接近。一服感も生じやすい状況ながら、水準が切り替わったことで新たな展開にも。
NYプラチナは+10.6ドル、1.07%の大幅続伸。1月24日(1010.6)以来、4週間ぶり高値となって大台を回復。時間外には早々に1000ドル超え、一時的には大台割れを試しながらも欧州時間にはパラジウムが2700ドル超へと急騰したことにも触発されて一時1021ドルまで急上昇。短期上値目標1020ドル台到達による一服感とパラジウムが2600ドル台へと反落したことにも連れてNY市場にかけては1010ドル割れへと反落。やや不安定感がつきまとうプラチナも1000ドルの大台を維持できれば再度1020ドル台へと水準を切り上げる展開にも。
ドル円は1.46円、1.33%の大幅ドル高円安となって3日続伸。上昇幅としては2018年3月28日(+1.48円、1.4%)以来、1年11ヵ月ぶりの急騰。水準としては昨年5月2日(111.50)以来、9ヵ月半ぶりの高値。東京時間に節目の110円を突破し、欧州時間には今年高値となっていた110円20銭台を上抜け、上値を押さえてきた重要水準での踏み上げによって大きく流れが変わることに。新型肺炎リスクについては感染者数の伸び鈍化に伴う安心感と警戒感が交錯する状態にもなり、安全資産としての買いはドルに集中。ドルインデックスは4カ月ぶり高値へとドル全面高の流れとなるなかで株高とともに円安の流れも進行。小幅保ち合い上方ブレイク後のドル円はボラティリティを拡大し、短期上値目標111円付近を通過して一時111円60銭まで上昇。やや行き過ぎの感もあり、今朝の東京市場では111円10銭台まで反落。長期三角保ち合いを上抜けつつあり、中長期トレンドが円安方向へと傾斜し始める可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/19終値とチャート
20日の国内金価格は+104円、1.69%高となって6日続伸。9営業日連続6000円超、5営業日連続今年高値更新で40年ぶり高値圏での一段高。NY金の一段高は想定の範囲内も、ドル円は想定を大きく裏切る大幅急騰となり、6200円程度までと見込んでいた行き過ぎ水準を更に大きくオーバー。6日続伸は昨年6月以来、8カ月ぶり。上昇幅としては年初に初めて6000円を超えた1月8日(+130円、2.19%)以来、今年2番めの大幅高。目先はかなりの高確率で調整局面となりそうな状況ながら、年初の急騰時とは状況は異なり、少しずつ流れも変わり、水準も切り上げてきた経緯もあり、一方的な大幅反落も想定し難いところ。12月安値からの上げ幅の23.6%戻し(6098)、6100円程度までの調整は想定範囲。
プラチナ価格は+89円、2.35%の大幅高で3日続伸。2日連続2%超の急騰で1月23日(3887)以来、4週間ぶりの高値水準。NYプラチナは想定どおり1020ドルまで上昇も一時的にとどまり1000ドル台前半へと反落も、代わりに想定外の円安に押し上げられて3900円付近に到達。やや不安定な動きも警戒される状況も、3800円台維持の可否が当面のポイントにも。※参考:金プラチナ国内価格2/20とチャート
2020年2月20日(木)時点の相場
国内金:6,263 円 2/20(木) ▲104(1.69%)
国内プラチナ:3,880 円 2/20(木) ▲89(2.35%)
NY金:1,611.8 ドル 2/19(水) ▲8.2(0.51%)
NYプラチナ:1,004.5 ドル 2/19(水) ▲10.6(1.07%)
ドル円:111.35 円 2/19(水) ▲1.46(1.33%)
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