更新日:2020年6月6日(土)
1939年には約3千万人だった米国内の非農業部門雇用者数(NFP)は、1980年代に1億人を超え、2000年には1億3千万人超、そして2020年2月には1億5250万人(15246.3万人)に達していました。
それから2ヵ月後の4月、米国内の雇用者数(NFP)は1億3040万人(13040.3万人)。わずか2ヵ月で2206万人もの雇用が失われました。
新型コロナウイルスの感染拡大対応として経済活動を停止したことへの代償は大きく、5月にはさらに700万人、あるいは800万人程度の雇用が追加で失われただろう、との予想が大半でした。
しかし、米5月雇用統計速報値での非農業部門雇用者数(NFP)は前月比マイナスどころか、まさかの+250.9万人。
誰も予想し得なかった、過去最大の増加となって5月の全米の総雇用者数は1億3290万人(13291.2万人)まで急回復しました。
10年前、リーマンショックから世界金融危機となった時期、2008年1月の総NFPは13840.3万人。そこから減少し始め、大底となった2010年2月が12969.8万人。
この時は2年1ヵ月間で870.5万人の雇用が失われました。
そして、元のピーク水準まで回復したのは2014年5月(13851.1万人)。
金融危機からの回復には、4年3ヵ月を要しました。
今回、コロナショックで失われた2200万の雇用を回復するためには、
<1>5月の増加数(250万人)ペースで回復基調が続いた場合、250万×9ヵ月=2250万。最速では2021年1月にも前回ピーク水準を回復する可能性はありそうです。
<2>10年前の金融危機後の回復期と同様のペースで回復が続いた場合、4月が大底と仮定すれば、4年3ヵ月後は、2024年7月。
当面の間は、戻るべき雇用が戻る場所がない、という状況も想定されることから、<1>は難しそうです。順調に回復が続いたとしても、2021年半ばから後半、というところでしょうか。
なお、まだ4月が大底となったと確定した訳でもなく、5月の数値も大幅修正される可能性も残ります。
それでも、近年稀に見るサプライズとも言える、全くの想定外のポジティブな結果にリスク資産は一段高、安全資産は急落の展開となりました。
NYダウは2月24日以来、ナスダックは2月19日以来、ドイツDAXも2月24日以来、3ヵ月半ぶりの高値、英FTSEも3月5日以来の高値など、主要株価指数は軒並みコロナ前の水準を回復。
為替市場でのリスク資産も、豪ドルは対ドルでコロナ前どころか1月2日以来5ヵ月ぶりの高値、対円では年末以来の高値。過去最安値を更新していた南アランドも対ドル、対円ともにコロナ前の3月半ば以来の水準を回復。
そしてVIX指数も2月21日(17.08)以来、3ヵ月半ぶりの低水準となってコロナ前の水準。2月末に20ポイント台へと跳ね上がって以来、最低水準まで低下してきました。
リスク資産は米国の労働市場に先行して、コロナ前の水準に戻してきた様子です。
5日のNY金相場は-44.4ドル、2.57%の大幅反落。コロナショックでの急落からの戻り局面となった3月31日(-46.6ドル、2.84%)以来、2ヵ月ぶりで今年6番目の下げ幅。水準としても4月3日(1645.7)以来、2ヵ月ぶりの安値水準。雇用統計への警戒感もあり、時間外は軟調推移となって1720ドルからNY朝には1700ドル台へ。速報とは言え、米労働市場が予想外の回復基調を示したことでリスクオンの流れが急速に強まった週末のNY市場。ポジティブ・サプライズの結果を受けて主要レンジ下限となる1700ドルの大台ラインを割れると急落の展開。NY午前のうちに一時1670ドル付近まで下落、短期下値目安1660ドル近辺まであと少しのところで切り返すと午後には1680ドル台へと自律反発の兆しも。短期的にはもう少しの下げ余地も残す状況で、反発方向には20日移動平均線(1726.7)から1730ドルまでが当面の抵抗水準に。
週間ベースでは-68.7ドル、3.92%の大幅反落。3月9日からの週(-155.7ドル、9.31%)以来、3ヵ月ぶりの大幅下落。
NYプラチナは-34.6ドル、4%の大幅反落。時間外は870ドルまで小幅に反発後、金に追随する展開となって850ドルまで軟調推移。NY朝の雇用統計発表後には急落の展開となって20日移動平均線(848.8)にサポートされることもなく、これを突き抜けて820ドル割れへと一段安。短期下値目安820ドル近辺までしっかり下げたこともあり、NY午後にかけては830ドル台へと自律反発。
週間ベースでは-44.2ドル、5.05%の続落。
ドル円は40銭余り、0.39%のドル高円安で4日続伸。3月25日(111.15)以来、2ヵ月半ぶりの高値水準に。リスク選好のドル安・円安の流れも雇用統計発表直後には米長期金利上昇とともにドル高の流れが急速に強まり、前日終値付近109円10銭台から109円60銭台へと50銭ほどの急騰。その後はもみ合いとなって一時109円80銭台まで上昇も、109円60銭近辺に収束。水準的には今年高値から安値までの76.4%戻し(109.61)付近に位置し、過熱感も高まる状態にもなり、いったんは落ち着きやすい状況にも。
週間では+177銭、1.64%の大幅高で4週続伸。3月16日からの週(+289銭、2.68%)以来、2ヵ月半ぶりの急騰。4週続伸は昨年2月以来、1年4ヵ月ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/5終値とチャート
2020年6月6日(土)時点の相場
国内金:6,580 円 6/5(金) ▲74(1.14%)
国内プラチナ:3,219 円 6/5(金) ▲43(1.35%)
NY金:1,683.0 ドル 6/5(金) ▼44.4(2.57%)
NYプラチナ:830.4 ドル 6/5(金) ▼34.6(4.00%)
ドル円:109.59 円 6/5(金) ▲0.43(0.39%)
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