更新日:2020年4月21日(火)
コロナショックによって世界中がこれまで体験したことのないような事態に陥り、巣ごもり生活を余儀なくされ、政治も経済も、市民生活も非常事態が続きます。マーケットも波乱の展開が続き、過去最安値・高値、何十年ぶりの水準、過去最大の上昇・下落、見たこともない数値の経済指標などのオンパレードにも、多少見慣れてはきましたが、今度はまさかの原油のマイナス価格。衝撃度合いとしては、マイナス金利や失業保険申請件数600万件超などを超え、意表を突く、もはや事件。
減産合意ではどうにもならないほどに落ち込んだ原油需要によって5月限のNY原油先物価格はこの日、前日比-55.9ドルの暴落となって-37.63ドル。一時的には-40.32ドルの安値を記録しました。経済活動停止状態の影響で、あちこちに歪みが生じ、予想外の事態を招き始めているようです。米国を含む世界の多数の地域でのリセッションは既にスタートしているものと思われます。それを示す米国の経済指標も出てきました。
シカゴ連銀がこの日発表した、3月のシカゴ連銀全米活動指数は総合指数が-4.19。過去平均がゼロで示されるこの指標は、プラス圏なら過去平均以上の成長、マイナス圏なら平均以下の成長。-4.19は2009年1月(-4.71)以来、11年2ヵ月ぶり低水準。その前月、2008年12月(-4.29)、過去最低となった1974年12月(-5.17)などに続き、調査開始の1967年以降で4番めの低水準。
なお、2月の+0.06からは-4.25ポイントとなり、これまでの過去最大1979年4月(前月比-3.47)を大幅に超えて過去最大の急落。
4つの構成指数のうち、雇用・労働時間が-1.23となり、2009年4月(-1.35)以来、10年11ヵ月ぶりの低水準。
生産・所得指数は-2.72となり、リーマンショック後の2009年12月(-1.92)を大幅に下回り、これまでの過去最低1974年12月(-2.30)も下回って過去最低を更新。
また、総合指数の3ヵ月移動平均は-1.47となり、2009年6月(-2.08)以来10年9ヵ月ぶりの低水準。6ヵ月移動平均では-0.83で2009年10月(-0.85)以来10年5ヵ月ぶりの低水準。いずれも14ヵ月連続のマイナス圏。
そして、3ヵ月移動平均では-0.7を下回るとリセッション入りの可能性を示唆するリセッション警戒水準。6カ月移動平均の-0.5割れも同様にリセッション・サイン。
同時に2つの見方でリセッション入りサインが点灯。
今回の指標がなくても既にリセッション入りは確実とも見られますが、今後はこういったリセッションを示唆するような指標が、続出することになりそうです。
20日のNY金相場は+12.4ドル、0.73%高で4日ぶりの反発。軟調推移でスタートした週明け時間外は1680ドル半ばの安値を何度か試し、上値は1700ドルがレジスタンスラインに切り替わり始めた様子も。しかし、それ以上に軟調推移がとまらないNY原油が下げ幅を拡大、NY市場にかけては衝撃のマイナス圏入り。世界経済停滞に伴う原油需要急減による暴落は米株安にも波及し、安全資産の金買いを誘発する形にもなり、NY朝に1700ドルの節目を突破すると一時1710ドル台後半まで上昇。しかし、上値もやや重く1710ドル台を維持できず。7年半ぶり高値からの調整局面は1690ドル台をサポートにいったんは下げ止まった状態に。目先はこの下限を維持して保ち合い推移へと移行できればいずれ上値再トライの展開にも。維持できないようだと調整再開で1670ドル前後までが下値目安に。
NYプラチナは+10.7ドル、1.36%高となって4日ぶりの反発。時間外には780ドル台での小幅保ち合いから欧州時間には反発の流れとなって800ドルの大台回復トライへ。NY市場でも何度か大台回復を試すもこれを維持できず、NY午後には原油暴落と米株急落の展開に連れ安となって790ドル割れへ。日足レベルでは3月安値から4月高値までの23.6%戻し(773.0)手前で下げ止まった形となり、反発局面再開へと向かう流れのようにも。しかし、失速感とのせめぎ合いにもなり、800ドルの大台ラインがレジスタンス化の兆しも。780ドル台のサポートを維持できなくなれば760ドル近辺までが下値目安に。
ドル円は+10銭余り、0.12%のドル高円安で小反発。原油価格の暴落と株安のリスク回避の流れにドル高と円高の綱引き状態となって徐々に振れ幅を縮小。東京午後の時間帯に107円90銭台まで上昇したのが高値となり、下値は107円60銭前後を何度も試しながら上値を徐々に切り下げる展開となり、今朝の東京市場でも107円60銭近辺に。107円から108円までの小幅レンジの保ち合い状態が続き、レンジ半ばへと下限を切り上げようかという動きにも。目先、上限ブレイクなら110円台後半までが上値目標に。逆に107円割れなら104円台後半までが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/20終値とチャート
21日の国内金価格は+45円、0.71%高で3日ぶりの反発。6300円台前半は今年高値圏でのサポート、抵抗となりやすい節目の水準となってきた様子も。為替のボラティリテイが低下し、NY金も急騰・急反落から若干落ち着きを取り戻しそうな気配もあり、国内価格の高止まりをサポートしそうな状況にも。目先、6310円台の節目を割り込むようなら一段安の展開となって6200円前後までが下値目安に。
プラチナ価格は-4円、0.14%の小幅続落。短期的にはゆるやかな上昇トレンドをなんとか維持する状態も原油暴落の余波を受けて失速気味に。今朝の東京時間には原油の買い戻しも急速に進行し、プラス圏回復もNYプラチナは軟調な展開が続いて下方向への節目との攻防。一段安となれば国内価格も上昇トレンド崩れとなって21日移動平均線(2837)辺りまでが下値目安にも。切り返して直近高値2985円超へと向かえば3030円辺りまでが上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格4/21とチャート
2020年4月21日(火)時点の相場
国内金:6,362 円 4/21(火) ▲45(0.71%)
国内プラチナ:2,931 円 4/21(火) ▼4(0.14%)
NY金:1,711.2 ドル 4/20(月) ▲12.4(0.73%)
NYプラチナ:796.0 ドル 4/20(月) ▲10.7(1.36%)
ドル円:107.66 円 4/20(月) ▲0.13(0.12%)
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