更新日:2020年7月15日(水)
米労働省が発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、前月比では+0.6%となって2012年8月以来、7年10ヵ月ぶりの伸び率となり、一時的にはドル高の反応も見られました。
しかし、前年同月比の伸びは限定的となり、低インフレ状態が続きます。
6月のCPIは前年同月比+0.65%となり、4年8ヵ月ぶり低水準となった5月の前年比+0.12%からは大幅上昇も、4月に急落して前年比+0.33%となって以降、3ヵ月連続の1%割れにとどまります。
食品とエネルギー関連を除くコアCPIは前年比+1.19%。小数点以下2桁で比較すると5月の+1.22%から小幅に低下し、2月の前年比+2.36%をピークに4ヵ月続落となって2011年3月(1.19)以来、9年3ヵ月ぶりの低水準。下げ止まりも確認できない状態となっています。
カテゴリー別ではエネルギー価格が5月の前年比-18.9%で底打ちし、6月は-12.6%へと反発の兆しとなったのに対し、ウェイト6割を占め、インフレの牽引役となってきたエネルギー関連を除くサービス価格は2月までの前年比+3.1%から4月に+2.2%へと急低下、5月+2.0%、6月は+1.9%と遂に2%割れ。
ウェイト2割を占め、昨年夏には前年比+0.8%まで上昇していた、食品とエネルギーを除く商品価格は今年3月以降はマイナス圏入り、4月には前年比-0.9%へと急低下、5月の-1.0%を経て6月は-1.1%。デフレ状態で下げ止まりも確認できない状況が続きます。
個別品目では、航空運賃やガソリン、自動車保険、女性用アパレルなどが3-4月に急低下し、6月にかけてもデフレ状態での低迷が続く他、中古車価格も5月の前年比-0.4%から6月には-2.8%へと急低下。自動車産業の厳しさが中古車市場にも波及してきたようです。
14日のNY金相場は-0.7ドル、0.04%の小幅反落。流れとしては1800ドルの大台を割れて調整局面がもう少し進行する展開も予想され、時間外にはそのとおりの展開となって1800ドルの大台ラインでの攻防から株高の流れにも押される形で欧州時間にかけて1790ドル付近まで下押し。しかし、この水準での押し目買い圧力は想定以上、NY朝にかけて急速に買い戻されると1810ドル超え。ブレイナードFRB理事がこの日、米経済の見通しの弱さから追加緩和が必要と発言したことも株高と金の反発をサポート。NY引け後には米モデルナの新型コロナワクチンの抗体産出報道を好感して米株先物が一段高となる一方で、トランプ大統領が香港への優遇措置を撤廃する大統領令と、香港民主派弾圧の責任を負う中国当局者に制裁を科す法律にも署名したことも伝えられ、米中対立激化への懸念も。強弱材料混在で高値保ち合い継続のNY金も再度大台割れへと向かえば1770ドル台辺りまでの調整拡大余地も、1820ドル超へと抜け出せば1840ドル付近まで高値更新トライの可能性も。
NYプラチナは-26.2ドル、3.04%の大幅反落で7月2日(831.6)以来の安値。前日NY引け後の急反落の流れを引き継いで、金の軟調推移にも連れて一段安。NY朝には840ドル台から820ドル台半ばまで20ドル程の急落となり、その後は金の反発局面に追随、引け後には840ドルを回復も終値ベースでは20日移動平均線(838.1)も下回り、下値トライへの流れが進行し始めた様子も。840ドルを維持できなくなれば下値トライ再開で810ドル前後までの下値余地も。切り返す展開となって860ドル台に切り下げたレジスタンスを上抜けることができれば上値トライ再開へ、6月高値900ドル台が当面の目標に。
ドル円は前日からほぼ変わらず107円20銭台での横ばい推移。東京時間の107円10銭台から欧州時間の107円40銭台まで、変動値幅31銭は今年の平均82銭の半分以下。株高基調でリスク選好優勢の流れにドル安・円安の綱引き状態。20日移動平均線(107.23)とのもみ合い状態で方向感も中立。106円90銭から108円までのレンジを抜け出した方向へ、大きく動き出す可能性を抱えながらの保ち合い推移の展開に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/14終値とチャート
15日の国内金価格は+27円、0.4%の続伸。9日以来、4日ぶりに過去最高値を更新。調整予想に反しての高値保ち合い上抜けとなり、目先は6850円前後まで、さらに上値を伸ばす可能性も。90日移動平均(6402)は6400円台に到達。6300円到達からの所要日数は17営業日で6300円到達時と同じ、5000円を超えてから100円上昇するのに要した平均所要日数17.1日と同水準。昨年7月19日に90日移動平均が5000円に到達してから丸1年かけて1400円上昇してきた90日移動平均は、今もなお平均速度で上昇中。
プラチナ価格は-1円、0.03%の小幅反落。前日からほぼ変わらず、3100円から3180円台までのレンジ半ばで小康状態に。90日移動平均は現時点で2992円、17営業日前の6月22日の3093円からはちょうど100円の下落。国内金価格の90日移動平均の上昇ペースと同じスピードで、プラチナ価格の90日移動平均は下落。この急降下は今年3月以降4ヵ月続き、コロナショックの影響が今もなお残ることを示す現象。
※参考:金プラチナ国内価格7/15とチャート
2020年7月15日(水)時点の相場
国内金:6,816 円 7/15(水) ▲27(0.40%)
国内プラチナ:3,145 円 7/15(水) ▼1(0.03%)
NY金:1,813.4 ドル 7/14(火) ▼0.7(0.04%)
NYプラチナ:836.8 ドル 7/14(火) ▼26.2(3.04%)
ドル円:107.27 円 7/14(火) ▼0.02(0.02%)
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