更新日:2021年9月16日(木)
インフレ鈍化の兆しをきっかけにドル売り・金買いの流れがゆっくりとスタートしたかに見えた前日NY市場から一転、この日のNY市場では失速懸念もあった米製造業景況感の予想外の堅調ぶりにドルは反発、金は反落へと巻き戻しの展開に。
9月のNY連銀製造業景況指数は34.3。市場予想の18.0程度のほぼ倍、8月の18.3からも急騰。過去最高となった7月の43.0にこそ及ばないものの、2004年8月以降の17年間に限れば2番めの高水準。6ヵ月移動平均では27.27となり、8ヵ月続伸で2004年10月(27.87)以来、16年11ヵ月ぶりの高水準。
構成指数では、新規受注が33.7となって2004年5月(42.0)以来、17年4ヵ月ぶりの高水準。出荷も低調となった7月の4.4から8月は26.9へと急騰。
仕入価格は75.7で過去最高となった5月の83.5には及ばないものの、6月以降も70台後半で高止まり。販売価格は47.8となって3ヵ月連続過去最高を更新。インフレ懸念も高止まり。
雇用指数は7月の12.8から8月は20.5へと急騰し、平均労働時間は24.3で2004年4月(33.5)以来、17年5ヵ月ぶりの高水準。
今後の見通しを示す期待指数も続伸で1年3ヵ月ぶり高水準。
その保、設備投資が3年8ヵ月ぶり高水準へと急上昇、テクノロジー支出指数も急上昇で過去最高。
また、労働省がこの日発表した8月の輸入物価指数は前月比-0.3%となり、昨年10月(-0.1%)以来10ヵ月ぶりのマイナス圏、コロナショック時の昨年4月(-2.6%)以来1年4ヵ月ぶりの低水準。前年比では5月の+11.6%から3ヵ月連続の低下で8月は+9.0%。前日の2ヵ月連続低下で鈍化の兆しを示唆したCPI前年比とも整合性。
なお、FRB発表の8月鉱工業生産は市場予想の前月比+0.5%に対して+0.4%にとどまり、7月も+0.9%から+0.8%へと下方修正されるなどやや失速感。
強弱混在の米指標結果に、ドルの反発もそれほど進まず、金の反落もNY時間外からは下げ渋り。
FOMC前に、為替も金も米経済指標の結果にやや過敏に反応する状態となってきたようです。
15日のNY金相場は-12.3ドル、0.68%安となって3日ぶりの反落。前日上昇分を吐き出して小幅保ち合い上抜けに伴う短期上値目標1820ドル台程度までを目指す流れはいきなり巻き戻し。時間外は1800ドル台で上げ渋りながらも大台は維持、ロンドン時間からNY朝にかけては米長期金利低下とドル安傾向の流れに連れての小幅上昇も1810ドル付近では頭打ち。米9月NY連銀製造業景況指数が想定外の好結果となると金利急騰とドル高へ、流れ反転で急反落となって大台割れ。ただしドル高の流れも限定的となり、1790ドルの節目手前で下げ渋るとNY引けにかけては1790ドル台半ばへ。保ち合いレンジを1790ドルから1810ドルまでに拡大しながらも、上値の重さを再確認した格好にも。逆に上限突破できれば上値トライへの勢いは増す可能性、上値目標は7-8月の高値を超えて1840ドル台辺りまで。下限割れなら下値目標は1760ドル近辺まで。
NYプラチナは-8.2ドル、0.87%の続落で昨年11月16日(927.5)以来、10ヵ月ぶりの安値。保ち合い下限、990ドルの節目を割れたのが1週間前、ほぼ一方的にコンスタントに下落し続けて下値目標940ドル近辺では一時的に下げ渋る素振りを見せただけでオーバーラン。この日も時間外には930ドル台から920ドル付近まで下げて反発、NY市場では940ドル手前までを上限にやや乱高下気味の展開となり、NY引け後には一時920ドル割れ。ただ、これがいったん大底となって吹っ切れたように940ドル台へと反発。日足での下ヒゲ十字線は、実質下ヒゲ陽線で反発への可能性を示唆。まずは9月高値(1026.5)からこの日の安値(915.6)までの38.2%戻し(958.0)までが戻り基調への関門、半値戻し(971.1)で反発基調へ。
ドル円は30銭のドル安円高、0.27%の続落。東京朝の戻り高値は109円70銭台までにとどまり、戻り売り基調再開とともに109円70銭の節目割れに伴う短期下値目安108円台前半を目指す流れがリスタート。東京市場では円高主導で一時109円50銭台まで、欧州時間にはドル安基調も加わり、NY朝には8月4日(108.72)以来6週間ぶり安値となる109円10銭台まで下落。米9月NY連銀製造業景況指数の上振れを受けての急反発では一時109円40銭台まで上昇。NY終盤にかけては109円30銭近辺に収束も、今朝の東京市場では40銭台へと反発の兆しも。保ち合い下方ブレイク後の下値トライへの流れは続きながらも長めの下ヒゲを残して下げ渋る様子も。日々の指標に敏感に反応する状況にもなり、米8月小売売上高の結果次第では下値トライ再開か、反発基調スタートか、という展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/15終値とチャート
16日の国内金価格は-54円、0.78%安で3日ぶりの反落。3日前の直近安値6899円をわずかに下回り、8月23日(6863)以来ほぼ4週間ぶりの安値。反発基調は巻き戻され、今度は下方リスク優勢の状況に、6850円近辺までが短期下値目安に。ただし流れは一方的に傾斜した訳でもなく、米指標結果に反応しやすい地合いから反発方向へと切り返す可能性も。6950円の節目を超えるようなら反発基調再開で7000円の大台回復トライへ。
プラチナ価格は+37円、1.02%の反発。NYプラチナが今朝の時間外に底打ちの可能性を示唆する反発基調となっている状況を反映する形となり、短期下値目安3690円近辺を突き抜けての一段安からの反発基調スタートの可能性を示唆する形にも。反発基調第1段階の目標として、まずは下落基調が続く9日移動平均線(3778)を上抜けて弱気のパーフェクトオーダーからの脱却へ。
※参考:金プラチナ国内価格9/16とチャート
2021年9月16日(木)時点の相場
国内金:6,894 円 9/16(木) ▼54(0.78%)
国内プラチナ:3,665 円 9/16(木) ▲37(1.02%)
NY金:1,794.8 ドル 9/15(水) ▼12.3(0.68%)
NYプラチナ:930.5 ドル 9/15(水) ▼8.2(0.87%)
ドル円:109.38 円 9/15(水) ▼0.30(0.27%)
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