更新日:2021年10月9日(土)
米9月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+50万人程度の市場予想に反して+19.4万人。大幅下振れで今年最低の伸びにとどまりました。ファースト・インプレッションはネガティブ・サプライズとなってドル売り・金買いが急速に進行。
しかし、失業率は5.1%予想を大幅に下回る4.8%となって8月からも0.3%低下してコロナ後最低。2020年3月(4.4%)以来、1年半ぶりの低水準に改善し、9月FOMCでの2021年末予想中央値にもいきなり到達。
なお、歪を指摘する為にしばしば比較される黒人の失業率も8月の8.8%から9月は7.9%へと急低下。これも2020年3月(6.8%)以来、1年半ぶりの低水準。パートタイム労働などを含む広義の失業率、U6失業率は8月の8.8%から9月は8.5%。こちらは2020年2月(7.0%)以来、1年7ヵ月ぶり低水準となってコロナ後の最低を更新。
この他、半年以上の失業を示す長期失業者の割合は3ヵ月連続の減少で34.5%となり、昨年10月(32.1%)以来11ヵ月ぶりの低水準。いずれも回復基調が順調に進行していることを示唆。
平均時給の上昇率を示す賃金上昇率は前年比+4.58%となって5ヵ月続伸、前月比でも+0.62%となって8月の+0.36%から一段と加速。
また、今回の低調なNFPには政府部門の教育関連雇用者の季節調整が影響しているとの見方もあり、今後の回復を指摘する向きもあり、11月のテーパリング決定は既定路線との見方も。
ネガティブ・サプライズとの見方も一時的にとどまり、程なく流れは反転。NY金の急騰は巻き戻し、切り返したドル円は高値更新へ。
非農業部門雇用者数(NFP)を総数の推移で見た場合でも、回復基調はそれなりに進行中。
2020年2月のNFP総数、1億5250万人から4月の総数1億3020万人まで急減し、2021年9月時点でのNFP総数は1億4760万人。コロナ前の水準まで、回復すべき雇用者数は残り490万人。ようやく500万人を切ってきました。
直近の前月比での雇用者数の伸びは、3ヵ月平均では+55.03万人。このペースを維持して今後も回復基調が続くなら、コロナ前の水準を回復するのに必要な期間は9ヵ月。順調に行けば2022年6月に100%回復達成見込み。
これも現状のFRBの基本シナリオ、2020年後半の利上げスタートには一応ギリギリで間に合う見込み、というところです。
8日のNY金相場は-1.8ドル、0.1%の小幅続落で9月30日(1757.0)以来、1週間ぶりの安値。1750ドル台後半での小幅保ち合い推移から、NY朝には米雇用統計の結果を受けて上に行って来い。指標発表前には若干の警戒感からか米長期金利低下とドル安傾向の流れから1760ドル台へとわずかに上昇、非農業部門雇用者数の伸びが想定外の大幅下振れとなったことを受けて急騰すると1780ドル台まで、20ドル程水準を切り上げて9月22日(1788.4)以来、半月ぶり高値をつけて反落。長期金利の低下とドル安の流れが限定的となり、即切り返した流れにも連れ、指標発表から2時間と持たずに元の水準割れへと急反落。結果的に1760ドル台を中心とした小幅保ち合いからの上抜け失敗を象徴する上ヒゲ十字線を形成し、右肩下がりの20日移動平均線(1763.1)にもしっかり上値を押さえられる状態が継続。今のところは下値の堅さも見られ、1770ドルの上限から1750ドル前後までの保ち合いレンジを維持しながらも、今後の金融政策正常化に向けたシナリオがFRBの思惑どおりに進行するとの見方が強まるに連れ、徐々に下方圧力優勢となる可能性も。
週間ベースではわずかに-1.0ドル、0.06%の小幅安で3週ぶりの反落。
NYプラチナは+42.9ドル、4.35%の大幅高となって3日続伸。上昇幅としては9月22日(+50.3ドル、5.29%)以来、半月ぶりで今年6番めの急騰。水準としては8月3日(1046.9)以来、2ヵ月ぶりの高値。ロンドン時間から堅調推移となり、NY朝にはパラジウムが2000ドルを回復した流れに追随して1000ドルの大台を回復。雇用統計発表後には金の急騰とともにパラジウムも2080ドル超へと急騰した流れにも連れ、1040ドル台まで急騰。金の急反落に追随した場面ではパラジウムが2050ドル前後で下げ渋った流れにも連れ、1020ドル近辺で下げ渋って1020ドル台後半へと反発。970ドル台の保ち合い上限突破に伴う短期上値目標1000ドル台を達成してなお一段高。目標水準をオーバーランするような展開となった場合の上値目安、5月高値(1281.4)から9月安値(892.6)までの38.2%戻し(1041.1)も達成。適度な行き過ぎ水準到達から若干の巻き戻しも想定され、1000ドルの大台ラインが目先のサポート候補。
週間ベースでは+54.6ドル、5.61%の大幅反発。6月21日からの週(+62.6ドル、6.01%)以来、15週ぶりで今年4番めの急騰。
ドル円は60銭のドル高円安、0.54%の続伸。2018年12月19日(112.45)以来、2年10ヵ月ぶりの高値水準。雇用統計への期待感からか東京朝から堅調推移、111円60銭近辺からジリジリと水準を切り上げ、東京午後には111円80銭台、欧州時間には111円90銭台へ、112円寸前ではいったん上値を押さえられる形となって失速するとNY朝には111円70銭台まで調整。雇用統計の結果を受けて111円50銭近辺まで急落の反応も、徐々に切り返す展開となってNY午後には112円の節目も突破。米10年債利回りが4ヵ月ぶり高水準となる1.61%台まで反発した流れにもサポートされ、NY終盤にかけては112円20銭台まで上昇。短期的には112円の節目超えに伴う上値目標としては2019年高値圏112円台半ばまで、もう一段の上昇余地。今後の金融政策転換に向けた思惑と関係者の言動、インフレ動向や経済指標の継続的な回復基調などを想定すれば、多少の行き過ぎで113円前後も意識され、中期的にはさらにドル高円安方向へと上値を伸ばすような展開にも。
週間ベースでは+1.16円、1.04%高となって5週続伸。上昇幅としては4月26日からの週(+1.45円、1.34%)以来5ヵ月半ぶりで今年3番めの急騰。5週続伸は2018年5月以来、3年5ヵ月ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/8終値とチャート
2021年10月9日(土)時点の相場
国内金:6,878 円 10/8(金) ▼19(0.28%)
国内プラチナ:3,812 円 10/8(金) ▲8(0.21%)
NY金:1,757.4 ドル 10/8(金) ▼1.8(0.10%)
NYプラチナ:1,028.2 ドル 10/8(金) ▲42.9(4.35%)
ドル円:112.23 円 10/8(金) ▲0.60(0.54%)
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