更新日:2021年8月3日(火)
ワールド・ゴールド・カウンシルが先日発表したレポートによると、2021年第2四半期の世界の金需要は955.1トン。前期比+77.0トン(8.8%)で2四半期連続の増加で1年ぶり高水準。前年比では-5.4トン(0.6%)と小幅減。需要を支えたのは投資需要と中央銀行。
<目的別需要>
■宝飾品:390.7トン※3四半期ぶり低水準、前期比-92.3トン(-19.1%)、前年比+146.2トン(+59.8%)シェア40.9%※3四半期ぶり低水準
■産業用:80.0トン※3四半期ぶり低水準、前期比-1.0トン(-1.3%)、前年比+11.9トン(+17.5%)、シェア8.4%※4四半期ぶり低水準
■投資:284.5トン※3四半期ぶり高水準、前期比+103.8トン(+57.5%)、前年比-299.7トン(-51.3%)、シェア29.8%※3四半期ぶり高水準
■中央銀行:199.9トン※3四半期連続買い越しで2年ぶり高水準、前期比+66.6トン(+49.9%)、前年比+136.1トン(+213.6%)、シェア20.9%※11四半期ぶり高水準
※参考<中銀保有量・四半期増加ランキング>
1:タイ:+90.20トン
2:日本:+80.76トン
3:ハンガリー:+62.98トン
4:ブラジル:+53.75トン
5:インド:+17.76トン
6:ウズベキスタン:+10.26トン
7:カンボジア:+4.98トン、以下UAE、ポーランド、モンゴルなど
<投資需要・内訳>
■現物:243.8トン※3四半期ぶり低水準、前期比-106.9トン(-30.5%)、前年比+87.1トン(+55.6%)
■ETF:+40.7トン※3四半期ぶりの買い越し。
<金消費需要>
現物投資需要と宝飾品需要を合わせた金消費需要は634.5トン。前期比-199.2トン(-23.9%)、前年比+233.3トン(+58.1%)で3四半期ぶり低水準。
★1位中国、2位インドは5四半期連続。中国の宝飾品需要は146.9トンで5四半期ぶりに低下。インドは55.1トンで4四半期ぶり低水準。現物投資需要は中国が57.4トンで5四半期ぶりの低下で4四半期ぶり低水準。インドは21.0トンで4四半期ぶり低水準。2カ国合計の金消費需要の世界シェアは32.2%で5四半期ぶり低水準。
<世界の金消費大国>
中国は3四半期ぶり低水準となり、インドは4四半期ぶり低水準。上位10カ国のうち、前期比で増加したのは4ヵ国。米国は4年2四半期ぶり高水準となり、インドの9割弱。前期は4割強、2四半期前は3割強。ドイツも9年3四半期ぶり高水準で1ランクアップ。スイスとロシアも5四半期ぶり高水準へと増加。それ以外、アジア勢は軒並み減少。価格上昇時の順張りと逆張りが鮮明に。
なお、日本は現物投資需要が売り越しとなって宝飾品需要の大半を帳消しとしてわずかに0.24トン。前期の16位から31位に後退。
<需給バランス>
リサイクルは276.6トンとなって前期比+7.7トン(+2.9%)、2四半期ぶりの高水準。鉱山産出分と合わせた総供給量は1171.7トンとなり、2四半期ぶり高水準。
需給バランスは10四半期連続の供給増で+193.7トン、4四半期ぶりの低水準。
2日のNY金相場は+5.0ドル、0.28%の小幅反発。先週末の軟調推移を引きずる形で週明け時間外は軟調推移。1810ドル台後半からの小反発では1820ドルが抵抗水準となってゆるやかに戻り売り、ロンドン時間からNY朝にかけては1810ドルラインでの攻防となり、安値では一時1810ドル割れ。しかし米7月ISM製造業景況指数が市場予想の61.0に対して59.5と半年ぶり低水準にとどまり、米10年債利回りが1.2%割れへと急低下した流れを受けて1820ドル台前半まで反発。ただしゆるやかに低下する200日移動平均線(1823.3)に上値を押さえられ、NY引け後には1820ドル割れ。保ち合い下限を1810ドル台へと切り上げ、1830ドル台までの小幅レンジでの保ち合いを形成して雇用統計待ちへ。下限を割り込めば1780ドル近辺までが下値目安に、上限超えとなれば上値トライ再開で1860ドル台までが短期上値目標に。
