更新日:2020年5月9日(土)
2020年4月の米雇用統計は、COVID-19対策に伴う移動制限、外出規制、営業規制など、経済活動が実質停止状態となったことにより、労働情勢が過去最悪、戦後最悪となったことを示す結果となりました。
★非農業部門雇用者数:前月比-2050.0万人=過去最悪
3月の-87.0万人から急増、2009年3月の-80.0万人、1949年10月の-83.8万人、これまでの過去最悪だった1945年9月の-195.9万人の10倍以上。統計開始の1939年以降で最悪。
5月以降は複数の州で経済活動が順次再開となっていることから、減少幅は縮小傾向となることが予想され、過去にない急激な悪化となったことから、過去にない急激な回復がある一定程度までは進行することも予想されます。しかし、完全回復に向けては過去に例のない期間を要することになるか、もしくは完全回復とはならない可能性もありそうです。
★失業率:14.7%=過去最悪
3月の4.4%から急激に悪化。およそ50年ぶり低水準となる3.5%を複数回記録した最後が2020年2月。そこからわずか2ヵ月でこれまでの過去最悪だった1982年11-12月の10.8%を大幅に上回り、統計開始の1948年以降で最悪。
★U6失業率:22.8%=過去最悪
3月の8.7%から急激に悪化。2019年12月の6.7%が過去最低。2020年1月から徐々に悪化の兆しはあり。統計開始の1994年以降で最悪。
★U6失業率とU3(通常の)失業率との差:8.1%=過去最大
2019年7月と12月には18年ぶり低水準となる3.2%まで縮小(※過去最低は3.0%)、これが労働需給ひっ迫のピークとなり、U6-U3はボトムアウト、労働情勢悪化とともにU6-U3は拡大傾向となり、これまでの過去最大は2010年9月と2011年9月の7.4%。今回はボトムアウトからわずか数ヵ月で過去最大を更新。
今回は失業率の悪化ピークはまだ、との見方が優勢でもあり、通常の(U3)失業率で20%程度まで、との予想も。
感染拡大の終息が前提にはなるものの、年後半には失業率ピークアウトも予想されるものの、回復基調は雇用者数の回復基調と同様。
★労働参加率:60.2%=1973年1月(60.0)以来、47年3ヵ月ぶり低水準
2015年9月にリーマン・ショック後の最低となる62.4まで低下、2020年1-2月には63.4まで回復、3月の62.7から急落。※過去最低は1954年12月の58.1%
★長期失業者の割合:4.1%=1953年12月(4.0)以来66年4ヵ月ぶり低水準
3月の15.9%(2006年10月の15.9%以来13年5ヵ月ぶり低水準)からさらに急低下。短期失業者の割合が急増したことにより、相対的に急低下したものと推測されます。
★平均時給:前年比+7.9%=過去最大の上昇率
最近のピーク、2019年2月の+3.5%から2020年2月には3.0%まで低下。もともと賃金上昇率の低い層の労働者が急激に大量に失業したことによる異常ケースと推測されます。
米労働市場は過去最悪、戦後最悪へと、壊れてしまった状態となり、一部指標も壊れてしまった状態です。
8日のNY金相場は-11.9ドル、0.69%の反落。米雇用統計への警戒感もあり、時間外は1720ドル台での小康状態。欧州時間には一時1735ドルまで上昇し、前日高値をわずかに上回ったところで失速、NY朝の雇用統計では雇用者数も失業率も過去最悪の結果となったものの、市場予想ほどは悪化していなかったことを好感する流れとなって上値トライへの流れは巻き戻し。前日ようやく上抜けてサポートラインに切り替わるかと思われた20日移動平均線(1721.3)を下抜けると1710ドル付近まで急落。NY午前にはやや乱高下となって一度は1730ドルまで反発も、午後には軟調推移となってNY引け後には1710ドル割れ。結果的に今年最高値を起点とする右肩下がりの抵抗線と20日移動平均線に上値を押さえられる形となって保ち合い回帰の様相に。1680ドル台から1730ドルまでを短期主要レンジに1700ドルが目先のサポート候補にも。再度レンジ上抜けできれば1750ドル付近までが上値目安に、下抜けの場合には大幅調整への流れがスタート、1630ドル前後までが下値目安にも。
週間ベースでは+13.0ドル、0.76%の反発。
NYプラチナは+7.2ドル、0.92%の続伸。780ドル付近での小康状態でスタートした時間外は徐々に水準を切り上げる展開に、前日高値785ドルを早々に上抜けると東京午後には780ドル台後半での保ち合い、欧州時間には790ドルをはさんでの揉み合い。NY朝の雇用統計後の反応は金に連れ安も下値は780ドル半ばまでと限定的となり、その後の反発局面では一時800ドル超え、午後にかけての反落も790ドル付近までで下げ渋り。結果的に抵抗線となりつつあった20日移動平均線(784.7)も再び上抜けて流れは上方向へ、4月末高値830ドル近辺が当面の上値目標に。
週間ベースでは+15.4ドル、1.99%の続伸。
ドル円は40銭弱のドル高円安となって続伸。前日終値106円30銭をはさんでの小幅揉み合い推移の状態から、NY朝には雇用統計の結果を受けて106円70銭台まで、40銭ほどの急騰。織り込み済の「過去最悪」よりは少しだけマシだったことを好感した格好で株高・円安の流れが優勢に。結果的に2日連続で下値も上値も少しづつ切り上げる形となり、円高優勢局面は終息の兆しも。短期的には106円から107円までの小幅レンジ半ばを回復した状態、目先しばらくはレンジ内推移継続も見込まれ、上限超えなら108円台トライへ、下限割れなら105円近辺までの一段安も。
週間ベースでは-22銭、0.21%の小幅続落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/8終値とチャート
2020年5月9日(土)時点の相場
国内金:6,401 円 5/8(金) ▲101(1.60%)
国内プラチナ:2,879 円 5/8(金) ▲48(1.70%)
NY金:1,713.9 ドル 5/8(金) ▼11.9(0.69%)
NYプラチナ:789.3 ドル 5/8(金) ▲7.2(0.92%)
ドル円:106.68 円 5/8(金) ▲0.38(0.36%)
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