更新日:2021年9月9日(木)
米地区連銀経済報告、通称ベージュブックでは米経済成長が「緩やかなペースへと若干下方シフト」したと指摘した7月初旬から8月末。その前半、7月の求人件数は1093.4万件。市場予想を大幅に上回り、2ヵ月連続1千万超かつ前月比+70万件超(+7%超)の大幅増、7ヵ月連続で増加し、5ヵ月連続で過去最高を更新。
これに対して2020年4月には2310.9万人まで急増した失業者数は7月に870.2万人。5月に失業者数を求人件数が上回り、7月にはその差223.2万。6月の70.1万から急拡大、コロナ前の100万超、2018年と2019年11月の140万件超を大幅に上回って過去最高を大幅更新。
既に発表済の8月失業者数は838.4万人へとさらに減少しており、求人不足解消後の失業者数との格差は一段と拡大が見込まれます。
ただし、8月の失業者数をコロナ前の2020年2月(571.7)と比較するとその差は266.7万人。月間30万人づつ失業者が減少した場合でもコロナ前を回復するのにはあと9ヵ月必要。その時期は来年5月。
また、最近では失業者減少(雇用増)ペースを求人件数の増加ペースが大きく上回り、人材不足が顕著となっています。
ベージュブックでも「全ての地区が広範に及ぶ労働力不足を訴え、労働力不足が雇用を制約し、事業活動の妨げ」となっていることを指摘しています。
求人件数が過去最高となって見かけ上の求人不足は解消しても、人材不足が過去最大級となり、米労働市場の回復基調を阻害しているようです。
8日のNY金相場は-5.0ドル、0.28%の続落で8月25日(1791.0)以来、2週間ぶりの安値。ミシガン大消費者信頼感指数8月改定値が低調となり、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長講演が想定以上にハト派的と受け止められて急騰する直前の水準まで逆戻り。前日の1800ドル割れからの小反発後、時間外は大台維持をかけた攻防となっての小幅揉み合い推移、しかしNY市場ではドル高の勢いがやや強まって売り圧力が強まると一時1780ドル台前半まで下落。1810ドルの節目割れに伴う短期下値目安1780ドル前後にもほぼ到達。ただ、若干控えめのようにも見え、1810ドルがサポートからレジスタンスに切り替わり、20日移動平均線(1795.8)が目先の抵抗線にもなりつつある現状からは、これらを上抜け、回復できない限りは8月後半安値1770ドル台までしっかり下げるような場面も。
NYプラチナは-19.8ドル、1.99%の大幅続落で8月26日(975.5)以来、2週間ぶりの安値。時間外は保ち合い下限990ドルを維持しての小幅揉み合い推移、NY朝には一時1000ドル超えも、逆にこれがトリガとなったように戻り売りとなって金の急落局面にも追随。990ドルの節目を割れると980ドル割れへと急落、一時970ドル付近まで下げて8月20日安値(966.3)以来、半月ぶりの安値。自律反発でも980ドルに届かず、NY引け後の時間外では再び970ドルの攻防へ。終値ベースでの今年安値970.9ドルでサポートし切れなくなれば、一段安の展開となって今年最安値954.0ドル更新の可能性も。990ドル割れに伴う短期下値目安は940ドル程度まで。
ドル円は前日からほぼ変わらず110円20銭台での横ばい推移。東京時間午後にはドル高の流れが強まって一時110円40銭台まで上昇し、8月13日(110.46)以来、ほぼ4週間ぶりの高値。しかし、欧州時間には米10年債利回りの急低下にも連れ、株安・円高のリスク回避的な流れが強まって110円10銭台まで急反落。これがこの日の高値と安値となり、NY時間にかけては上下動を繰り返しながらもレンジを縮小、NY終盤には110円20銭近辺に収束。結果的に上に行って来いとなって上ヒゲ十字線を形成、今年高値111円50銭台を目標に上値トライへの流れがスタートしたかに見えた展開もいきなり失速。ただし流れが完全に巻き戻された訳でもなく、年内の緩和縮小スタートが先送り濃厚となった訳でもなく、110円10銭台を維持できれば上値トライ再開へと向かう可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/8終値とチャート
9日の国内金価格は-25円、0.36%安で3日続落。8月27日(6929)以来、2週間ぶりの安値。7000円の大台を挟んでの小幅保ち合い下放れに伴う短期下値目安6900円近辺を目指す流れが継続し、21日移動平均線(6929)付近まで下落。半月前にこのラインを上抜けてなお上昇したことで下落基調にあった21日線も下げ止まり、さらなる価格水準上昇でようやく上昇に転じたところ。21日線が再び下落基調となる前にこのラインを上抜けできれば下値トライも限定的に。
プラチナ価格は-91円、2.35%の大幅続落。今年安値となった8月20日(3749)以来、3週間ぶりの安値となり、今年2番めの安値。3850円台の節目を大きく割り込み、レンジ幅を拡大する逆三角保ち合いの範囲を大きく逸脱する形で下方ブレイク。現状水準で下げ止まって反発できれば新たな逆三尊形成への可能性も残すことにもなるものの、NYプラチナが一段安をうかがう軟調推移の様相にもなりつつある現状からは厳しい展開も。当面の下値目安は12月の保ち合い水準、3700円近辺から3690円辺りまで。
※参考:金プラチナ国内価格9/9とチャート
2021年9月9日(木)時点の相場
国内金:6,930 円 9/9(木) ▼25(0.36%)
国内プラチナ:3,778 円 9/9(木) ▼91(2.35%)
NY金:1,793.5 ドル 9/8(水) ▼5.0(0.28%)
NYプラチナ:976.1 ドル 9/8(水) ▼19.8(1.99%)
ドル円:110.25 円 9/8(水) ▼0.03(0.03%)
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