NYプラチナは+7.9ドル、0.75%の反発。週末の上ヒゲ陽線と下ヒゲ陰線が示唆した売り買い交錯で方向感が定まらない状態での保ち合い推移。週明け時間外早々に1040ドル台後半から1050ドル台へと水準を切り上げるも、概ね1050ドル台前半での小幅揉み合い推移。NY朝には金に連れて1060ドル台半ばまで上昇も一時的にとどまり、NY午後には1050ドル台前半の保ち合いレンジに回帰。引き続き1040ドル台半ばから1070ドルまでのレンジを維持して保ち合い継続の様相に。1040ドル台の下限を維持できなくなれば下値余地拡大へ、6月安値1020ドル前後までが下値目安となって二番底形成トライへ。上方向には1070ドルの節目を突破できれば反発局面形成へ、1100ドルの大台回復が目標に。
ドル円は40銭のドル安円高、0.36%の反落で6月10日(109.32)以来、2ヵ月ぶりの安値。109円70銭をはさんでの小幅保ち合い推移の展開から、欧州時間には米10年債利回りの低下傾向に連れて109円50銭台へと軟調推移。NY市場ではISM製造業景況指数の下振れをきっかけに米10年債利回りが半年ぶり低水準となる1.17%台まで一段と低下した流れに連れて109円20銭近辺まで急低下。自律反発も限定的となり、節目の109円40銭が抵抗線に切り替わった格好にも。雇用統計前にフライング気味の節目割れ、流れとしては下値トライへと向かいやすく、当面の下値目安は108円前後まで。上方向には109円80銭が当面の上限となり、これを上抜けることができればドル高円安方向への流れ再開となって今年高値111円半ばを目指す流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/2終値とチャート
3日の国内金価格は-36円、0.51%の続落。21日移動平均線(6989)とこれを下回った9日移動平均線(6980)をまとめて下抜け、保ち合いレンジを維持しながらも方向感は軟調方向へと傾斜、ゆるやかに上昇する90日移動平均線(6939)も通過する6940円の節目を割り込むようなら6850円程度までを下値目安に下値トライ局面へ。下限を維持して90日線がサポートとなれば徐々に地合い回復へも。目先は雇用統計待ちの状態から7020円台の上限までのレンジを維持して保ち合い継続か。
プラチナ価格は-22円、0.54%の反落で6月21日(4034)以来、6週間ぶりの安値。7月後半の急落局面以降、反発も限定的となってズルズルと上値を切り下げる一方的な展開となって売られ過ぎ状態が進行中。自律反発も入りやすい局面ながらイベント的にもNYプラチナの上値の重い状況からも軟調局面から抜け出せない状態に。目先は小幅保ち合い下抜けの形となってもう一段の下値トライ余地も、1月の保ち合い半ば、3980円近辺までが下値目安に。4070円超へと切り返すことができれば4160円近辺までを短期上値目標に反発局面形成へも。
※参考:金プラチナ国内価格8/3とチャート
2021年8月3日(火)時点の相場
国内金:6,958 円 8/3(火) ▼36(0.51%)
国内プラチナ:4,048 円 8/3(火) ▼22(0.54%)
NY金:1,822.2 ドル 8/2(月) ▲5.0(0.28%)
NYプラチナ:1,056.3 ドル 8/2(月) ▲7.9(0.75%)
ドル円:109.32 円 8/2(月) ▼0.40(0.36%)
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