更新日:2020年9月23日(水)
欧州委員会が発表したユーロ圏の9月消費者信頼感指数は速報値で-13.9。2ヵ月続伸で3月(-11.6)以来、半年ぶりの高水準。コロナ前の2月(-6.6)から4月(-22.0)までの下落幅に対する回復率では52.6%。ようやく半分回復した状態となり、回復ペースは鈍化しながらも着実に上向きにはなっています。
IFO経済研究所はこの日、今年のドイツの経済成長率を従来の-6.7%から-5.2%へと上方修正しています。先日のOECDの見通しでもドイツは-6.6%から-5.4%へと引き上げられ、ユーロ圏でも-9.1%から-7.9%へと上方修正されていました。
コロナ後の回復基調が想定を上回る状況は米国などでも同様でOECD見通しでは-7.3%から-3.8%へ、むしろユーロ圏やドイツをしのぐ大幅改定となっていました。
しかし、消費センチメントとしては、米国の回復基調はユーロ圏に対して大きく出遅れ。コンファレンスボードの消費者信頼感指数では4月に急落し、6月にかけて反発も8月時点では6年ぶり低水準へと反落。パウエルFRB議長が「完全回復へは長い道のり」、「先行きは極めて不透明」と表現する状況の象徴のような指標となっています。
ただし「回復見通しは不透明」という意味ではユーロ圏も同様で、ラガルドECB総裁も同じ表現を用い、必要に応じて金融政策を再度強化する意向も表明しています。
新型コロナウイルスの二次感染の拡大状況も同様で、1日あたりの新規感染確認数は米国が7月には一時8万件近くまで達していた状態からピークアウトの兆しとなって9月には5万件程度まで縮小。これに対してユーロ圏では、スペインが4月ピーク1万件を大幅に上回る3万件まで急増し、フランスも3万件まで急増中。桁は違えどベルギーやオランダでも2千件超へと急増中。ここに来てにわかにユーロ圏のほうが警戒感は高まりつつあるようです。
回復基調に米欧で格差が見られた消費センチメントにおいても、今後は米国の再反発の可能性とともに、ユーロ圏での反落警戒感が高まりそうです。
22日のNY金相場は-3.0ドル、0.15%の小幅続落。前日NY引け後間もなく1925ドルまで上昇したのが戻り高値となって軟調推移の展開。欧米株は反発に転じたものの対ユーロなどを主導にドル高の流れが続いたことも金の重石に。時間外では一時的ながらも再度1900ドルの大台割れを試す場面もあり、この大台ラインで下値を固めきれていない状況を示唆。それでもNY朝にかけては1920ドル台へと再反発、しかし米9月リッチモンド連銀製造業指数が予想を上回る好結果となり、8月中古住宅販売件数は2006年以来の高水準。また、シカゴ連銀エバンス総裁の「インフレ平均2%目標達成前の利上げも可能」発言などもドル買いをサポートし、再度1900ドル付近へと急反落。大台を維持して下げ渋る状態が続けば徐々にこの水準での足場固めにも、維持できなくなれば下値目安1870ドル近辺再トライへ。
NYプラチナは-18.7ドル、2.13%の続落。7月17日(849.6)以来、2ヵ月ぶりの安値。金と同様に時間外での戻り高値890ドル近辺を何度もトライして上値を押さえられるとNY朝には戻り売りに屈した形に。NY午後には860ドルを割リ込みながらも前日安値を下回らず、引け後には870ドル台を回復する場面も。下値目安880ドル前後を若干オーバーランしたところからの戻りを試す展開に、2ヵ月ぶりに割り込んだ水平状態の200日移動平均線(881.6)回復が目先のポイントにも。
ドル円は30銭程のドル高円安、0.28%の続伸。104円台半ばでの揉み合い推移の展開から、欧州時間の104円40銭までの押し目を起点にNY時間にかけてはドル高の流れで買い戻し、一時105円を回復。米指標の好結果やシカゴ連銀エバンズ総裁発言などに加え、パウエルFRB議長とムニューシン財務長官が議会証言で異口同音に追加支援の必要性を訴えたこともドル高をサポートした様子。103円台半ばから後半を目指した流れは前日安値104円ちょうどまでで力尽きた格好となり、104円50銭が当面の下値サポートとなる可能性。再度この水準を割り込むようならあらためて103円台半ば付近までを試しに行く可能性も。今朝の東京時間も105円台での推移となり、主要レンジを105円台へと引き上げようかという動きにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/22終値とチャート
23日の国内金価格は-144円、2%安となって4営業日続落。7月22日(6908)以来、2ヵ月ぶりの安値。NY金の節目割れに伴う大幅調整と円高同時進行により、シルバーウィークでなければ7000円の大台割れも想定された局面、ドル円の反発も下げ幅縮小に貢献。6800円台前半から7200円手前までは7月に一本調子で水準を切り上げてきた、真空地帯とも言える水準。この水準に足を踏み入れてしまったことによる一段安警戒感も。NY金が再度大台を割れて下値目安へと水準を切り下げるようなら、国内金価格の下値目安は6900円前後まで。
プラチナ価格は-200円、5.78%の大幅安となって3営業日続落。3月17日(-328円、11.46%)以来、半年ぶりで今年4番めの急落。水準としては7月21日(3197)以来、2ヵ月ぶりの安値。2ヵ月ぶりに200日移動平均線(3297)を、3ヵ月ぶりに90日移動平均線(3270)をまとめて下抜け、夏場の高値保ち合いから下放れ。短期的には3280円程度までが下値目安となって到達済みながら、金の一段安に追随する展開となれば、水準的には少なくとも3200円近辺が意識されやすいところ。
※参考:金プラチナ国内価格9/23とチャート
2020年9月23日(水)時点の相場
国内金:7,042 円 9/23(水) ▼144(2.00%)
国内プラチナ:3,261 円 9/23(水) ▼200(5.78%)
NY金:1,907.6 ドル 9/22(火) ▼3.0(0.16%)
NYプラチナ:857.4 ドル 9/22(火) ▼18.7(2.13%)
ドル円:105.00 円 9/22(火) ▲0.29(0.28%)
Copyright(C) Let's GOLD